毎日新聞には「中立・公平」な報道姿勢を望む(6月19日)

2019年06月20日 06:01

毎日新聞朝刊(19日)より

毎日新聞記事(19日付)では、相変わらず、「原英史座長代理が指南した」案件について記事掲載されている。

これまでの反論でずっと言ってきたが、提案者に助言することは、特区WG委員の本来の役割だ。それが特別なこと、あたかも不適切なことであるかのように記事を書くのは、そろそろやめられたらどうかと思う。

規制改革提案のプロセスは、補助金申請などのプロセスと違う。提案者と特区WGと提案者が「受験生と試験官」の関係でないことは繰り返し説明してきた。規制改革が実現すれば、提案者だけでなく、ほかの事業者も新たなルールの適用を受けることも説明してきた。

もうひとつ説明を加えておくと、提案者と特区WGの関係は、訴訟における「依頼人と代理人(弁護士)」の関係に近いともいえる。どういうことかというと、規制改革プロセスは基本的に、「規制を変えてほしい人たち」(例えば、新たなビジネスモデルで参入しようとする事業者など)と、「規制を維持したい人たち」(現行規制のもとで利益を得ている既得権勢力など)の対立構図だ。

前者の駆け込み寺が特区WGで(ほかにも規制改革ホットラインなどがある)、後者が頼るのは通常、規制を所管する国土交通省、農林水産省、厚生労働省などの役所だ。

特区WGは、「規制を変えてほしい人たち」から話を聞き、その「代理人」として、「規制を維持したい人たち」の「代理人」である役所とやりあう。「代理人」が「依頼人」に助言するのは、本来業務そのものだ。また、「依頼人」と「代理人」の打合せで、ときに非公開にすべきことがあるのも、訴訟の場合と同様だ。

毎日新聞には、ぜひお願いしたいことがある。

毎日新聞記事では、提案者と特区WGの打合せについて、「透明性の確保」が重要だと主張し続けている。それならば、反対側の当事者である、「規制を維持したい人たち」と「代理人」の間のやりとりについても、ぜひ「透明性の確保」を追求してほしい。

私の知る限り、特区WGは原則公開されているが、他方で、多くの業界団体、所管省庁、関係議員などの間のやりとりは、省庁のホームページをみてもほとんど探しだせない。「ブラックボックス」にかなり近いように思われる。

また、それらの間での金銭のやりとり、人的な行き来なども、すべて解明してもらいたい。

毎日新聞記事は、この観点で貴重な指摘をされている。水産庁OBが漁業協同組合に再就職されている事実だ。これに限らず、ぜひ全容の解明に取り組んでもらいたい。

もし、それをせず、一方当事者にだけ「透明性の確保」を求め続けるとすれば、毎日新聞でよく使わる言葉を借りれば、「報道機関としての中立性・公平性に疑念」が生じてしまうのでないかと思う。

もうひとつ、19日の記事では、水産庁の記録に残されていた、私の言葉づかいが問題にされている。

水産庁の記録では、私の発言として「そんなことをこちらから説明しなければならないのか!水産庁で調べるべき話だろう!」とされ、これに対し、野党の国会議員が「どう喝したのか」と疑問視されているという。

おことわりしておくと、私は、この件に限らず、特区WGでも規制改革推進会議でも、ときに強い口調で省庁担当者と議論することがある。ただ、言葉遣いは、相当激しい言い合いになった場合であっても、自分の側は丁寧な言葉を使うよう心掛けている。このため、「ならないのか」や「だろう」は、水産庁のメモでの記録上、端折って書かれたもので、実際はもう少し丁寧な言葉だっただろうと思う。

ただ、とはいっても、国会議員の方々からまで問題視されたことは、受け止めたい。

これからは、野党PTでの国会議員の方々の議論のなされ方なども動画などをみて勉強させていただき、より適切な議論の仕方を心掛けたいと思う。

原 英史
1966年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理などを務める。著書に『岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか』(新潮新書)など。


編集部より:この記事は原英史氏がFacebookに投稿された毎日新聞に対する抗議文をベースに作成されました。 原氏に賛同し、他にも掲載されているメディアもあります。記事が拡散され、アゴラでも関連の意見が投稿されるなど社会的な議論が広がりつつあります。

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原 英史
政策工房 代表取締役社長

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