毎日新聞社への5つの疑念 ~「再質問状」への無回答について

2019年07月22日 06:00

毎日新聞虚偽報道につき「再質問状」を送付したが、期限を過ぎても回答がない。(「公開質問状」→「回答」→「再質問状」の経過についてはこちらを参照)。

現時点で回答がないことを含め、これまでの対応を踏まえ、毎日新聞社には5つの疑念を持たざるを得ない。

1)「事実」を軽んじていないか?
2)「読者」をバカにしていないか?
3)「人権」を軽視していないか?
4)報道機関の「責任」の自覚が欠如していないか?
5)規制改革に反対する「特定勢力」に利用されていないか?

毎日新聞社(Wikipedia:編集部)

1)「事実」を軽んじていないか?

「事実へまっすぐ」は、毎日新聞のCMで使われてきたキャッチフレーズだ。だが、本当にそうか?
7月8日付「回答」で、毎日新聞社編集編成局長は、一連の報道につき「特区制度の中立性や公平性、透明性への懸念を国民に抱かせかねないという問題意識で報道しています」とだけ答えた。一方で、私の反論には答えなかった。

「問題意識」をもって取材することは、大いに結構だ。
だが、「問題意識」を優先し、「事実」を軽んじてはならない。言うまでもなく、「問題意識」に引きずられて、ウソを報じてはいけない。

今回の報道では、当事者の私が「記事は虚偽」と反論した。「事実」を重んじるなら、反論に向き合う必要がある。再反論するなら、したらいい。できないなら、訂正しなければならない。

反論を黙殺する「回答」は、「事実へまっすぐ」と明らかに反する。私に対して不誠実という以上に、「事実」に対して不誠実だ。

毎日新聞社として本当にそれでよいのか?
「再質問状」では、社長に再度回答を求めた。もしこのまま回答がないなら、毎日新聞社として、「問題意識」優先で「事実」を軽んじている、と断定せざるを得ない。

2)「読者」をバカにしていないか?

7月8日付「回答」では、記事に「原委員が指導料を受領した」との記載はない、そんな読み方をするのは「記事の趣旨」と違う、との言い逃れもした。

こんな言い逃れは、通るわけがない。6月11日記事では、明らかに私が200万円を受領したとしかみえない見出し、図、私の顔写真が掲げられた。さらに「収賄罪」相当との識者のコメントも掲載された。

この記事をみた篠原孝・衆議院議員(国民民主)は、ブログで「(原が)自分の懐を肥やしている」として、私の不正を大いに難じた。記事をふつうに読めば、そう思うのは当然だ。

毎日新聞社の言い逃れは、見方を変えれば、毎日新聞は「欺罔的な見出しや紙面構成で、読者を騙している」と自白したに等しい。田村和広氏がアゴラの記事「騙しのテクニックを自白した毎日新聞」で書いているとおりだ。

ここまで読者をバカにしたことを、平然と言っていてよいのか?

顧客を大切にしないなら、企業として失格だ。

(なお、篠原議員は、毎日新聞に騙されたからといって、責任を逃れられない。事実確認もせずに虚偽の誹謗中傷を拡散したことは別問題だ。篠原議員には、法的措置を含め早急に対応する。)

3)「人権」を軽視していないか?

毎日新聞社の「毎日憲章」(1946年制定)では、「人権の尊重」が掲げられている。
だが、今回の一連の報道では、私の人権が大いに侵害された。

加えて、私以外の者への行き過ぎた取材についても、これまでの反論で指摘した。何ら公的な仕事に関わっているわけでない者、情報秘匿を求めていた者に対し、重大な人権侵害があったことを指摘した。

毎日新聞社は、取材過程を検証したか?
もし検証もせず、「取材は適切だった」と言い続けているならば、人権軽視の企業体質と考えざるを得ない。

4)報道機関の「責任」の自覚が欠如していないか?

毎日新聞社は、自分たちは「原の疑惑を追及する立場」としか思っていないのかもしれない。
大きな勘違いだ。今回、毎日新聞社は、「自らの虚偽報道につき追及を受ける立場」でもある。

だから、「公開質問状」では、取材・編集過程につき回答を求めた。これに対し、「回答」では「取材・編集の過程に関するもので、お答えしかねます」というだけだ。

お話にならない。もし毎日新聞が疑惑を追及する側で、こんな対応を受けたら、「許しがたい隠蔽」と大問題にするはずだ。

毎日新聞社は、報道機関の「責任」の自覚はあるのか?

とりわけ新聞は「報道の完全な自由」を有する。事実を報じているか政府にチェックを受けることなく、虚偽報道をしたからといって業務停止命令を受けることもない。だからこそ、その行使には、重い責任が伴う。

今回の取材・編集の過程は、検証し、読者や社会全体に検証結果を伝えなければならない。

5)規制改革に反対する「特定勢力」に利用されていないか?

