毎日新聞社への「公開質問状」(7月2日付)に対し、編集編成局長からのお返事(7月8日付)をいただいたが、全く答えになっていない。社長からの回答を求めていたが、社長からの回答でもない。
このため、7月11日付で「再質問状」を内容証明付で送付した。到達を確認したので、以下で公開する。
なお、毎日新聞は、この間もまだ、虚偽報道を止めていない。7日記事(すでに反論文公開)に続き、11日には「特区は利権、公正さに疑問 片山義博元総務相に聞く」との記事が掲載された。
この記事は、およそ論評に値しない。これまでの誤った報道内容を前提に、片山氏にコメントを求めただけだからだ。
毎日新聞は、7日記事では野党PTでの国会議員の発言をやたらと引用した。今度は識者へのインタビューだ。著名人たちの名前を利用し、一連の報道の正当化や権威付けを図ろうとしているのかもしれないが、これはダメだ。前提が虚偽なので、記事全体が意味をなさない。
たとえていえば、自分で放火しておいて、被害者の失火責任を糾弾するコメントを近所で集め、記事にしたようなものだ。
私はこれまで、毎日新聞に対して、自分の言葉で、自分の責任で、反論してきた。毎日新聞にも、「〇〇さんが言っている」ではなく、責任ある言論で答えてもらいたい。社長の回答を引き続きお待ちしている。
再 質 問
株式会社毎日新聞社
代表取締役社長 丸山昌宏殿
貴社の発行する毎日新聞2019年6月11日以降の一連の国家戦略特区に関する記事について、7月2日付で質問状をお送りしましたが、まだ貴殿から回答をいただいていません。
できる限り速やかに、遅くとも本書面到達から7日以内に、回答を書面でいただくようお願いします。
なお、7月8日付で東京本社編集編成局長砂間裕之殿からいただいた回答に関する見解は、ご参考まで別送します。
2019年7月11日
原英史
<別送>
毎日新聞社編集編成局長からの回答に関する見解
毎日新聞社編集編成局長から、7月8日付で回答をいただいた。
私が求めていたのは、社長の回答だ。なぜならば、毎日新聞社に「正確・公正な報道を行い、公共的使命を果たそう」との姿勢、社内体制があるのかどうかを問うための質問だからだ。社長からの回答を引き続きお待ちしている。
編集編成局長の回答についてコメントしておく。
質問1について
「一連の記事は適切な取材に基づいており、国家戦略特区制度の中立性や公平性、透明性への懸念を国民に抱かせかねないという問題意識で報道しています」では、全く回答になっていない。
私の反論文で、一連の記事に誤りがあることを指摘した。これに回答いただきたい。
自らの「問題意識」だけで一方的に報道を行い、反論に回答しない姿勢では、「社会の公器」たりえない。「新聞倫理綱領」にも明白に反する(特に「正確と公正」「独立と寛容」「人権の尊重」の項)。毎日新聞社の考え方を、社長に回答していただきたい。
なお、回答では、反論には答えない一方で、私が「記事の趣旨を歪曲」したと指摘している。6月14日付「抗議書」ですでに示したとおり、記事は、私が指導料を受領したとの事実を適示するものであり、指摘はあたらない。
質問2~4について
私は、一連の記事がいかなる意図をもって、いかなるプロセスを経て出されたのか、明らかにしていただく必要があると考えて質問している。他者には「透明性」を求めるが、自らの取材・編集過程を問われたらすべて「ブラックボックス」では筋が通らない。
報道機関には、高度な公共性とそれに伴う責任がある。真摯な回答を社長からいただきたい。
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原 英史
1966年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理などを務める。著書に『岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか』(新潮新書)など。
編集部より:この記事は原英史氏がFacebookに投稿された毎日新聞に対する抗議文をベースに作成されました。 原氏に賛同し、他にも掲載されているメディアもあります。記事が拡散され、アゴラでも関連の意見が投稿されるなど社会的な議論が広がりつつあります。