日本のマスコミがあまり取り上げない「マルコポロスの乱」

2019年08月19日 14:00

猛暑が続く中、皆様いかがお過ごしでしょうか。ひさしぶりのブログ更新です。ブログ更新をお休みしていた間にも、いろいろとブログネタは多かったですね。また、いろいろなネタをフォローしてまいります。

この10日ほどの間で私的にはGE(米ゼネラル・エレクトリック)の財務諸表に問題があるとして、マルコポロス氏が疑義を表明して一時GEの株価が10%以上下落した、というニュースにもっとも興味を抱きました(たとえばブルームバーグのニュースはこちらです)。マルコポロス氏(マーコポロスと表記したほうが良いかも)は、私と同じCFE(公認不正検査士)の資格保有者ですが、6兆円もの金融被害が発生した「マドフ事件」のバーナード・マドフ氏を告発した人として有名です。

報道番組に出演中のマルコポロス氏(CNNより:編集部)

マドフ事件のときも、マルコポロス氏はSECをはじめ、多くの有識者から「マドフが詐欺?治療が困難な小児がんの撲滅のために多額の私財を投じているマドフを告発って、おいおい、気は確かかな?(笑)」と嘲笑を買い、結局、最初の告発からマドフ逮捕まで9年の年月を要しました(その間、彼は「家族の身の安全に気を配りながら」5回ほど新たな証拠を持参してSECに告発を続けています)。

金融関係者の中にはマドフの不正に気付いた人たちが増えていったのですが、「不正が表ざたになるまで儲けてやれ」ということで、マルコポロス氏に協力する支援者はごくわずかだったそうです。リーマンショックを契機として、彼の基金から資金を回収する金融機関が増えたことで、不正が表面化しました。「当社は50億ドルも損をしたんだ!金返せ」と訴えていた金融機関が、実はマドフのねずみ講の胴元に近かったので、損をしていないどころか損害額の倍以上の収益を上げていた…という話はあまりにも有名です。

マドフ事件は米国を震撼させた大型金融詐欺事件ですが、日本にとっては「不都合な真実」を含んでいるとされ、マスコミも取り上げたくない事件として、その全容は明らかにされていないようです(何年か前に、私が理事を務めていたACFE  JAPAN(日本公認不正検査士協会)がマルコポロス氏にインタビューを試みましたが、残念ながら多忙ということで拒否されましたね)。

おそらくGEの件も、日本では正確に報道されることなく、何年か経過した後に事態が動くのかもしれません。なぜなら(拙著「不正リスク管理・有事対応(有斐閣)」の第1章で述べた通り)企業不祥事というものは会社が起こすものではなく社会が作り出すものだからです。告発は、その「きっかけ」にすぎません。

山口 利昭 山口利昭法律事務所代表弁護士
大阪大学法学部卒業。大阪弁護士会所属(1990年登録  42期)。IPO支援、内部統制システム構築支援、企業会計関連、コンプライアンス体制整備、不正検査業務、独立第三者委員会委員、社外取締役、社外監査役、内部通報制度における外部窓口業務など数々の企業法務を手がける。ニッセンホールディングス、大東建託株式会社、大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社の社外監査役を歴任。大阪メトロ(大阪市高速電気軌道株式会社)社外監査役(2018年4月~)。事務所HP


編集部より:この記事は、弁護士、山口利昭氏のブログ 2019年8月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、山口氏のブログ「ビジネス法務の部屋」をご覧ください。

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