「リベラル」その正体は偽善者だ!

2019年05月17日 11:30

「リベラル」を自称する人々は、人間や諸民族における「多様性」を訴え、少数民族やLGBTなどの「マイノリティー(少数者)」、あるいは移民や外国人労働者の権利を守れと主張する。

「偏見」に基づいて人々を差別するのではなく、少数者の異なる意見も受け入れるべきだというのが彼らの主張である。

彼らの主張を文字通りに受け止めれば、彼らは世間から受け入れられることのない社会的弱者の擁護者ということになるだろう。

だが、彼らは本当に社会的弱者の擁護者と呼ぶべき立場の人々なのだろうか。私は極めて疑問に思っている。否、その正体は偽善者であると確信している。

具体的な一つの逸話を紹介するところからはじめよう。

ある大学に通う学生は大変な読書家で、その大学の生協で大量に本を購入することで有名だった。彼の名を仮に竹上君としておこう。私自身が竹上君と出会ったのは、一般市民を対象とした講演会で私が講演させてもらったときのことだった。まことによく本を読んでいて、今日では珍しい学生だと驚いたことを覚えている。

竹上君は私自身が読んだこともないような本を読んでいて、話していてこちらが勉強になった。また、彼の読んでいる本の多くを私自身も読んでいて、それほど有名ではないが、非常に面白い本について語り合うことのできる稀有な学生でもあった。

あるとき竹上君が通う大学の生協の職員が彼に声をかけた。新入生に読むべき本を勧めたいから、是非ともブック・レビューを書いて欲しいとの依頼だった。せっかく新入生に本を勧めるのだから、その本を読むことによって、さらに読書欲が刺激されるような本を選ぼうと竹上君は色々と考えを巡らせた結果、拙著『流されない読書』(育鵬社)を含む数冊を選び、紹介文を書き上げた。

『流されない読書』は、これまでの私の著作と異なり、政治色が極めて薄く、純粋に読書の勧めを説いた本だった。若い学生が読書をしないことを憂いて書いた一冊だったので、大変な読書家である竹上君がこの本を新入生に勧めてくれるとの話を聞いたとき、非常にうれしく思った。

だが、レビューを提出してから数日後、生協からは「この本を生協で推薦することは出来ない…」との断りの連絡が彼のもとに入った。同時に提出した他のレビューには何の注文もつかず、そのまま掲載されることになるというのだが、拙著のレビューだけは何としても掲載不可能だというのだ。

不思議に思った竹上君がその理由を聞いても職員は口を濁すばかりで、はっきりとした理由を述べようとしなかったという。

この話を聞いたとき、「ああ、またいつものパターンか」と思わずにはいられなかった。何度も、何度も味わってきた屈辱である。何も説明しなかったので、あくまで想像するしかないのだが、生協の職員が拙著を学生に勧めることが出来ないと述べたのは、本の内容によるものではない。恐らく、本の内容すら確認していないだろう。

「右翼政治学者」岩田温が書いた本だから、学生に推薦することが出来ないというのが彼らの本音なのだ。思うに、その職員一人が「右翼政治学者」岩田温を嫌悪していたわけではないだろう。もしかしたら、心情的には私に同情すらしていたのかもしれない。

だが、その「生協」という場で生き延びていくためには、「右翼政治学者」岩田温の本を推薦することなどあってはならないのだ。何故なら、「リベラル」ではないと思われた瞬間に、自分自身の立場がなくなってしまうからだ。あくまで「リベラル」を演じ続けていなければならないのが彼らの宿命なのだ。

仮に私が怒り狂って、その大学の生協に抗議を申し入れたとしよう。だが、そんなことをしても何にもならないのは、かねてよりの経験からよく理解している。彼らは決して拙著が「右翼政治学者が書いた本だから掲載しない」とは明言しないのだ。どんなに理由を聞いてみても、理由は絶対に口にしない。政治的右、左といった価値観で特定の本を排除することが問題であることは理解しているからだ。

しかし、彼らは何としても右派の本を排除しなければならないという強迫観念を持っている。「リベラル」にあらずんば人にあらずという空気が漂っているのが、マスメディアであり、大学であり、司法の世界なのだ。

口先で「多様性」だの「少数者の擁護」を叫びながら、自分たちと意見の異なる他者を徹底的に弾圧するのが彼らの特徴だ。彼らが「左翼全体主義集団」を自称しているのならば、そのやり方は理解できる。他者の意見を尊重しないのが全体主義の特徴だからだ。

しかし、彼らは口先で「多様性」、「少数者の擁護」を口にしながら「リベラル」を自称している。だが、その正体は自らとは異なる意見を否定する極めて全体主義的人間なのである。「リベラル」を騙り、「多様性を守る」、「少数者の権利を擁護せよ」と唱える彼らの本性は「偽善者」であり、極めて利己的で党派的な人々なのである。

以上は本日発売の拙著『偽善者の見破り方』の「まえがき」の一部分を抜粋しました。


編集部より:この記事は政治学者・岩田温氏のブログ「岩田温の備忘録」2019年5月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は岩田温の備忘録をご覧ください。

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