百田尚樹氏による『日本国紀』書評本批判への答え

2019年03月25日 17:00

本日発売になった週刊ポストでは、またまた、井沢元彦氏が呉座勇一氏に再反論しているようだ。異種格闘技的な喧嘩に介入しても不愉快な思いをするだけなので、今回は論評は控える。

一方、『「日本国紀」は世紀の名著かトンデモ本か』(パルス出版)が3月25日に刊行されたのに先だって、百田尚樹氏がTwitterでいろいろ書かれている。

それについて、『百田尚樹氏“類似本”八幡和郎氏を罵倒「物書きとしての誇りはないのか」』などという見出しで東スポが報じている。

百田氏ブログ、テレビ朝日より:編集部

私はTwitterでの論戦はやらない主義でFacebookやアゴラで書いたことを流しているだけの利用なので、Facebookでコメントを書いたり質問に答えているが、そのなかでいくつかの論点を紹介しておきたい。

「たかだか一冊の本に必死すぎ!」

それだけ『日本国紀』の影響力を評価しているので困られることではないはず。何も一方的な批判ばかりやっているのではなく、良い点も公平に書いてある。批判本が出るのは名著の証しだと大きく受け止めていただければ幸いだ。この本は、批判本でも礼賛本でもなく、議論を深める材料を提供する本になっている。

「『日本国紀』が出た直後からネットで悪口を書きまくり、本当の歴史が知りたくば俺の本を読めと必死で誘導していたが」

「歴史家を名乗っているなら、他人の本に乗っからずに、堂々と自分の本を書けよ」

もともと、悪口だけでなく誉めるべきことは誉めているので悪口を書きまくりということではない。「自分で書け」とのことだが、『日本と世界がわかる 最強の日本史』『世界と日本がわかる最強の世界史』(扶桑社新書)をはじめ、中国、韓国、アメリカ、フランスの通史なども書いている。また、通史以外でなら10万部を超えるものもあるので、百田横綱、呉座大関にはかなわないが小結くらいの実績はある。

「寄生虫本なんかで褒めてほしいとは思わんね!」

出版物が論議の対象になるのは当然。とくにフィクションでなく歴史ともなれば当然だ。それから、引けば飛ぶような中小出版社から出したこの本が私の本の平均より多い印税をもたらすことはほとんど考えられない。

私は日本人の歴史観に大きな影響を与えるだろうという本への詳細な批評本の執筆はこれまでもやって来ているが(司馬遼太郎「竜馬が行く」、童門冬二「上杉鷹山」)、あんまり売れた試しはないし今回も期待などしていない。
ただ、意外にベストセラーによって広まった歴史認識の歪みを糾すには部数の割には影響力が大きいので取り組んでいる課題なのである。

今回も百田氏が出した有意義な本の影響を、より深めるために役立つと思う。

「私は基本的にツイッターで同業者の文章を貶すようなことはしませんが、今日は頭にきているので、はっきり言います。この人の文章は下手なうえに、まったく魅力がありません!この文章では、本は絶対に売れません(売れればいいというものでもないですが^^;)」

ありがたい指摘である。私の文章は、官僚として明確に書くように訓練されたことが基礎になっているし、それを、フランス語などの明晰性と論理性をできるだけ採り入れるように工夫したものでそれなりに評価されている。しかし、『日本国紀』を熟読して、歴史を面白く書く売れる文章をどう書くべきかたいへん勉強になったので感謝している。素晴らしい文章だと思う。

「それより、現在使われている歴史教科書の中には、とんでもないミスや偏向があるのだが、あんた、それらを指摘したことがあるのかね!影響力は教科書の方がずっと大きいんやで」

私が厳しい教科書批判をやってきたのは私の本の読者やアゴラ、Facebookのフォロワーはご存じである。とくに『日本書紀』の記述を否定して、推古天皇以前の天皇についていっさい記述がないことを強く批判している急先鋒である。

むしろ、『日本国紀』こそ万世一系を否定したり大和朝廷による四世紀以前の統一について疑問を呈するなど戦後史観に基づく教科書に近いのではないか。

また、すべての教科書で重要視されている中国との『冊封体制』という概念が戦後史観学者による造語であることを暴露し追及を始めたのも私であるし、文永弘安の役への高麗の参加が矮小化されていることを指摘し、「元・高麗寇」と教科書で呼ぶべきだという提案をし始めたのも私だ。

また、文部科学省の前川喜平らによる得意な左翼支配の構造を暴き、もっとも強烈な文部科学省批判をしてきたこともよく知られているとおりだ。

さらに、今年の2月27日の予算委員会分科会での杉田水脈議員の歴史教科書についての質問に関して、最近もFacebookで以下のような記事を載せて好評をいただいた。

「これを聞いたら邪な人たちが杉田議員をあらゆる卑怯な手段で陥れようとしたくなるのか分かると思います。少し荒削りですが痛いところを突いているので怖いのでしょう。杉田氏のいっていることのほとんどは、アメリカのリベラル派のペロシ下院議長がいってもおかしくないような内容です。あらためてジャンヌダルク的な勇気を応援したいと思います。

小学校の社会科の教科書問題では全国の半分以上の小学校で使われている東京書籍の教科書で、日韓併合が軍隊の力で制圧して行われたとか言うことに始まってありとあらゆる虚偽が書かれていることが明らかにされます。柴山文科相もこんな答弁だまってしているようでは政治家として口惜しいでしょうが、文科省はやはり伏魔殿です。竹島問題で文科省がこう言う努力をしているというのもお茶を濁すという言葉はこういうときのためにあるのかという印象です」

いずれにせよ、百田氏におかれても、お怒りはわかるが、ぜひ、ご一読いただければ幸いだ。それなりに納得していただけると思う。『日本国紀』の編集者を通じてお届けしている。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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