香港政府、逃亡犯条例先送りも、ネット「油断ならない」

アゴラ編集部

香港政府は15日、刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡す「逃亡犯条例」の改正を延期した。条例改正の動きに対し、大多数の市民がデモを展開し、12日には警官隊が衝突して80人が負傷する事態となっていたが、時事通信によると、林鄭月娥行政長官は記者会見で「状況が落ち着きを取り戻し、市民の意見を聴取するための措置だ。中国政府も決定を尊重してくれた」と述べ、デモの影響を認めた。

NHKニュースより

改正案では、「政治犯は対象外」とされているが、中国政府が政治的に好ましくないと判断する人物に対しても強引に訴追対象として引き渡される可能性や、「一国二制度」で約束された香港の自治が大きく揺らぐことが懸念された。また、外国人も含まれる可能性も指摘され、欧米各国からも批判の声が相次いでいた。

日本のネットでは、改正延期が報じられてから数時間後には「香港政府」がツイッターのトレンドでトップになるなど高い関心を集めた。

前東京都知事で、国際政治学者でもある舛添要一氏は、今回の香港政府の決定について、ツイッターで「人権を守ろうとする市民と北京政府の方針との板挟み状態だ。今の習近平路線だと、一国二制度の維持は容易ではない。香港の情勢は、北京と台北の関係にも影響する」との見方を示した。

ただ、「延期」とする香港政府側の見解を「事実上の棚上げ」とみる報道もされているが、ツイッターでは

延期であって中止ではないのに注意ですね

どうせほとぼりが冷めた頃にまたやるんじゃないの?信用ならない。

取り敢えずデモの勝利だが、香港のいばらの道は続く。連帯して行こう

などと、中国政府への根強い不信感を示すコメントが次々に書き込まれた。

朝日新聞でテヘラン支局長などを歴任した国際報道部の神田大介記者は、「楽観はできないが、これはデモの大きな成果。天安門から30年、時代は後戻りしてはいなかった」とツイートし、香港返還後、最大規模の100万人が参加したとされる市民デモの成果を指摘した。

日本にも先週来日して香港の危機を訴えた民主活動家の大学生、周庭(アグネス・チョウ)さんは、「反対活動はまだ終わっていない、明日のデモ予定にも変更はない。」と述べ、16日も引き続き活動する意向を明らかにした。