辛口の平成10大ニュース(世界・日本・皇室)

2019年04月26日 16:00

年末年始にかけて「平成10大ニュース」の企画記事をアゴラに書いた。「世界篇」「日本篇」「皇室篇」の三本である。

その後、それを様々な機会に書いたり話したりして、いろんな方の意見をいただき、それを踏まえてブラッシュアップし詳しく解説したものに「平成年表」を添えて拙著『令和日本史記』(ワニブックス)に掲載したところ、平成という時代を俯瞰する資料として便利だと好評で、高名な方からも講演に使わせてもらったとか、あるいは、『令和日本史記』をこれ目当てで買ったとかいっていただいている。

そこで、この記事では、その三つの「10大ニュース」を掲載するとともに、若干の改題を試みてみたいと思う。ただし、ありきたりでは面白くないから少し辛口だ。

平成10大ニュース(世界)

ベルリンの壁崩壊(Wikipedia:編集部)

①東西冷戦の終結とドイツ再統一

②EUとユーロ圏の発足・英国のEU離脱

③トランプ大統領の出現と極右の台頭

④アジア経済の発展

⑤中国の躍進・日本の凋落・ロシアの浮沈

⑥イスラム過激派の拡大と大型テロ

⑦IT化の進展と新タイプの多国籍企業

⑧新自由主義と貧富の差の拡大

⑨女性の社会進出とLGBTの権利拡大

⑩地球環境問題への関心増大

平成10大ニュース(国内)

津波で船が街中に運ばれた被災地(宮城県石巻市、写真AC):編集部

①バブル崩壊と失われた20年

②東日本大震災と原発停止

③米中対立のなかで対米関係は改善するが防衛努力不十分

④電子化の遅れと医学部集中の弊害

⑤朝鮮半島問題の混迷

⑥首都機能移転棚上げと東京一極集中

⑦少子高齢化と人口減、女性の社会進出

⑧外国人の増加

⑨55年体制は崩壊するも健全野党は成立せず

⑩皇位継承の混迷と天皇の生前退位

(番外)沖縄問題

激動の平成皇室10大ニュース

宮内庁サイトより:編集部

①即位礼・大嘗祭を京都でなく東京で挙行

②神事や慰霊を大事にされた祈りの陛下

③ストイックなご公務と現場主義

④百済王の子孫であることに触れられたゆかり発言

⑤沖縄への特別な思い入れ

⑥皇太子妃の不調

⑦眞子様の婚約問題

⑧皇室典範改正問題と悠仁さまの誕生

⑨今上陛下の退位問題

⑩象徴天皇制度の動揺

世界史的に見ると、 平成という時代は、ドイツ30年戦争を終結させたウェストファリア条約によって確立された、対等の独立国家による近代国際法秩序が終焉し、グローバリズムや地域統合が進んだという時代だったと思う。その課程で、移民とか難民の問題が出てきて、それに派生して大規模テロが起きていると私は見ている。

一方、女性の権利向上と社会進出は19世紀あたりからの流れだが、それにLGBTの認知もあいまって、両親と子供からなる家庭というものを不安定にしていて落とし所が見えないのが平成の大変革であった。

そして、IT技術の進歩で、物理的・空間的なバリアが取っ払われ、一人の人間ができる仕事の規模も制約なく大きくなっているわけで、それが富の偏在も生んでいる。

政治的には民主主義という政体がより深化したが、逆に、それがゆえに機能不全にしばしば陥るようになったという現状がある。

日本はどうかと言えば、明治から昭和の頑張りで世界でトップクラスの経済力をもつ国になった。平成にあっては、その残り香のおかげで生活や文化の水準は引き続き向上した。バブルは経済には深刻な爪痕しか残してないが、文化や生活は大分豊かにしたのである。問題は自分たちの幸福が前代の貯蓄の食い潰しであり、国際環境の変化への驚くべき無警戒の結果であることを理解してないことだ。

そして皇室もとんでもないことになってきた。いま日本はまことに奇妙な御退位祝賀ムードのまっただ中だ。これほど派手派手しく君主の退位がお祭り騒ぎになったことは世界史を見てもない珍事だ。少しにてるとしたら神聖ローマ帝国カール五世の退位くらいだろうか。

それでは、皇室にとって平成はよい時代だったのだろうかといえば、そうではなかろう。

私の予測では、イギリスでもここ2,3年内には女王の退位があるのでないかと思う。日本のように派手派手しいコーダの大音響のなかでの退位にはならず、短期間の予告でひっそりと消えて行くと思うが、国民からはおおいに惜しまれるだろう。

日本と同じようにイギリスでも女王への敬慕は強い。ただし、日本と共通したところがあるのは、子供や孫たちの状況との比較によるところにかなりの理由がありそうだ。

世界の君主は政治的責任はもはやほとんど持っていない。そうしたなかで、日英両国に限らず、象徴として活動もさることながら、ロイヤル・ファミリーのガバナンスということがもう少し君主の仕事として重視されていいのではないか。そういう意味であらためて再評価されるべきなのは、大正天皇の貞明皇后なのかもしれない(皇太后になられてからは疑問もあるが)。

いずれにせよ、平成は少なくとも日本については、散々な時代であった。令和がその由来のごとくいい時代であることを期待したいし、そのために国民誰もが心を入れ替えて頑張るしかあるまい。

明治から昭和までの蓄積を食い潰したといわれたままになることは、世代の責任として恥ずかしいし、死んでも死にきれないとはこういうことでないかという昨今の気分だ。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

関連記事

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