データ駆動社会をチャンスに。自民党情報通信戦略調査会からの提言

2019年06月18日 06:00

自民党の通信、放送、情報分野の政策を担う情報通信戦略調査会で、先週、「グローバル競争に打ち克つデータ流通基盤への転換 -わが国の情報通信産業の飛躍に向けて-」と題した提言を石田総務大臣と手交しました。私も事務局を務めており、テクノロジーの進展が、ひとを豊かにし、フェアな社会をつくることに役立つよう提言をまとめています。

情報通信の基本法である電気通信事業法は、1985年に制定され、以来30回以上の改正を重ねてきました。それだけこの分野は進化が著しく、常に法律や規制の見直しが必要であることを表しています。今回の提言も、従来の日本の強みであるハードの技術力に加え、データを中心としたソフトを国際競争力に転換していけるか、という視点で、予算と法改正について提言しています。

提言の要点の私なりの解釈は以下の通りです。提言書全文は長くなりますが、こちらにポストしていますので、ぜひご興味を持っていただけると嬉しいです。

写真AC:編集部

提言の背景:

  • IoT・AI・ビッグデータ・ロボティクスなど、世界の産業構造は大きく変わり、すべての根幹には「データ」の存在があります。
  • 米中の冷戦もそのデータの取り扱いに起因し、データの収集と利活用に早期に着手して成功した企業がグローバルで巨大化し、各国の政治や産業にまで大きな影響をもたらしています。
  • 一方で、日本の情報通信産業は、光ファイバー等のインフラ整備では世界に先行したものの、それを使ったビジネスの開発・展開で出遅れていると指摘されています。
  • 行政も旧来の縦割りが民間だけでなく行政の効率化を阻み、国全体の推進利欲に影響を及ぼしています。

提言の概要:

1. 情報通信産業の国際競争力強化に向けた方策について、アクションを提言しました。デジタルトランスフォーメーションの遅れは、民間の経済活動や個人の生活の快適性、さらに行政の仕事の効率化を阻んでおり、遅れた分だけ他国の事例などから学び、強力に推し進めることができると信じています。データの積極的利活用、5Gの展開、人材育成、新規産業への投資と大企業におけるビジネスモデルのイノベーションを促進することで、このデータ駆動社会のグローバルトレンドを日本のチャンスにできると考えています。

また、日本主導によるデータの自由な流通の促進及びそのための信頼性のあるデータガバナンスの構築を図るため、国際機関との連携を進めるとともに、 国際的なルール形成における主導的役割を強化することも重要です。

2. 強大なグローバルプレイヤーと国内の産業がフェアに戦えるルール形成のため、法改正を視野に提言しました。日本の国内法が国内の事業者に適用される一方で、国境を超えてサービス 提供する海外のプラットフォーマーには適用が及ばない場合があり、公正な競争環境が担保されていない可能性が高く、関連する法律の見直しと改正が必要です。

3. 独占禁止法の運用強化や見直し等による競争環境の整備は今後のキモになると考えています。巨大なプラットフォーマーによる優越的地位の濫用等を防止し、取引の 公正性・透明性確保を図るため、 独占禁止法の運用強化や見直し等の検討が必要です。また、プラットフォーマーを対象とした新たな独占禁止法のガイドラインや、 取引の透明化を促進するための新たな法的規律について、公正取引委員会 と総務省、経産省が連携して検討を進めることを求めています。

さらに、個人データ及び非個人データの双方について、データポータビリティやAPI開放等のデータ流通ルールを検討しなくてはなりません。プラットフォーマーを対象とした新たな個人情報保護法のガイドライン などの必要性について、個人情報保護委員会と総務省等が連携して、検討を進めることを提言しています。

4. 地方の活性化をどう進めるか —- 言葉が先行して理解が進んでいないことにも問題意識を持っていますが、Society5.0 の恩恵を広く波及させるため、成功モデルを確立し、効果を定量的に示して、デジタル技術を積極的に取り込んだ新しい街づくりを進めることが 必要だと考えています。その際、自治体ごとに異なるシステムにならないよう、国と自治体が連携し、技術標準やデータフォーマットを共通化するための取組も必要です。

キモとなるのは、5Gで、5Gを巡る国際競争が激化する中、その基盤となる5Gネットワークやこれ を支える光ファイバ等の情報通信基盤の整備を加速化していかなければなりません。地域課題解決のための農業・医療・教育・ 防災など多様な分野での5G実証、5G活用による遠隔・自動サービス等の 障壁となる制度の総点検、地方における5G導入の支援体制の整備等がそれを後押しすると考えています。また、人材不足を補うとともに、地域課題解決や住民サービスの向上を 目的として、全国の自治体におけるAI・RPA等の導入を支援することが必要です。

5. キャッシュレス地域社会実現を加速すべく提言をしています。現状、他の先進国に比べ、キャッシュレス化の遅れが顕著です。キャッシュレスの良さは、手軽さはもちろん、毎月の利用状況が簡単に確認できること。私も日常生活ではほとんど財布を持ち歩かず、支払いのほとんどをモバイル決済で済ませています。皆さんもぜひ試してみてください。

6. データ社会によって情報は個々人が必要なものだけを受け取れるようになりました。しかしそれによって世界では社会の分断が進んています。私も日々の情報収集はほとんどがスマホです。気をつけていないと自分が好む情報しか入ってこなくなってしまいます。放送は広く等しく情報を配信することで社会を安定化させる機能を担っている面があります。自分と違う意見があること、知らなかったことを知ることでお互いの理解が進み、社会は安定していきます。

一方で、コンテンツは一つの産業です。地域の放送局、自治体、産業界が連携して、優良なコンテンツを作り、放送を通じて、日本や地域の魅力をグローバルに発信していくことで、インバウンドに貢献することができます。

7. データ社会は長い歴史においては始まったばかりで、世界的な試行錯誤の最中です。ICT利活用により誰もが豊かな人生を享受できる共生社会の実現に向け、だれでも気軽に相談できる「デジタル活用支援員」の整備、参加型の機器・サービスの開発の推進、世代を超えてプログラミング等を 学び合う地域ICTクラブの全国展開等のデジタル・デバイド解消のための 施策を推進し、テクノロジーによってインクルーシブな社会の実現を目指します。

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小林 史明  衆議院議員(広島7区、自民党)

自民党青年局長代理、行政改革推進本部事務局長。 電波、通信、放送政策、海洋水産政策、社会システムのデータ、標準化に取り組んでいる。2007年上智大学理工学部卒業後、NTTドコモに入社。2012年の衆院選で自民党から立候補し、初当選。第3次、4次安倍改造内閣にて総務大臣政務官(情報通信、放送行政、郵政行政、マイナンバー制度担当)。公式サイト。LINE@では、イベントのおしらせや政策ニュースをお届けしています。登録はこちら


編集部より:この記事は、衆議院議員、小林史明氏(自由民主党、広島7区)のオフィシャルブログ 2019年6月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は小林史明オフィシャルブログをご覧ください。

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小林 史明
衆議院議員(広島7区、自民党)

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