よしもと住みます芸人によるSDGsのいま

「ユヌス・よしもとソーシャルアクション」の報告会が新宿・吉本興業にて開かれました。
ユヌス・よしもとソーシャルアクションというのは、吉本興業がノーベル平和賞ムハマド・ユヌス氏と連携し、社会問題をビジネスで解決していく取組み。

貧困、失業、環境破壊などさまざまな社会問題を、みんなに起業させ、仕事を作りながら解決していくものです。

全国47都道府県「住みます芸人」が各地の課題に光を当てて、楽しみながら解決する。
芸人がセンサーとなって課題をおもろく抽出しつつ、IT企業などとマッチングしていく手法で解きほぐす、という活動です。

2018年3月、そのキックオフを行いました。今回はその進捗を共有するものです。
ユヌス・よしもとソーシャルアクションが始まります。

全国から集まった住みます芸人にプレゼンしていただきました。
ぼくは南海キャンディーズ山里亮太さん、キクチウソツカナイさんとともにモデレーターを務めました。
山里さんが蒼井優さんと結婚会見を開く直前のこと。

代表6件の事例をメモしておきます。

山梨:移動詰め放題屋
芸人が県内をクルマで巡り、詰め放題タイムセールを実施。山間部の買い物弱者に、市場への流通が難しい高齢農家の規格外品を届ける。高齢者と高齢者のマッチング。店がないところの高齢者と、売るのが難しい高齢者、その需要と供給を芸人がグルグルと面白く結ぶ。

岡山:渋川マリン水族館再生
存続の危機にある玉野市の水族館をイベントなどの仕掛けで再生する。日本は世界で一番水族館が多い水族館大国で、隠れたクールジャパン。だけど「おもしろい」水族館はない。
エクストラクター社の技術を使ってライブ配信、そしてクリエイター1万2千人を擁するフーモア(CiPファンドが出資しています)によるアートプロデュース。

栃木:お笑い介護レクリエーション
芸人がレクリエーション介護士2級を取得して介護職員の負担を減らす。高齢化で介護のニーズはどんどん増える。問題は人材不足。リデル社の協力で、シニア向けSNS、スマホ教室も。芸人とスタートアップが手を合わせて楽しく解決。全国に広がるモデルになるか。

京都:丹後野菜市と芸人ふぁーむファンクラブ
ポケットマルシェのシステムを使い京丹後の農作物を都市で販売。農業体験もネットで販売する。農業で人と市場をマッチング。農地と都市の連結。体験も売る。コトおこし。これがポイント。

福岡:畳の世界発信
畳屋ラッパーがいぐさを原料にした畳アメを製造。いぐさが製造の危機にあったこと、そして食べられることをぼくは知りませんでした。いぐさの味がすると言われて、アメをなめてみたが、そもそも いぐさの味 を知らないので、畳感は口に広がりませんでした。

畳万博も開催するという。何をするのか気になる。むかしパリに住んでいたころ、フランス語でLe タタミと呼ばれた畳はファッショナブルな高級家具として人気がありました。海外にチャンスがあるのでは。

静岡:深海魚ふりかけ
沼津の水族館は世界初の深海生物の水族館。それをふりかけにして食べる。おいしい。ふりかけはアメリカでは魔法の粉と呼ばれ、サラダやフライドポテトなどにも使われています。そして深海魚はキャラが立ってるから、キャラも作って、おもしろくプロデュースできそう。

スタートから一年、少しずつ形が見えてきました。
報告会の冒頭、ユヌスさんが「おもしろいアクションで社会を変える」とおっしゃいました。各地で奮闘する芸人たちが社会を変えてくれるのか?
みなさま、応援のほど、よろしく。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2019年8月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。