檄文教室:左翼なら崎陽軒不買運動をどう批判するか

常見 陽平

N国立花孝志氏による崎陽軒不買運動が話題(問題)になっている。逆に彼の呼びかけにより、崎陽軒には行列ができたという声も多数なのだが。

立花氏YouTubeチャンネル、崎陽軒サイトより:編集部

盟友中川淳一郎が左翼文体で立花孝志批判を書いていた。このようなものだ。

立花孝志・N国代表の崎陽軒不買宣言により、全国各地より反撃の狼煙が上がっている!私も崎陽軒不買運動には満腔の怒りをもって怒りの鉄槌を下すものである

高校野球を見ていて、少年が「男闘呼」に変身していくような、そんな瞬間を見たような気がする。会うと、いい人以外の何者でもない中川中年が立ち上がる様子は頼もしい。「闘わなければ社会は壊れる」から、彼のような闘う中年がいることは嬉しい限りだ。

N国 立花代表へ 一個人や私企業を叩くより、国民のための仕事を(中川 淳一郎)

ただ、私に言わせるとまだまだである。「添削してくれ」と言われたので、次のように添削した。

2019-08-06 11.29.36

現代の暴君ともいえる、立花孝志・N国代表のエゴイズムをむき出しにした崎陽軒不買宣言に対する怒りは、同社の地元横浜だけでなく、日本全国に、そして労働者の国際的連帯により、世界にと広がりつつある。いま、立花包囲網とも言える、大衆的反逆の狼煙があがっているのだ。その怒りは燎原の火のように、燃え広がりつつある。私も崎陽軒を愛する者として、闘う市民として、崎陽軒不買運動に対して、満腔の怒りを叩きつけ、立花の弾劾を勝ち取るべく、無慈悲な鉄槌を振り下ろすのである。微力なれど、無力ではないと確信し、勇躍決起した次第だ。いてもたってもいられず多摩川をわたり横浜駅で崎陽軒のシウマイを買い、味わいつつ、ルビコン河を渡る決意で打倒立花の魂を戦闘的に高揚させたのだ。

要するに、相手に対する、自らの怒りを具体的かつ扇動的に書くのがポイントである。というわけで、怒りに満ちた檄文を書くためのポイントはこうなる。

1.相手はどれだけひどい人で、ひどいことをしたのかを書き出そう
→いかにひどい人なのか、ひどいことをしたのかを可能な限り大げさに書く。人に対しては「暴君」「戦争漢」「ネオファシスト」などレッテル貼りをする。やった事実を書いた上で「蛮行」「愚行」などと断じる。

2.相手の問題点を明確にしよう
→「僕の給食のコロッケを盗んだ」レベルのことでもなんでもいい。何が問題なのかを明確にする。それに対して「エゴイズム」「策動」などと断じる。

