小泉進次郎が大臣を辞任するべき理由

2019年09月26日 11:31

小泉進次郎環境大臣のポエムの本質とは何か

小泉進次郎環境大臣が就任以来記者会見などで要領を得ない回答を行っていることが話題となっている。その発言内容は「ポエム」と揶揄されており、「独自の話術」としてネット上で様々なネタにされている。

ステーキの件で独自の見解を示す小泉氏(ANNニュースより)

しかし、筆者は小泉大臣のポエムは「冗談では済まない問題」が含まれているように思う。なぜなら、そのポエムは話術ではなく、抽象的思考能力の欠如こそが本当の問題のように推量されるからだ。

小泉大臣の主要な発言は、のどぐろ、30年後、ステーキ食べたい、などの珍発言として取り扱われているが、その全てに共通点が存在している。それは世界や社会で起きている出来事を問われていても、ほぼ全ての回答が自らの体験や感情の紹介によって終わっていることにある。

つまり、何を問われたとしても、世界・社会の出来事=自分の体験・感情で応答、という思考回路のみが働いているのだ。

具体的に一例を挙げよう。

小泉環境相に聞く、“ステーキ”と“地球温暖化”の関係は?(JNNニュース)

記者「温室効果ガスを削減するという環境省のトップとして、大臣としてどういうふうにお考えですか?毎日でも食べたいとおっしゃっていたことと。」

小泉「毎日でも食べたいということは毎日でも食べているというわけではないです。でも、好きなもの食べたい時ありません?」(小泉進次郎 環境相、24日)

記者「そういうことを伺っているのではなくて、環境大臣としての整理をどういうふうに考えられているのか?」

小泉「じゃあ、みんなにばれないようにステーキ食べている方が、うそくさくないですか?」(小泉進次郎 環境相、24日)

この記者と小泉大臣のやり取りは、もはや「ステーキと地球温暖化」の話ではないことは誰の目から見ても明らかだ。上記の過程では小泉大臣の発言からは懸案となっている物事を抽象的に思考する能力を一切見出すことができない。

小泉大臣は記者からの質問を「大臣」ではなく「自分個人」に対するものであると認識し、それに対して個人の感想として回答しているに過ぎない。これは知識不足という問題ではないのだ。

抽象的思考力が欠如したポエム的世界観がもらす弊害とは

小泉大臣が気候変動に絡めて「セクシー」という言葉を使ったことが報道されている。筆者はセクシーのような俗語を一国の大臣が記者会見で使うこと自体が軽薄だと思うが、そのこと自体はネタとしては面白くても本質的な問題ではない。

また、同時に記者から質問された脱炭素のための方策についてほぼ無回答であった知識不足も情けないと思うが、それも本当の問題と比べれば国際的に赤っ恥をさらしただけのことに過ぎない。

本当の問題は「セクシー」という言葉を隣に座っていた気候変動枠組条約のフィゲレス前事務局長の言葉を安易に引用した点にある。通常の場合、リップサービスとして引用することもTPOに応じてあり得るが、小泉大臣の行為は上記の抽象的理解力の不足によって行われたように思えることが問題なのだ。

隣に座るフィゲレスさんのご機嫌を取ること(=自分に関係すること)に頭の中が占有されていたばかりに、外国人記者から当たり前に質問されるであろう内容について適切な回答を何も用意せずフリーズしてしまい、その姿がロイターなどの外国メディアにどのように書かれるのか(=その場以外の状況を想像する)について思考する能力がなかったのだ。

この失態について国会議員を10年も務めた人物として経験不足は理由にならないだろう。

つまり、上記の出来事は今後も小泉大臣は目の前の人物にリップサービスを繰り返し、自らの発言が後でどのように使われるのかを想定できない可能性があることを示唆している。

逆に「のどぐろ」の記者とのやり取りで明らかになったように、質問趣旨に沿った的確な再質問をした記者に対して明らかに個人として不快感を持った表情を示す本末転倒ぶりですらある。全てが大臣としての立場ではなく、自分と相手の個人的関係に矮小化されているように見える。

これでは国内で大臣として国会答弁に立つ際にはもちろん、国際会議の場で発言が求められる国務大臣職を担う上で致命的な問題を引き起こしかねない。

抽象的理解力は中学校・高等学校で形成されるもの

小泉大臣の噛み合わない・後先を考えない記者会見でのポエムが話術ではなく素であると仮定した場合、国務大臣としての業務遂行能力に疑問符を付けざるを得ない。(仮に話術であったとしても、その不誠実な態度には懸念があるが…)

自分の体験及び自分の感情以外のことを想定し、状況を俯瞰して抽象的に捉えることは中学校・高等学校時代からある程度は身に付いてくる能力だからだ。もちろん個人差はあるものの、国務大臣を担う人にはその程度の能力は持っていることは当然だ。

安倍首相には小泉氏を環境大臣にした任命責任がある。小泉大臣が上記で述べてきたように抽象的思考力に欠ける人物であった場合、大臣職を継続することは基本的に無理だろう。安倍首相は速やかに小泉大臣を辞任させるべきだ。

単純に知識不足で具体例を出すことができないだけなら役人が作った文章をそのまま読んでいれば良いだけのことだが、現状の姿はどうやら只事ではない異常な雰囲気を醸し出している。

筆者の懸念が杞憂であることを一国民として願っている。

国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員
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渡瀬 裕哉
国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員

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