ミヤネ屋の事実誤認に対しBPOに申し立て

田中 紀子

4月4日の「情報ライブ! ミヤネ屋」の放送で、ピエール瀧さんのコカイン使用の問題を取り上げた際に、コメンテーターの青山学院陸上部 原晋監督より「秋葉原の事件を忘れてはなりませんよね。」といった発言があり、これは明らかな事実誤認であると指摘させて頂きました。

ミヤネ屋の明らかな事実誤認報道:特にひどい原晋監督のコメント

原晋氏(日本記者クラブサイトより:編集部)

あの凶悪事件の犯人には、薬物の使用歴などなく薬物問題とは全く無関係です。
にもかかわらず、発言はそのまま誰にも訂正されることなくスル―されただけでなく、読売テレビ報道解説委員長の春川正明氏より、「そういう(薬物)影響で今までもやっぱりその虐殺事件みたいな可能性もあるじゃないですか」と、原監督の事実誤認を肯定する発言がなされました。

ミヤネ屋は、ピエール瀧さんのコカインの自己使用を、虐殺事件にまで結び付け、「薬物使用者=無差別殺人を犯す極悪人」であるかのような誤解や偏見を与えました。そこまで言うか!と聞いていて腹が立って仕方がありませんでした。ピエール瀧さんにそんなリスクあるわけないじゃないですか。

そして、これはピエール瀧さんだけの問題ではなく、我々依存症問題を抱える当事者・家族の回復を著しく阻害し、ただでさえ社会から排除されがちな我々にとって死活問題となります。

しかも、この記事が4月5日のアゴラに掲載されたのちの4月11日にですね、
なんとミヤネ屋のスタッフから、私と松本俊彦先生にあてて、高知東生さんへの出演依頼の労をとって欲しいと連絡が来たんですよ!

おそらく、高知さんと、松本先生と私でニコ生に出演した際の記事を見たんだと思うんですね。

高知東生氏が自分を語る意義(Japan In-depth)

もちろん松本先生は断られたようですが、私は、断りついでにアゴラの記事にリンクを貼り、「この件に関して、返答を頂きたい」との旨を返信したんですね。で、返信を待ちました。…が無視されたんです。

この件、Twitterで応援して下さる方々などから「BPO案件」と御助言頂いており、ここで私もBPOに申し立ても考えませんか?と、ネットワークの発起人に呼びかけ賛同を得ました。

そして依存症の正しい報道を求めるネットワークの事務局として、改めて4月15日にも、番組HPからこの事実誤認に対して、謝罪と訂正を求める旨メッセージを送ったんですね。

ところがこの求めに対しても一切無視されたので、「もう、致し方ない申し立てをしよう」と決意し、本日、BPO放送倫理・番組向上機構に人権侵害の申し立てを行いました。

ミヤネ屋より

一体ミヤネ屋という番組は、倫理観ってどうなっているのでしょうか?
だって明らかな事実誤認ですよ。人権への配慮はないのでしょうか。
違法薬物問題なら、自分たちのミスもチャラにしていい!とお考えなのでしょうか?

今回の件、これだけ社会的にも話題になりましたし、注目も集まっています。
どうか、BPOがきちんと指導是正を促してくれるよう願います。

そしてミヤネ屋のメインMC宮根誠司さん、あなたは覚えていらっしゃるでしょうか?
2012年に地球サミットで名演説で話題をさらった「世界一貧しい大統領」ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領が来日され、

“世界一貧しい大統領”ムヒカ氏が語った、「本当の貧しさ」とは?(ログミー)

あなたと番組で対談された時のことを。
私はよく覚えています。

あなたはムヒカ元大統領に「幸せに仕事をして行きます!」と語りました。

するとムヒカ元大統領は、あなたの腕をポンと叩き、
「まわりの人も幸せにしてあげてね!」
「まわりの人も幸せでないとね、本当の幸せはないと思いますよ!」
と、おっしゃいました。

宮根さん、あの時のムヒカ元大統領のお言葉どう受け止められたのでしょうか?
あなたの番組のスタンスは、人を幸せにしたいのでしょうか?
それとも社会から孤立させ、排除し、人々を不幸に陥れ、それを高みからほくそ笑みたいのでしょうか?

後者でないことを祈ります。
そして今度こそ真摯な対応をしてくれることを望みます。


田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト