超大学でAIとIoTの前線を聞きました。

2019年08月08日 14:00

超大学
次世代リーダーを育成する先端テクノロジーの講義、ワークショップ、コミュニティを大学の壁を壊して提供するコースを超教育協会で開催しました。
慶應義塾大学三田キャンパスにて3日間。
若手経営者や大企業の役員候補など数十名が参加しました。

1日目の講義は東大・小宮山宏 元総長と東大・稲見昌彦教授。
2日目は、東大・松尾豊教授と東大・越塚登教授の講義。
3日目は隈研吾さん。
大学の壁を壊そうと考えているんですが、結果的に東大勢w
やっぱりコンテンツ持ってるもんねぇ。

その2日目、AIとIoTのお話。
松尾さん「人工知能の未来 -ディープラーニングの先にあるもの」
越塚さん「Society5.0に向けたIoT, AIの利活用及びデータ戦略」
いずれもアカデミックなテクノロジーに立脚しながら、ビジネスのリアリティを語る。
そして社会論・制度論に踏み込む。
客層に合った展開力、さすがです。

松尾さん「GAFAはじめメディアは広告の取り合いをしているが、まだ自動化・AIが入り込んでいない農業、建設、食は広告よりはるかに巨大。」
そのとおりです。
広告6兆。
農業9兆、建設50兆、食680兆。
教育20兆、医療30兆もでかいです。
まだ取れていません。

AIはネットの20年遅れで進んでいるという。
ネットだと1999年の状況。
ぼくが「インターネット自由を我等に」を著したのが1996年。
とすればAIはかなり見えてきた、「みんな」が踏み込む時期。
みんなの自覚はどうかな?

松尾さんは言う。
「これまでの世の中は人の認知の限界から、少数パラメータだけで扱えることをモデル化してきた。ディープラーニングで多数パラメータ系の分析・対応ができるようになる。」
つまりようやく人が認知の限界を自覚し、それを超える技術を使うようになるということですね。

そして、ディープラーニングは「深い関数を使った最小二乗法」だと断定する。
「深い関数」によって表現力が革命的に上がり、アルゴリズム的な挙動も含め表現できるんだと。
実にスッキリした説明で、わかった気にさせてくださるのが気持ちいい。


これに対し、越塚さんは「IoTはインターネットを軸にしつつ、AI、ロボット、ビーコン、データ、無線、サーバなどの技術群」だとします。「その全部だ」と。「多様で複雑な体系」だと。「だから大変」だと。
AIとIoTはセットで語られるが、真逆の性格なのかもしれませんね。

越塚さん「GAFAは世界のデータの0.1%しか持っていない。99.9%の分散したサイロ化された門外不出のデータがデータ流通上の課題。」
GAFAと同じビジネスをしようと考えるから危機感を持つが、すべきことは違うということですね。
それは松尾さんが指摘した、狙うべきビジネス領域の話と同根。

越塚さん「AI☓IoTビジネスは、地方が当前に解決すべき課題に対応すべき。ベンダーはビッグ☓困難な領域ばかり狙い3000万円以上の仕様を書いてGAFAに負けていくが、それより地方のスモール☓イージーの100万円仕事を掘り起こし、1788自治体に広げるのがいい。」
実体験に基づくリアリティがあります。

越塚さん「AI・ロボットに仕事を奪ってもらい、生産性を上げてもらい、ぼくたちは楽になろう。」
御意。ぼくが「超ヒマ社会」を望むのと同趣旨。
「問題は分配だ。」
御意。AI・ロボットが働く超ヒマ社会の最大の課題は成長戦略ではなく分配戦略になります。

越塚さん「AIの長所はめげないこと。ストレスフルな仕事をやってもらおう。
・リストラ担当の人事部長
・クレーム対応の電話対応
・教師(モンスターペアレンツ対応)」
ですよね。仕事を奪ってもらおう。

越塚さん「ロボットにやってほしいこと。人に見られたくない、人にしてほしくない仕事。
・介護でお風呂に入れてもらう
・ウォシュレットにお尻洗ってもらう」
いろいろありますよね。仕事を奪ってもらおう。

という授業のご紹介は、今後も超大学を開くに当たり、ネタバレにならない程度のチョイ見です。
またやりましょう。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2019年8月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。

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