3.「怒り」の語彙を増やそう
→この語彙を増やし、表現を変え、何度も書く。なお、決意を伝える際に「ルビコン河」は便利な表現。

4.ときにはユーモアを
→笑える要素を入れておく。ここも、相手を小馬鹿にするとわかりやすい。

5.自分は小さな存在であると、あえて謙虚に
→「市民」という言葉で自分を表現すると効果的。弱い存在が立ち上がったというドラマを感じさせること。

6.広がりをもたせる
→個人の怒りだけでなく、みんなが怒っていると表現する。

7.ゴールを明確に
→このとき「粉砕」はあまりにも支離滅裂で危ない人という感じになる。「弾劾」くらいのゴールが最適。

他、上級編としては「東京新聞に載ったときに見出しになりそうなフレーズ」を盛り込んでおくと良いだろう。なるほど、この怒りのポイントはこうなのか、と。

檄文調のフレーズもストックしておこう。私はいつも、EVERNOTEに保存している。

笑止千万の妄言である。
快哉を叫ぶ
戦闘的に高揚させる
歯牙にもかけぬ傲慢な言動
普遍性を装った美しい言葉
雄飛させることに血眼となっている
勇躍決起
妥協、屈服を糾弾し、強固な反逆の狼煙をあげることにする。
猖獗した時代
警鐘を乱打する
強引に貫徹
怒りと反発の直撃をうけて顔面蒼白
尖兵として蠢いている。
満腔の怒りをもって弾劾する
怒りのこぶしを叩きつけ
燎原の火のごとく燃え広がりつつある
一点の曇りもない
換骨奪胎
謀略粉砕・走狗解体
珍妙きわまりない情勢認識が開陳されている。
明日の糧食もままならぬ
延命のあがき
戦争放火者
破廉恥な居直り
断固として粉砕
虚構でしかないことが露見
凶暴な弾圧をうちおろす
狂奔
不満と不信が鬱積
遁走する破廉恥漢
重大な決意をこめて訴える
たたかう隊列をうち固めよ!
強弁し護持しようとしているのだ
闘いの烽火をあげよう
俗耳になじむスローガン
進撃せよ!
断固としてうちぬく
烈々たる決意に燃えて
怒りの火柱を断固として燃え上がらせた
断固たる大衆的反撃の闘いを燃えあがらせた
闘いの炎を赤々と燃えあがらせた
闘いを断固として創造
強固な意志と固い団結をもって粉砕
闘いの爆発をかちとるために奮闘
怒りをわきたたせ起ちあがっている
声を大にして訴える
巨大な闘争を巻きおこせ
無慈悲な鉄槌
資本の走狗と化した日和見主義者
前進を勝ち取れ
何ら危険性のないものだ
今ここで起ちあがらないならば、人類滅亡の危機さえ招くことを直覚し
困憊
「暗黒の世紀」とは決して「絶望の世紀」を意味しない。どん底の底が破れるとき、そのときはじめて光まばゆい世界が開けるのである。
血の海に沈め
完膚なきまでに暴き出す
思想難民
輝かしい一歩を踏みだす
資本主義的汚濁
権力者みずからが「仲裁者」づらをして音頭をとって
大合唱が演じられている
歪曲を突き破る
重大な決意を燃えたたせて決起せよ
声高に号令している
明々白々である
脅威論の鼓吹に屈服
仁王立ちになって、一大闘争を高揚
居丈高に叫びたてている。
憤激する人民の闘いに直面していよいよ断崖絶壁に追いつめられている。
闘いの檄は、国会前に結集した人民を熱く鼓舞してやまないのだ。
瞞着性と欺瞞性を暴きだせ。
国家エゴイズムをむきだしにして権力者どもが争闘をくりひろげ、いたるところで硝煙がたちこめる現代世界の危機。
労働者に労働強度の飛躍的な増進を強制するものにほかならない。
反労働者性を暴きだし、労働強化と長時間労働を怒りに燃えて打ち砕くべく全国各地で奮闘しているのだ。
こうした策謀の貫徹など、絶対に許してはならない。
断固としておしすすめよう
総結集せよ。
熱い連帯の絆をうちかためた。
運動を土着化させてゆくささやかだが確実な地歩をうちかためた
憤激を募らせている
木っ端微塵に粉砕
策動にうってでた
血道をあげている
打ち砕く烈々たる決意
数を頼みに突進
極反動攻撃
鼓吹を粉砕せよ
これほど許しがたいことがあるか!
二十一世紀を新たな<革命の世紀>たらしめるために、乾坤一擲(けんこんいってき)、全力を振り絞って奮闘するのでなければならないのだ!
こうした主張の錯誤については、断固たる批判をつきつけてゆかなければならない。
“ルビコン河”を渡らずとも、解決の糸口を示したのに、最悪(これ以上ないピンポイントの)選択をした
腐敗と堕落を弾劾
断固たる闘争にうってでようではないか
一大攻撃を労働者・人民の頭上にふりおろしている。
この歴史を画する反動攻撃を木っ端微塵に粉砕すべく、総力をあげるのでなければならない。
この闘いの先頭にたて!
闘争の大爆発をきりひらこうではないか。
~の旗高く
蛮行を弾劾してたたかった。
現地での闘いの戦闘的高揚のために奮闘したのだ。
シンパシーが刷りこまれている
シンボル操作にほかならない
浪費的爆買い
異常な特権
問題を一顧だにせず、完全に彼岸化してしまうのである。
抜本的改善をかちとれ!
国家エゴイズムを相互に露骨に貫徹する大戦前夜というべき時代に突入している。
熱烈に呼びかけている
許し難い欺瞞にほかならない
などという言辞は、あまりにも白々しいではないか
傲然と披瀝したのだ
などという幻覚に取り憑かれ
資本家による賃労働者の搾取を隠蔽する虚偽のイデオロギーにほかならない。
全世界の労働者階級が「暗黒の二十一世紀」を覆し今世紀を「プロレタリア革命の第二世紀」へと逆転するためには、総じて二十世紀とは何であったのかを、もう一度問いなおさなければならないのだ。
闘いの指針をがっちりと確認し、闘争体制をうち固めたのである。
凶暴な牙をむきだしにしている
闘争の歪曲
反人民性が赤裸々となったのである。
瞞着の反人民性を暴きだすのでなければならない。
怒りを込めて弾劾せよ
攻撃を振り下ろし
労働者への犠牲強要の大攻撃をはねのけ
電脳的疎外の究極的深まりが露呈しているのである。
団結した力で打ち倒す鬨の声を轟かせようではないか
国際的団結を創造しよう
阻止する闘いの奔流を職場・学園でまきおこせ
という叫びが、全国で噴きあがっている。
一刻の猶予もならない。
〝回し蹴り〟をくらわせたのだ。
革命的解体をかちとれ!
恭順の誓いを立てたのである
闘いを全国からまきおこし、打倒へと攻めのぼれ!
弾劾し、その犯罪性をも暴きだせ。
職場深部から闘いをつくりだしていこうではないか。
自己目的的に追求してきたことの必然的結果にほかならない。
敢然と決起した。
熾烈な角逐をくりひろげようとしていたのだ。
火柱を赤々とぶち上げたのだ。
熾烈化の一途をたどっているのである。
戦闘的再生をかちとるために奮闘しようではないか。
支配され辛酸をなめさせられている労働者階級・人民の国際的に団結した闘いをもって、戦争放火に狂奔する権力者どもを震撼せしめよ。
怒りに燃えて、市街を席巻する戦闘的デモンストレーションをうちぬいた。

2019-08-14 18.57.03-1

皆さんも是非、意識してほしい。

最新作よろしくね。家ではおだやかで家族の尻に敷かれているよ。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2019年8月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。