初めてづくし!画期的なピエール瀧さんの裁判

田中 紀子

昨日6月5日に、ピエール瀧さんの初公判が行われました。
傍聴に行こうかと思いましたが、くすぶりギャンブラーの私が傍聴券にあたるはずないとやめましたが、報道ベースや、マスコミ関係の知人、その他関係者の方から色々聞き込み、今回の裁判は、まさに画期的だなぁと思った点がいくつかあったので、その点に関してお話ししたいと思います。(動画はANNニュースチャンネル公式YouTubeより:編集部)

1)情状証人

なんとこの裁判の情状証人は、我らが松本俊彦先生が出廷されたとのこと!
メディアでは、担当医と報道せれている所も多いですが、日刊スポーツさんが実名報道していたので、私も暴露します(笑)松本先生すみません。
ピエール瀧被告にストレス「自分1人で抱え込んだ」

なんせこの私、松本先生が部長をつとめる、国立研究開発法人国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部の末席に籍をおく研究生。
松本先生の天才ぶりと、どれだけ薬物依存のスティグマ解消に尽力されているか、間近で見て参りましたので、「これは先生凄いご決断」と思わず拍手喝さい!
「先生、振り切りましたね~!」と思わずメッセージを送ってしまいました(笑)

だってこんなことしたらマスコミに追いかけられて大変じゃないですか。
事実、昨日は裁判後隠密行動に出られたようですが・・・けれどもこれで、
「薬物問題は自分だけで止めていくのは難しい。まずは治療を受けよう!」
というメッセージが大大的に啓発されることになり、我々としては有難い限りです。

松本先生は、薬物依存症の第一人者であられるので、これまでも著名人の方を治療されてきたとは思いますが、今までもちろん絶対に誰の主治医か分からないように一切発信されてなかったんですよね。
ところが高知東生さんが堂々と「主治医です!」と言っちゃった(笑)。
ここのくだり面白いので、是非ご覧下さい。

もうこれで松本先生振り切っちゃったのかしら?と勝手に推察してますが、本当にこの大英断には、心から感謝です。

2)ピエール瀧さんの意見陳述

ピエール瀧さんお仕事が忙しすぎて、ストレスからコカインを使用したと裁判で述べられましたが、この気持ちはよく分かる・・・と思いましたね。
脳にそれでしかストレス解消ができなくなっちゃう回路が出来ちゃう感じなんですよね。

私も今でも、仕事の上で様々な問題にぶつかって、それを自分一人で「なんとかしなくちゃいけない!」と悪戦苦闘していると、今でも「一発どか~んと賭けて当たったら仕事やめたる!」みたいな気分になりますもんね。

だから私の様に責任感の強いタイプは、責任感を発揮して溜めこんだりせず、問題が小さいうちに誰かに相談したり、こまめにストレスを解消しておくことが、止め続けるために非常に重要なんですよね。
そのために私はいまでも自助グループに繋がっているんですけど。

で、今回の瀧さんが意見陳述で、再発防止策として
「ストレスを一人で抱える生活習慣を改善したい。これからはもっと甘えて頼りながら解決していきたいと思います。」
とおっしゃったことはまさに画期的で、これは本当に評価されることだと思います。

今までの裁判は、浪花節一辺倒で、「自分の心の弱さがあった。強い意志をもって、きっぱりと止めます。」って、再犯防止とは真逆のことを、裁判所も弁護士も言わせてきたので、この発言が法廷でできたことはまさに快挙だと思います。
メディアはくだらない報道ばかりしていないで、こういうキーポイントをきっちり取り上げて欲しいです。

3)相方の石野卓球さん

本当にこの石野卓球さんは神です!
Twitterを拝見すると裁判の時卓球さんは、なんと映画「ゴジラ キング オブ モンスター」をご覧になっていたとのこと!

この飄々とした、世間が何と言おうと自分は自分!という、ブレない態度が本当に素晴らしいと思います。
卓球さんには依存症の家族に講演して頂きたい位ですが、依存症者の家族って、当事者にべったりで、頼まれもしないのになんでもやってあげすぎた上に、本人のことばっかり気にし過ぎてるんですよね。

だから我々そういうご家族には「好きなことしなさい!」と口を酸っぱくして言うのですが、私が現在抱えている裁判になっているご家族の方からの相談も、
「弁護士は国選でいいか?」「お金を差し入れてやりたい。」「面会にいっていいか?」
もうとにかく気になって気になって仕方ないんですよ。
そのくせ世間にバレたら・・・なんて、子供のことを恥じてひた隠しにする・・・みたいなね。

ホント卓球さんは教科書です。
世間が何と言おうと愛情は変わらないけれど、自分は自分の人生を楽しむ!
依存症の家族に一番必要なのは、この気楽さとタフラブなんですよね。

以上、まぁ相変わらず裁判の中では浪花節な所もありましたけど、それでも今回の裁判は、様々な意味で画期的だったと思います。

あと、今回の裁判にあたっては相変わらずマスコミが追いかけまわして、奥様やお嬢様が暮らしていらっしゃるご自宅などにも押し掛けているようですが、もうこれだけ明らかになっているんですから、あとは静かに見守って頂きたいと思います。

本日、保釈日、裁判日にマスコミに追いかけられた高知東生さんに、「たかりこチャンネル」で当日の様子を語って頂きUPしましたので、是非ご視聴下さい。

一般の方々にも報道の在り方の現状を知って頂き、メディアが追いかけまわす風潮が変わっていくといいなと思っています。
宜しくお願い致します。


田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立研究開発法人国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト