業績悪化が気になる日本企業

2019年07月25日 14:00

ある程度は予想していたことですが、4-6月期の日本企業の業績が想定上に悪化しているようです。それも様々な業種に及んでいることが気になります。

日産HP、日本電産FB、キヤノン・LINE各社ツイッターより:編集部

最新の記事だけでも日産自動車営業利益は9割減が見込まれ、日本電産は営業利益が前年同期比39%減で3期連続マイナス、キャノンは19年12月期の連結純利益を下方修正し37%減、LINEは1-6月期が最終赤字266億円(前年同期が29億円の黒字)と広範な業種にマイナスの数字が躍ります。今週から決算発表が続くため、個別銘柄のサプライズのみならず、場合によっては日本企業の体力や潜在能力、成長性ということが問われる可能性はあります。

ただ、どの会社も手をこまねいているわけではなく、すでに対策を打ったり、対策の結果という場合もあります。日産は人員削減規模を1万人レベルまで引き上げる可能性が指摘されます。日本電産は前期のように「突然落ち込んだため対策のしようがなかったが、今は対策もできており固定費も下がっている」(永守会長)という企業もあります。キャノンは構造改革費用を100億円積み増した結果ですし、LINEはLINEペイなど成長事業への投資がかさんでいることが主因とされます。

ただ、アメリカの企業の4-6月決算の発表が事前予想を上回る好決算が7割以上である状況に対して相反する状態にあると言えそうです。一つには多くの日本企業が中国での下振れを吸収しきれなかったことがあります。次の四半期である7-9月期には韓国向け販売の落ち込みが業績をヒットする企業も出てくるでしょう。もう一つはレッドオーシャンでもがき、場合によっては敗戦し、撤退を余儀なくされている事業も多々出てきそうです。

外から見る日本企業ですが、正直、非生産部門の人が多すぎます。作業の効率化もないし、権限の委譲もできていません。少人数精鋭と言っても「精鋭」がいないのです。この場合の「精鋭」とは東大など有名国公立大学を出た人という意味ではなく、経験豊かで実務に長け、指導力を持った若手であります。

残念ながら日本企業はほとんどこの若手の芽を潰してきました。「お前ら、余計なこと、やるんじゃないぞ」です。結果として旧態依然とした体制の中で社員が「そういう決まりですので」で理解しがたいやり方を顧客に押し付けるわけです。(顧客はおかしいと思っても社員がおかしいと気が付いていないので顧客側は馬鹿々々しいと思うことすらあるでしょう。)

実際に私は今、日本の最大手と称されるある企業と契約締結のさなかにあるのですが、私から見れば契約は半日で終わる作業ですがすでに1週間たってまだ終わらないのです。作業上の問題は何一つないのですが、そのプロセスや確認作業でとてつもない時間がかかっている上に契約後も社内手続き完了まで約3週間かかります、と言われています。これが欧米企業なら「では取引は中止です」というかもしれません。

今や国内事業のみで業績好調という企業は少数派になってきていると思います。どこも海外戦略が一つのキーワードになっているはずです。しかし、最前線を行く海外進出企業では進出先の人間にやらせる、というスタンスが強く出てきています。つまり人材は現地調達であります。となると日本人はどこに行けばよいのか、ということになります。

確かに今、失業率は2.4%といわゆる完全雇用に近い状態になっています。しかし、賃金が上がらないとか闇営業しないと食えないといった実態を見ると企業の給与支払い能力が十分ではない程度の稼ぎとも解釈できます。日本の人口は4月発表の統計でこの1年に26万人減っています。東京ドームが5万人収容とすれば5つ分ずつ人口が毎年減るペースです。人口が減ればGDPも下がります。国力も下がります。企業はリストラと称して雇用関係を見直すでしょう。この傾向は今後増えるはずで当然、実質的な消費への影響は出てきます。(消費メンタルが委縮するという意味です。)

もう一つは契約という発想です。日本には契約があまりにもなさ過ぎます。吉本の芸人たちも契約はないようです。私が日本で取引している企業も契約書がない会社は複数あります。「契約書は?」と聞けば「?」という状態なのです。

また契約書はハンコを押せば何でもよいと思っている社員が多いでしょう。中身なんて誰も読んでいません。先日も「この内容なんですけど、実情とまったく合わないんじゃないですか?」と指摘したら驚かれ、「そこは汲んで頂いて」というわけです。つまり契約書は直さず、取引の実態も違うけど了解して、というのです。ここまでくると心の中で「ふざけんじゃない」と叫びたくなりますが、それが横行しているのが事実なんです。こんなこと、企業の社長さんは知らないでしょう。

これでは日本企業は勝てません。世界で生き残れません。トランプ大統領がちょっと中国を虐めただけで日本企業の業績ががたがたになるようではプロの経営者が少なすぎるというものです。

この問題は後々必ず着目されると思います。日本企業の足腰は思ったより弱いかもしれないと思い始めています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年7月25日の記事より転載させていただきました。

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