陸自MLRS退役。特科のポートフォリオは?

■本日の市ヶ谷の噂■
陸幕は今中防衛大綱、期防から203ミリ自走榴弾砲の退役を実施、合わせてMLRSも退役させる意向との噂。

203ミリ自走榴弾砲(陸自北部方面隊第1特科団サイトより:編集部)

さて、遅々として進まない戦車、火砲の削減ですが、どうせならFH-70よりも203ミリを優先させるべきでした。
口径が違う、年代もモノの上に、装軌式、操作要員も多い。203ミリの退役を優先させ、FH-70と99式にだけにすれば、弾薬の種類も削減でき、また整備や教育、運用コストも削減できたでしょう。

MRLSを削減することは多連装ロケットがなくなることを意味しますが、それでいいのか?と思います。
新規に導入する滑空弾の部隊がこれに変わるものという認識かと思います。
ですが、瞬間制圧能力のある多連装ロケットをゼロにしていいとは思いません。
HIMARSのようなトラックに載せたタイプの導入も検討すべだったと思います。

射撃態勢のMLRS自走発射機(陸自北部方面隊第1特科団サイトより:編集部)

MLRSは99輌が導入されて、まだ60輌以上が現役だと思いますが、それが退役するとなると削減火砲の状況が変わってきます。300門のうち、60〜70輌がMLRSだったわけで、それが火砲の範疇から消えると、その分榴弾砲の数を増やせます。

現在のところ、滑空弾は火砲には含めないようなので、大綱にある火砲の定数は実質60〜70門は増えるということになり、焼け太りになる可能性もあります。

増えた分がFH-70をそのまま据え置くのか、あるいは60〜70門の装輪自走榴弾砲にするのか。
キチンとした説明を納税者にすべきです。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2019年6月18の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。