焦る企業、次の一手が見つからない!

2019年10月09日 14:00

日本に滞在していた時、ある輸入自動車販売店の幹部と話をしていました。輸入自動車の販売が芳しくないというのです。先日もこのブログで書きましたが自動車販売の先行きは厳しく、アウディの社長が2020年も経営が厳しくなるとフランクフルトの自動車ショーで発言していました。アウディが現行モデルでTTの生産を止めるとしましたが同様にトヨタも車種の絞り込みを行っています。

(写真ACから:編集部)

(写真ACから:編集部)

そうなれば縮小均衡になってしまいますから、何か違うビジネスをと考えるわけです。くだんの自動車販売の方も次の一手を探して試行錯誤しているけれど満足できるものがないというわけです。皆、同じことを考えています。そして「これは」というものがあれば飛びつくもののほかの事業者も一斉に参入するためすぐにレッドオーシャン化してしまいます。

ヤフーがZOZOを買収しました。何のため、といえばヤフーが生き残るためです。楽天が携帯電話事業に参画するのも生き残るためです。生き残るためには二つの方法に頼るしかないのです。一つは誰も真似できないブルーオーシャンを優雅に航行すること、もう一つは垂直、水平、あるいは全方向の囲い込みによるその分野の帝国を築くことのどちらかです。

例えば真似できないビジネスは携帯電話事業や電力事業などがあります。これはインフラとして政府が参入への高い壁を築いているからです。不動産でも真似できない壁があります。銀座和光はいつも最高の立地であり、不動産のブランド化となっています。私が所有するバンクーバーのマリーナも誰も真似できません。新規のマリーナ開発が物理的にも環境的にも出来ず、仮にできても収支が見合うものにならないからです。

ヤフーはブルーオーシャンではなく、全方向囲い込み型を目指しています。実は日本にはブルーオーシャンを楽しんでいる企業は数多くあります。ただ、その多くは製造業で特定部品や製品が世界シェアの大半を握っているのですが、いかんせん地味なビジネスで一般消費者が知らないだけです。

一方、BtoC型のビジネスではブルーオーシャンは相当困難で多くの老舗日本企業がやっているように上から下まで全部支配することでビジネス規模を確保することになります。例えば建設業や自動車産業は協力会社(いわゆる下請けです)に資本関係があるなしにかかわらず抱き込み、優先して仕事を発注する傾向があります。それは企業グループをファミリー化することで利益を抱き込むとも言えます。いわゆる財閥系は言わずもがな、その典型です。

商社も次の一手を探すのに必死。そして挙句の果てに若手を立派な本社からシェアオフィスにはじき出し、チームだけの小さな事務所でもがきます。

ところで、なぜおまえは次から次へと新しいビジネスを立ち上げるのだ、と言われます。私の答えは「そこにビジネスがあるから」であります。作曲家が新曲を作るようにいくらでも思いつくのであります。今、手持ちで新規事業が2本、あと候補リストに3、4つあります。どれも誰もやっていないアイディアです。

シェアオフィスが流行する遥か前、銀行の担当者に「潰れそうなカラオケ屋を紹介してほしい。そこをシェアオフィスにするから」と言ったのですが、もちろん、何も紹介してもらえませんでした。担当が入社2、3年目で私が何を言っているのか理解できなかったのかもしれません。無から有を生み出すとき、銀行は前例主義なので私など相手にもされないのです。

となれば自分の資金や絶対信用できる相手から出資してもらうしかありません。ただ、やみくもに「誰もやっていないから」で成功するものではありません。事業ベースに乗るのは1割もないでしょう。となれば初めから大きく手を広げないでそのビジネスモデルを自分の手のひらでコロコロできるよう育て、そこから一気に攻めるという二段階方式はリスク分散という点からも有効ではないかと思います。

ある商社の方に面白い案件がある、とご紹介したことがあります。私の専門とは無縁の業種でしたので自分でやろうとは思わなかったのです。事業規模が10億円程度でしたのでしばらくして、「小さすぎる」と断られました。これではだめなのです。これを足掛かりにして100億円のビジネスにすればよいのです。育てるとはそういうことなんですが、この本質を分かっている人が少なすぎるのが今日この頃です。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年10月9日の記事より転載させていただきました。

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