新聞閲読はたった10分が2割という危機

2019年10月16日 06:00

ネットは2時間が2割

秋の新聞週間に合わせて行った全国世論調査を、読売新聞(10月14日)が大きく掲載しました。朝日新聞による慰安婦、原発のねつ造、誤報批判がもう収まったとの判断も手伝ったのか、新聞報道が最も信頼が高く正確で、インターネットには偽の情報(フェークニュース)がよく流されるとし、新聞の存在価値を強調する形になっています。

※新聞はどう見られているのか?(編集部撮影)

新聞の部数減が激しくなるにつれ、ネットは偽情報を流すとして、新聞のネット批判が加速しています。新聞は信頼性があり、正確な情報を流す媒体であるのならば、もっと新聞は読まれるはずです。「平均して1日にどのくらいの時間、新聞を読みますか」との問いへの答えが象徴的です。

「10分が19%」「20分が16%」「30分が20%」で、半数以上が30分以下です。「全く読まない」(無読層)は27%です。この傾向は新聞の弱点で、以前から続いています。毎日30㌻以上の新聞を読む時間が10分では、記事が信頼できるか、正確であるかも分からないはずです。新聞は生活必需品でなくなったのでしょうか。

朝食をかきこみながら、見出しにざっと目を通す、テレビ欄で好みの番組を探す、気になる事件記事を眺める。10分ではこれくらいしかできないでしょう。「40分は6%」「50分は1%」と減っていく。1時間となると9%に突然、跳ね上がります。1時間は時間があるお年寄りの読者で、若い読者が少ない証拠です。

正確・信頼性を生かせない新聞

「新聞は役立つ情報を提供している70%」「事実を正確に伝えている71%」で、「全体として新聞は信頼できる74%」と、調査に回答した読者はいずれも高い評価です。せっかく信頼・正確・有用という商品特性があるのに読まれない。

情報を得る手段として、新聞、テレビの他に使っているのは「ツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディア14%」「グーグル、ヤフーなどのポータルサイト35%」「スマホなどで使うにニュース・アプリ34%」。これらネット媒体に流れている新聞発の情報は多い。その実態が分からない。それも新聞の弱点です。

一方、新聞が大差をつけれられているインターネットについて、利用時間は「30分が17%」「1時間が22%」「2時間が19%」「3時間が12%」と、新聞を圧倒しています。18歳未満を対象にすれば、利用時間はもっと増えるでしょう。

ネットでは、報道以外の様々な情報を得る手段に使われており、情報占有率の高さから広告収入が急増しています。特に利用時間の差は大きい。つまり紙とインク印刷の媒体から脱皮していくしかないのに、巨大な販売網や多数の印刷工場が足かせになり、デジタル時代を戦える業態への転換ができない。

ネットの偽情報批判は激化

そこで新聞が着目しているのがネットの弱点である偽情報です。「ネットには多くの偽の情報が流れていると、感じる69%(感じない16%)」、「ネットの偽情報を信じたことがある44%(ない41%)という回答を紹介しつつ、新聞は正確・信頼の媒体であること強調する形になっています。

世論調査では、新聞への期待として「新聞社の主張を提示する」がわずか「6%」で、最下位に近い。つまり社説や提言報道の価値が、ほとんど評価されていない。それよりも「様々な意見、考え方の紹介」が34%で、記者個人や外部の識者の主張などが好まれるのでしょうか。

社説は言論活動の要石でした。その社説の評価の低下は、新聞の役割に対する読者の期待が大きく変わってきたということです。新聞への期待の中で「世の中の不正追及33%」「権力の監視25%」に対し、「正確な情報伝達74%」を読者がトップに挙げています。不正や権力の監視は新聞には、もう期待しないということでしょうか。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2019年10月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

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