自民党の財政再建推進本部の基本方針が固まりました。私もアドバイザーの一人として議論に参加しています。NHKはじめ多くのメディアは「予定通り10月に消費税率を引き上げる」ことをニュースとしていますが、本質はそこにはありません。最も正確に報道できているのは日経新聞でした。
自民党の財政再建推進本部(本部長・岸田文雄政調会長)は16日、財政再建に関する提言の基本方針をまとめた。2040年代半ばごろまでの中長期を見据えた財政再建計画の必要性を明記した。そのうえで国民に受益と負担の組み合わせの選択肢を提示すべきだとの認識も示した。債務残高の名目国内総生産(GDP)比を段階的に引き下げることも求めた。
出典:『「40年代半ば見据え財政運営」 自民推進本部が基本方針』(日経、5月17日)
社会保障を維持するために、中長期的に財政の健全化を図る必要がある、という点に今回の取りまとめのポイントがあります。
特に2040年には団塊ジュニア世代が全員高齢者となるため、現役世代への負担が大きく高まります(人口ピラミッドが逆三角形になるため)。したがって、社会保障や財政は2040年よりも先を見据えて検討する必要があることを団塊ジュニア世代の一人としてお伝えしました。
政府の財政諮問会議でも、経済と財政の見通しは10年程度先しか検討していません。もちろん経済予測は困難ですが、人口と強く連動する社会保障の予測は可能です。
これまでの政府は東京オリンピックがある「2020年」を節目として政策が描かれていました。今回の方針を契機として、今後は「2040年」を節目としてあるべき社会像を検討することを、政治・行政に期待します。
編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2019年5月17日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。