頭に来てもアホとは戦うな!あおり運転犯人が高校の後輩とは

中村 祐輔

あおり運転がメディアを賑わせている。2-3回、画面を見たが、どうしようもない人間だと思うしかない。事情はよく分からないが、何処から見ても異常行動だ。

宮崎容疑者インスタグラムより:編集部

私も40年前に、自宅に戻る途中で、蛇行運転していたトラックにクラクションを鳴らしたところ、幅寄せをされ、車を無理に止めさせられたことがある。 

「このアホが!」と思ったが、トラックを降りてきた運転手の手に刃の長い包丁が握られているのを見て、心が凍り付いた記憶がある。大阪府立病院の救急医療専門診療科に勤務していた時、1年間で十数件の胸腹部刺創患者の治療にあたったことがあるので、心臓に突き刺さった包丁、腹部に刺さったナイフの患者の顔が蘇ってきた。

私の車の前に来て「おまえ殺すぞ!出てこい」と叫ばれた。当時は血気盛んであったが、自分の胸に突き刺さった包丁の姿が頭に浮かび、窓を閉め、ドアをロックして、車内に身を固くして籠るしかない。眼は血走し、クスリでもやっているに違いないと思った。とにかく、手を合わせて謝るふりをしながら、心の中で「南無阿弥陀仏。おまえなんか、死んでしまえ!」悪態をつき、悪魔の消え去るのを待った。。

ドライブレコーダーがあれば、警察に駆け込んだだろうが、証言だけでの立件は面倒そうなので、警察にも連絡しなかった。今回の暴力行為を見て、もし、あの時、窓を開けていれば今の私はいなかったのではと寒気がしてきた。

そして、テレビ番組を見ていると、あおり暴行犯の出身高校が「府立天王寺高校」と流れたので、(;´д`)トホホと思った。私の高校の後輩ではないのか?ネット検索をしてみると、「天王寺高校」は間違いないようだ。「この馬鹿者が!」というしかないか、今後の講演会の自己紹介のネタに使うしかない。「あおり運転高校を出て、白い巨塔の浪速大学に進学しました」は受けるかもしれない。

「アホとは戦うな」という本に「メンツを潰されたことで感情的になり怒って戦う」必要はないと言うが、相手が勝手に「邪魔されてメンツを潰されたと思い込んで、感情的になり、戦ってくるアホ」にはどう対応したらいいのだ。逃げるが勝ちと言っても、運転しているとあまり逃げ場はない。

来年、高校の東京同窓会で講演をすることになっているが、「宮崎、間違っても、来るなよ!


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2019年8月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。