今回の一連の報道は、実に不自然だ。
国会議員や有名識者ならともかく、なぜ私のような一民間委員を、ここまで攻撃したのか。しかも、事実無根の捏造までしたのか。当事者の私からみて、不思議でならない。

背後に、規制改革に反対する勢力がいなかったか? つまり、私が特区や規制改革の委員を務めていることが不都合で、排除したいと思っている役所や既得権団体などに、毎日新聞が利用されたのではないか? これが、合理的に考えられる推測だ。

確認のため、「公開質問状」では、公務員から情報漏洩がなかったかなどの質問をした。

なかなか回答いただけないので、正面から再度質問しておく。
今回の一連の報道で、毎日新聞社は、規制改革に反対する特定勢力に利用されていないか?
もしそうでないなら、報道過程につき、納得のいく説明をしてもらいたい。

以上のとおり、私の質問は、個別の記事の妥当性を超え、毎日新聞社の経営の根本的な姿勢・方針を問うている。だから、社長からの回答を求めている。

ひょっとすると、こうした質問に社長に答えていただくために、「7日以内」の期限は短すぎたのかもしれない。
もしそうならば、期限は「7月末まで」に再設定する。

ただ、念のためだが、現状は本来、毎日新聞社にとって、一刻も早く解消すべき状態のはずだ。6月11日以来、毎日新聞は、5日連続一面を皮切りに、他社に追随されることなく一大キャンペーンを展開してきた。これに対し、当事者の私も、私以外の特区の民間委員も、事実に反すると否定してきた。独占スクープならぬ、「独占フェイクニュース」を読者に提供し続けた。少なくともその疑いのかかっている状態だ。

毎日新聞社は、これに何も対応できていない。私の反論や質問を黙殺するだけでなく、7月17日付で特区の民間委員らが共同で出した抗議声明に関しても、報道すらしていない。

このままでは、読者の信頼に応え、社会の公器の役割を果たすことはできない。
一日も早く、丸山社長から回答いただくことを願っている。


再 質 問

株式会社毎日新聞社
代表取締役社長 丸山昌宏殿

貴社の発行する毎日新聞2019年6月11日以降の一連の国家戦略特区に関する記事について、7月2日付で質問状をお送りしましたが、まだ貴殿から回答をいただいていません。

できる限り速やかに、遅くとも本書面到達から7日以内に、回答を書面でいただくようお願いします。
なお、7月8日付で東京本社編集編成局長砂間裕之殿からいただいた回答に関する見解は、ご参考まで別送します。

2019年7月11日
原 英史

<別送>
毎日新聞社編集編成局長からの回答に関する見解

毎日新聞社編集編成局長から、7月8日付で回答をいただいた

私が求めていたのは、社長の回答だ。なぜならば、毎日新聞社に「正確・公正な報道を行い、公共的使命を果たそう」との姿勢、社内体制があるのかどうかを問うための質問だからだ。社長からの回答を引き続きお待ちしている。

編集編成局長の回答についてコメントしておく。

質問1について

「一連の記事は適切な取材に基づいており、国家戦略特区制度の中立性や公平性、透明性への懸念を国民に抱かせかねないという問題意識で報道しています」では、全く回答になっていない。

私の反論文で、一連の記事に誤りがあることを指摘した。これに回答いただきたい。
自らの「問題意識」だけで一方的に報道を行い、反論に回答しない姿勢では、「社会の公器」たりえない。「新聞倫理綱領」にも明白に反する(特に「正確と公正」「独立と寛容」「人権の尊重」の項)。毎日新聞社の考え方を、社長に回答していただきたい。

なお、回答では、反論には答えない一方で、私が「記事の趣旨を歪曲」したと指摘している。6月14日付「抗議書」ですでに示したとおり、記事は、私が指導料を受領したとの事実を適示するものであり、指摘はあたらない。

質問2~4について

私は、一連の記事がいかなる意図をもって、いかなるプロセスを経て出されたのか、明らかにしていただく必要があると考えて質問している。他者には「透明性」を求めるが、自らの取材・編集過程を問われたらすべて「ブラックボックス」では筋が通らない。

報道機関には、高度な公共性とそれに伴う責任がある。真摯な回答を社長からいただきたい。

原 英史
1966年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理などを務める。著書に『岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか』(新潮新書)など。


編集部より:この記事は原英史氏がFacebookに投稿された毎日新聞に対する抗議文をベースに作成されました。原氏に賛同し、他にも掲載されているメディアもあります。記事が拡散され、アゴラでも関連の意見が投稿されるなど社会的な議論が広がりつつあります。

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原 英史
政策工房 代表取締役社長

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