史上初の10連休が終わりました。
私は長崎県や大分県の山にて森林のスタディツアーなど、めったに行けないところに行っていましたが、皆さんはいかがお過ごしだったでしょうか。
さて、10連休後半の5月5日に、アメリカのトランプ大統領は対中関税を10%から25%に引き上げるとツイートしました。このニュースを聞いた瞬間、世界の各マーケットの反応が気になりました。
日本のマーケットは10連休最終日のため、お休みでした。アメリカ現地のニューヨークダウ平均は一時は1.8%安の471ドル安まで進みましたが、それでもアメリカの経済は堅調だということで、終値は0.25%安の66ドル安になりました。一方、中国の上海株式市場は5. 6%安となり、中国の元も売りになりました。
ちょっと話はそれますが、平成から令和にかけての改元、いわばお祝いムードの10連休でしたが、私は「10連休』はマーケットのリスクが大きいのではと感じていました。
例えば海外市場で一気に仕掛けられ、円が買われて10連休後に100円を切っているなんてことが起こりえるかもしれないと考えた時、10連休は大きなリスクだなと考えていました。結果としては、目立った動きもなく、今回のトランプ発言も10連休の9日目だったことから、安堵しています。
さて話を元に戻してトランプ氏の今回のツィートですが、アメリカは対中関税第3弾として、中国からの輸入品1000億ドル相当に現在10%の関税をかけていますが、これを25%に引き上げるという内容です。
さてその意味するところですが、3月末の期限を区切っていた米中貿易協議が前回は延期になりました。そして今月の9日から10日の二日間、米中閣僚級協議がワシントンで開催される予定ですので、この閣僚級協議での成果を促すためであることに間違いありません。
延期後の協議では、アメリカが中国に求めている「技術移転強要の禁止」、すなわち海外企業の技術を無理やり公開しろと言う中国の姿勢を、貿易面では譲歩したものの、「自主的かつ商業ルールにのっとった技術協力は奨励する」と言っており、外資からみれば「強制移転」と映る別の解釈もあります。
また、中国はアメリカの要求全てに妥協することはできないとし、引き伸ばしを図っているとも言われていますので、それらへの牽制という見方もあります。
ただ私は、トランプ大統領のツイートは単なる脅しかもしれないと、思いましたが、6日には米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表も発言し、昨日7日の連邦官報(Federal Register)で、10日の午前0時1分から関税を25%に引き上げるとアメリカの各機関に通達しました。これで「アメリカは本気だ。本当なんだ」と私は理解した訳ですが、
先ほど書いた通り、9日から10日まで米中閣僚級協議が行われますので、10日午前0時1分というのはまさに初日(9日)と2日目(10日)の期間中になるわけですね。
中国からは劉鶴副首相が訪米をしていますが、初日の協議で進展がなければ関税が引き上がる。そうなったらおそらくは2日目は協議をせずに、中国に帰ることになるんじゃないでしょうか。
米中貿易協議でアメリカが中国に求めていること、それは長年日本も悩まされ続けてきたことです。そういう意味では個人的に私は、「アメリカ最後まで貫けよ」と思っているわけです。
いずれにしても2日後の9日、協議初日に大注目です。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年5月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。