騙しのテクニックを自白した毎日新聞

2019年07月14日 06:01

毎日新聞社は原英史氏の公開質問状(7月2日)への回答で重大なエラーを犯した。回答書で、毎日新聞が紙面で「騙しのテクニック」を使ったことを自ら暴露してしまったのだ。今回はその点について明確化しておきたい。

毎日新聞東京本社(Wikipedia:編集部)

公開質問(7月2日)と毎日の回答(抜粋)

原氏による毎日新聞社代表取締役社長丸山昌宏氏への公開質問と、それに対する毎日新聞社東京本社編集編成局長砂間裕之氏から原氏への回答書から、重要な部分を抜粋する。

原氏側から毎日側への質問(7月2日付け):

質問1、毎日新聞の一連の記事では、概略以下の事項が指摘されました。これらにつき、私は別添(別便で送付します)の反論書をすでに公開しています。それぞれの事項につき、反論書を踏まえての見解を示してください。

1)原・特区WG委員が立場を利用して200万円の指導料を受領し、会食接待を受けた。(他質問は省略)

毎日新聞砂間裕之編集編成局長から原氏側への回答(7月8日付け、抜粋):

質問1で、貴殿は、毎日新聞が「原・特区WG委員が立場を利用して200万円の指導料を受領した」旨を報じたと主張していますが、記事にそのような記載はなく、記事の趣旨を歪曲するものであり、遺憾です。

これらの認識相違に注目すると、3つの大きな差異が読み取れる。

差異1:質問側と回答側の質問趣旨の認識差異

重要部分を比較のために並べる。

原氏:“200万円の指導料を受領し、会食接待を受けた”
毎日:“200万円の指導料を受領した”

原氏は「200万円の指導料を受領し、会食接待を受けた」と記事で指摘されたと記述しているのに対し、毎日は「200万円の指導料を受領した」と記述しており「会食接待を受けた」という部分を欠落させている。失念ではなく“無言のメッセージ”として見るならば、毎日新聞は現在でもその記述を真実だと考えているのだ。

しかしこの点については、原氏が明確に根拠を示して否定している。原氏の名誉を汚している毎日は、取材メモなり録音記録なり、原氏の根拠を上回る信憑性を持った証拠を提示する道義的な責任があるが、示していない。

原氏の当該反論の根拠を、「虚偽と根本的な間違いに基づく毎日新聞記事に強く抗議する」(アゴラ6月12日)から抜粋する。

記事では「料理屋で会食し、法人が負担した」と記載されているが、事実と異なる。

2014年11月29日は、15時まで福岡市中心部で福岡市主催の会議があった。(中略)遅くとも16時頃には一緒に空港に向かった。その間に会食などしたわけがないことを、記者にも伝えたはずだ。

「大皿が並ぶカウンター席」やら「かっぽう料理屋でふぐ」など、あたかも私が食事の供応を受けたかのような記載があるが、いい加減な記事を書くのはやめてもらいたい。

差異2:取材への回答と当該記事との差異

取材を受けた原氏が回答した内容と、それを基に記述された記事との差も著しい。

同じく原氏6月12日反論から抜粋する。

私がインタビューで、「食事ぐらいはいったと思う」と答えたことになっているが、これも事実と違う(中略)誤った引用がなされたことも、極めて遺憾だ。

「会食接待をした」と毎日が6月11日に報じた直後に、原氏はその報道のもとになったと思われる取材と回答に関して明確に開示し、毎日の報道を否定した。しかしこれについても、確証性において原氏を上回る証拠を毎日は提示できていない。これらの点を放置する毎日新聞は無責任で不誠実だ。

また、「200万円のコンサルティング料」と報じているが、当該コンサルティング会社の社長と思われる人物は「金額も全然違う」とコメントしていたとインターネットテレビで報道されている(筆者視聴)。事実ならば誤報である。これについても調べれば金額の間違いがすぐに判明するだろうが、その訂正記事も毎日は出していない。

差異3:記事読者が受ける印象と報道趣旨の差異

この差異が、今回の回答が暴露した大失態である。毎日新聞は回答で次のように表明した。

 質問1で、貴殿は、毎日新聞が「原・特区WG委員が立場を利用して200万円の指導料を受領した」旨を報じたと主張していますが、記事にそのような記載はなく、記事の趣旨を歪曲するものであり、遺憾です。(回答書より抜粋、太字と下線は筆者)

確かに記事をよく読むと、「原氏が200万円を受領した」という趣旨の記述はない。その点、毎日の回答は、「記事の趣旨」を正確に表現している。しかし、6月11日の毎日紙面において記事は一部に過ぎず、図表も使って「原氏が不当利得した」印象を持たせる構成である。1面に大きく配置した図表はもはや“悪意のコラージュ画像”だ。

具体的には、「原氏の暗い表情の写真」を意図的に使い、「紛らわしい矢印」や「協力関係をほのめかすグレーな網掛けによる囲い」など、騙しのテクニックを駆使している。これらによって、毎日の回答が主張する「記事の趣旨」とは明らかに違う「疑惑」を紙面全体で演出しているのだ。

毎日新聞デジタルより:編集部

その結果読者は、「よく解らないけど原さんは何か悪いことしたのかな?」という印象を持つ。この点はジャーナリスト岩瀬達哉氏も「普通の読者の注意力と読み方をすれば、原氏はカネだけでなく、饗応など甘い汁を貪欲に吸っていたと受け取れる内容だ。」と週刊現代のコラム「ジャーナリストの目」(7月13・20日号)で評論している。権威に頼るのは新聞の常套手段なので使いたくないが、ジャーナリストとして数々の実績を持つ岩瀬氏による論評は一考に値する第三者コメントである。

毎日新聞は、悪意ある紙面を構成しながら、読者が素直に受け止めれば「それは記事の趣旨を歪めており遺憾だ」と逃げる。しかしその「狡賢い逃げ口上」によって毎日新聞は、自らの「騙しのテクニック」も明確に公開してしまった。

結論:誤報を認めれば、紙面の不実が帰納的に証明される

「200万円」という金額の記述は誤りである。しかし誤報としての訂正記事は絶対に出せない。なぜならそれは、誤報ではなく意図的に仕組んだ虚報の一部だからである。つまり、「200万円」という誤りは小さな1点に過ぎないが、これを訂正することはせっかく積み上げた虚偽ストーリーの最初の前提を崩してしまい、紙面全体の崩壊につながるからである。

言い換えると、この意図的に紛れ込ませた1点の間違いを認めることで、あたかも「ドミノ倒し」の如く、積み上げた虚偽の前提が次々と暴露され、紙面の不正が帰納的に証明されてしまう。そのようなことをすれば、訴訟に負けるだけでなく、一連のキャンペーンで累積した「虚報の負のエネルギー」が決壊し自らに跳ね返ってくることにつながるだろう。

毎日新聞は、もう飛び降りることが不可能な高さまで位置エネルギーを溜めてしまったが、ハードランディングを回避する唯一の手法は、原氏への誠実な謝罪だろう。7月11日に原氏より毎日新聞社へ送られた「再質問状」に事実を「隠蔽」することなく回答し、一日も早く、原氏の名誉の回復に力を注ぐべきではないか。

田村 和広 算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰
1968年生まれ。1992年東京大学卒。証券会社勤務の後、上場企業広報部長、CFOを経て独立。

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田村 和広
算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰

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