毎日新聞が言う「隠ぺい」とは何か?(15日記事への反論)

2019年06月15日 22:00

毎日新聞記事(15日付)で、特区WGの「隠ぺい」が大きく報じられている。連日のことだが、私が提案者を「指南」した、コンサルタント会社に「協力」した云々の話が取り上げられ、その関連で「隠ぺい」が生じたとのストーリーに仕立てたいらしい。

毎日新聞デジタルより:編集部

提案者への助言が特区WG委員の務めであることなど、これまでの私の反論でさんざん書いてきた。記者は相変わらず理解を拒み、「中立・透明性に疑念」などと書いている。私のほうは、もうこれ以上、同じ話を繰り返すのはやめる。

「隠ぺい」について触れておきたい。
毎日新聞のいう「隠ぺい」とは何なのか。

12日付の反論文ですでに記載していることだが、規制改革のヒアリングでは、業界の内情に関する内部告発に類する情報提供をいただくこともある。こうした場合、お話を伺ったこと自体を含め、非公開にするのは当たり前だ。情報が伝われば、お話を伺った方が不利益を蒙ることに直結するからだ。

このような正当な理由に基づく非公開は、一般には、「隠ぺい」と呼ばない。
もし毎日新聞がこれを「隠ぺい」と呼ぶならば、今後、毎日新聞は、情報提供者の利益を守るための取材源秘匿も、一切やめるべきだ。それも、毎日新聞の考えでは、あってはならない「隠ぺい」のはずだ。

この関連で、毎日新聞記者からは14日夜になって、八田達夫・特区WG座長および私にメールでの質問があった。これに対し、15日、代表して八田座長からメールで回答した。八田座長の了解をえて、以下で回答内容を公開する。

<以下、八田達夫・特区WG座長から毎日新聞記者への回答>

1. 全体像

今回の毎日新聞記事(6月11日付)に関して、八田は6月11日の国家戦略特区諮問会議で次のように述べました。

「さて、今朝、毎日新聞のトップの記事に、あたかもワーキングの原委員が提案者からお金をもらったとする見出しが付けられています。しかし、この記事をよく読みますと、結局、そのようなことはどこにも書いてありません。したがって、最初から根拠なく特区制度自体を攻撃することを目的とした記事だと思います。」

全く根拠を示さず、金銭の授受や食事の提供があったかのような記事を書かれたことは極めて残念です。より具体的には、12日付で原委員がフェイスブックなどで公開している反論文をご参照ください。

諮問会議では、さらに、以下を述べました。

「このような特区攻撃をしようとする動機は、どうも制度に関する誤解から生じているのではないかと考えます。
第1に、特区の規制改革は、特定の事業者への認可や補助金の給付とは全く違って、規制改革です。この改革は、全国の特区の新規参入者から参入障壁を取り除きます。場合によっては、改革が行われても、提案者の区域は特区に指定されないことすらあります。このことが無視されています。

第2に、規制を改革するために、委員と提案者は共同して、規制官庁に対峙して議論します。議論に備えてより良い提案が出来るように、委員が提案者に助言する場合があることは、当然のことであります。」

規制改革の提案者は、同業者の政治力によって、強い抵抗、反発、嫌がらせを受ける可能性があります。このため、規制改革課題を抱えていても、実際には提案を躊躇される事業者は数多くあります。こうした中、特区WGの運営に際しては、提案者を守ることを徹底してきました。

12日以降の記事で指摘されている養殖事業に関しては、漁協が不明瞭な算定基準で行使料を徴収しており、これを透明化できないかとの提案でした。水産庁に提案者名や提案内容が伝われば、漁協関係者に情報が伝わり、提案者が不利益を受ける可能性があることから、提案者は当初から、匿名性の確保を強く要望していました。

万一、提案者が非公開を希望したことが漏れるようなことがあれば、その後は、規制の問題点を現場で認識している事業者が、規制改革提案を行う事を躊躇することになるでしょう。これは新聞社が情報源を秘匿するのと全く同じ理由です。

毎日新聞には、メディアの力を使って既得権を持つ事業者達に加担するのではなく、彼らに苦しめられている新規参入者、ひいては消費者全体の味方についていただくことを切に願います。

2.  質問に対する個別回答

以上を前提に、ご質問にお答えします。

質問1:なぜ、開催を非公開としたのですか。非公開にした理由について答えください。

回答2:当WGでは、透明性確保の観点から、運営要領(平成25年5月10日決定)に基づき、審議の内容等を座長が適当と認める方法により公表することとしており、具体的には、原則は公開としつつ、他方で提案者が非公開を望み、それに相当の理由があると認められる場合や、その他提案者を守る必要があると考えられる場合には、非公開を認めることとしてきました。必要に応じ、個別の情報収集や意見交換などの打ち合わせを行うこともあります。

例えば、業界の内情に関する内部告発に類する情報提供をいただくこともあります。こうした場合、お話を伺ったこと自体を含め、秘匿するのは当たり前です。

2016年議事要旨で「昨年のヒアリング」として記載されているのは、以上のような事情に基づき、非公開で個別の打ち合わせを行ったものです。

質問2:このほかにも、開催を非公開扱いしている提案者ヒアリング(公式、非公式を問わず)はありますか。

回答2:上記のとおり、ほかにも、必要に応じ非公開で個別の打ち合わせを行うこともあります。

質問3:今回の「非公開」の決定は、原英史座長代理が提案者に助言などをしていたことが影響しているのではありませんか。

回答3:一切関係がありません。

質問4:今回の「非公開」の取り扱いは、特区制度の透明性・公平性確保の点で問題はないのでしょうか。ご見解をお答えください。

回答4:提案者を守るために必要に応じて非公開で個別の打ち合わせを行うこともあります。透明性・公平性確保に何ら問題の生じる余地がありません。

原 英史
1966年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理などを務める。著書に『岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか』(新潮新書)など。


編集部より:この記事は原英史氏がFacebookに投稿された毎日新聞に対する抗議文をベースに作成されました。 原氏に賛同し、他にも掲載されているメディアもあります。記事が拡散され、アゴラでも関連の意見が投稿されるなど社会的な議論が広がりつつあります。

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原 英史
政策工房 代表取締役社長

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