東大で「超ヒマ社会」を語ってきました。

2019年07月29日 14:00

東大五月祭「教育フォーラム」。
陰山英男さん、工藤勇一麹町中学校長、鈴木寛さんと登壇しました。
法学部のこの教室で立ち見まで出る1000人の動員は戦後初という声。
教育関係者はとにかく熱くてマジメです。

ぼくの話はいつもの調子。
AIが働く超ヒマ社会はつくって楽しむしかないから、ぼくはスポーツと街と大学を作ってる。
超人スポーツとテック・ポップ特区CiPとiU。教育に関しては、創造・表現教育のCANVAS(幼児)、デジタル教科書(初中等)、KMD(大学院)と来て、ミッシングピースの大学(iU)に挑戦。

次いで登壇した麹町中学校・工藤校長が刺激的でした。
固定担任制を廃止し、中間・期末テストも廃止。
宿題もなし。校則もなし。ピアス・金髪OK。
生徒を自律させる。
革命ですな。
法令で禁止されていること以外は、できる。やれる。
公立校でやっている。できない理由はない。

工藤さんは言う。「子どもに手をかけるほど自律せず、自分がうまくいかないことを誰かのせいにする。あの先生は教え方が悪いと文句を言う。」
はい、大学院も同じです。
学校は教わる場所から、教え合う場所へ。先生は教える人から、ファシリテーターへ。

こうも言う。「働く時間を減らすのを「働き方改革」という。なのになぜ教育は勉強する時間を増やそうとするのか?勉強時間が多いほどいいのか?逆ではないか?」
ぼくは超ヒマ社会に向けて、働き方改革より遊び方改革を提唱していますが、学び方改革のほうが先かもね。

パネルで訊かれました。
「超ヒマ社会は格差社会では?」

超ヒマ社会はAIを使いこなす社会のこと。
使わなければ国内は平等かもしれんが、使いこなす米中に搾取されて国際格差の下に落ちるだけ。

1930年にケインズは近代化でヒマになり、ヒマつぶしが大事になると言った。
効率化・自動化でヒマは実現したが、そのせいで人類は忙しくなった。
超ヒマ社会も忙しくなる。
今以上にやりたいことをするから。格差は広がるので、成長戦略より分配戦略のほうが重要になる。
教育の分配が最重要。その受け皿を作らねば。

ここまでのIT時代はムーアの法則が支配してきた。
半導体の集積率が18か月で2倍になる法則の本質は、超高速ということよりも、未来が予見可能ということ。
しかしAI時代は予見不可能な変化が必至。
変化を楽しむ人だけが生き残る。
何を学んだらいいかも不明。
どんな変化にも対応できるような学び方を学ぶことが大事。

KMDの入学面接で、ある学生がMOOCsでハーバード、スタンフォード、シンガポール国立大学の教授による講座の修了証書を見せた。
そのリスト、東大の卒業証書より値打ちあるんじゃない?
大学の存在意義が問われる事態。
個別の学びはネットでできる。
学校は場としての価値をどう発揮するかです。

すずかんさんが「緊張とジレンマに向き合うコンピタンスが重要」と指摘しました。
その問題解決、米中は苦手。
中国は独裁で調整下手。
米国は裁判のジャッジ社会。
学校のもめごとも当人や親が協議せず先生のジャッジに委ねる。
ビューティフル・ハーモナイズ令和の日本のほうが協調での解決力がある。

交渉・協議は下手かもしれない。
でも歌い好き。
街で外国人に歌ってとリクエストしても拒否されるが日本人は歌う。
尖閣問題で日本鬼子(リーベングイズ)と非難する中国ネット民に対し日本鬼子(ひのもとおにこ)ちゃんというキャラで返した日本ネット民。
日本が強みとする問題解決力があるはず。

シンポの前日、小宮山宏 元東大総長に言われました。
「われわれの頃は量子力学も情報科学もなかった。
そんなに勉強しなくてもよかった。ヒマだったんだよ。
そんな時代のヤツらが偉そうにしているからダメなんだ。
キミらが変えろよ。」

ぼくより下の世代に伝えねば。

大勢の学生が企画・準備し、千人を超える教育関係者を集め、熱く語るこのフォーラム。
10年以上続いています。
若い世代が変えてくれそう。
希望を抱きます。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2019年7月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。

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