菅官房長官を次期総理というのが安直すぎる理由

2019年04月09日 06:00

『令和改元』をめぐる水際だったさばきぶりで人気急上昇の菅義偉官房長官を後継首相にという人が増えている。しかし、外交はおろか国際経験がほとんどない政治家をトップリーダーにするとは突拍子もない発想だ。

内閣広報室撮影:編集部

といっても、菅氏がだめだというわけでない。もしそれを選択肢にしたいなら、すぐにでも内閣改造をして、たとえば経産相か財務相にしてG20で経験を積ませ、また、外交センスがあるかテストなどをすべきだ。

菅氏はこれまでの職歴や政治家としての経歴の中で、ほとんど国際問題に関与したことがない。しいていえば、小此木八郎・通産大臣の政務秘書官時代くらいだろう。あとは、キャロライン・ケネディ米国大使や韓国の李丙琪大使(のちに朴槿恵大統領秘書室長)と定期的に会っていたと言われるくらいだ。

語学堪能で国際派といわれる政治家でなくとも、国際交流はセンスがある人ならそれなりの仕事はできる。

たとえば、二階俊博・自民党幹事長や森喜朗元首相は語学もできないし、極めて日本的な人だが、外国人との付き合いかたも上手だし、海外訪問も古くから盛んにやっていた。菅氏がそういうセンスを持っているかどうかは、いまのところ、未知数なのである。

だから、たとえば、なんらかの事情で安倍首相が退陣に追い込まれたときに、官房長官からそのまま昇格するなどというのは、エースが緊急降板したから捕手をマウンドに上げるようなものだ。

だから、もし菅氏も後継候補ということなら、本人も安倍首相も国際経験を積ませて、経験を蓄積し、また、適性を見極めてからにすべきだ。

官邸サイトより

安倍首相に親しいある人が私に「後継者として安心できる人がいない」と嘆くので、私は「後継者育成に失敗したら、それは安倍首相の責任でしょう」といっておいた。あらゆる種類のリーダーの評価を決める場合に最大級の評価基準のひとつは後継者育成に成功したかどうかではないか。

首相は、そろそろ何人かに絞って最終テストをし、また、足らないところを補うべく経験を積ませるべきだと思う。

しかし安倍首相の外交の見事さをみるにつけて、後任者はつらいところだ。とくにトランプ大統領と同じようにうまく行く人はいない。そこで、トランプ大統領が再選された場合には、ひとつの知恵として過渡期的な「総総分離」はどうだろうか。

安倍首相は4選は目指さない。ただ、首相はしばらく続けるということだ。そして、後継総裁は、副総理として入閣し、アメリカの副大統領のように、外交にも参加して経験を積ませてはどうか。

そして、1~2年の過渡期を経て、ほどよいポイントで首相の座を引き継ぐということだ。
そういうやり方だと、もっとも円滑なので無いかと思う。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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