人名の読み方は戸籍にも不掲載だと知ってますか

2019年04月13日 06:00

「いしまきし」と読み間違えた桜田氏に事務方が慌ててフォロー(参議院インターネット中継)

桜田大臣の更迭は政治的な危機管理としては正当だ。トカゲの尻尾切りと言われても、面倒には違いないから更迭はやむを得ない。

しかし、野党も含めて桜田氏が何の悪意もないことは分かり切った話なのでつまらん話だ。石巻の読み間違いが問題なら、茨城や茨木をイバラギと読んだ国会議員は全員クビだといったら国会議員は半分になるだろう(正しくは両方イバラキ)。「私のことをヤハタと読んだやつも許さない」なんていっても仕方ない(ヤワタです)。

読み方ではないが、立憲民主党の枝野代表は、衆議院本会議で杉田水脈議員を「水田」議員と呼ばなかっただろうか。

そもそも、日本語の漢字は読み方が複数あってその間にルールすら存在しない。めいめいが勝手に読み方を決めているのだから、読み間違いがあるのは宿命であって、それを避けたいなら漢字を廃止すべきだ。

少なくとも正式の名称は「読み方」にして、漢字は雅称というかサブにするべきだ。

あまり知られていないが、戸籍法では氏名が漢字の場合、それをどう読むかは記載事項でない。(記載事項に含まれるのは「氏名」だけであることが戸籍法13条1号,住民基本台帳法7条1号で決まっている。氏名の読み仮名は記載事項に含まれていないのである。

一部の地域で戸籍に読み仮名が記載されていたこともあったが、平成6年(1994年)11月の法務省民事局長通達により,戸籍には記載しないことになった。

ただし、住民票では、自治体が住民登録の際に読み仮名も登録している場合が多く,一部の自治体では住民票に読み仮名も印刷される場合がある。

地名については、読み方も一緒に総務省によって官報に告示されるから、こちらは読み方も正式である。しかし、おまけみたいなものであって、事務的には通常は漢字が使われている表記名が事務の基本である。

そのことを如実に示しているのは、総務省が同じ表記の市名は避けるように指導していることだ。その結果、特異例として広島と東京の府中市、福島県と北海道の伊達市があるのみである。

ところが、同じ読み方となると総務省は止めていないし、いっぱいある。「みよし」は、広島の三次、徳島の三好、愛知のみよしと三つある。

二つということなら

「こうなん」(愛知・江南市、高知・香南市)
「こが」(茨城・古河市 – 福岡・古賀市)
「さかい」(大阪・市、福井・坂井市)
「さくら」(千葉・佐倉市 – 栃木・さくら市)
「つしま」(愛知・津島市、長崎・対馬市)
「ほくと」(北海道・北斗市、山梨・北杜市)
「やまがた」(山形・山形市、岐阜・山県市)

などがある。

こういう状況だから、市町村名の漢字を間違えるのはよろしくないが、はっきりいって読み方など軽微な話だ。

しかし、こういう状況がいいとは思わない。国際化、情報化の時代になると、漢字でなく読み方で整理した方がはるかに好都合だ。しかし、それが簡単でない。

私は旧通産省で情報管理課長(民間企業の情報システム部長みたいな仕事)をしていて、職員のメールアドレスを名字を含むものにする指揮をとった。というのはそれ以前のアドレスは、ABC306561とかいったものだったからだ。

ところが、職員名簿は漢字だけで読み方が書いていなかった。そこでまず職員名簿を自己申告でルビをふらせて、それが完成印刷させたのちに名字が含まれるアドレスにした。私はどっかで漢字でなく読み方を正式なものに変更すべきだと思っている(ちなみにパスポートでは太田さんの場合、OTAかOHTAかで混乱があるし、犬塚はINUZUKAかINUDUKAかとかいう問題もある)。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