中田宏の知っトク解説。
今日は「先物取引」。
先物取引とは将来の売買の値段を現時点で決める約束をした取引のことです。
9月9月のサウジアラビアで起こった、石油施設への攻撃で、石油の先物価格は値上がりしました。
その意味で、経済の将来を予想したり、今後の動向を考える上での指標になります。
先物取引されているのは、大豆やゴム、トウモロコシ、米などの農産品、金やプラチナ、銅などの金属、ガソリン、灯油、石炭などの資源などがあり、いずれも商品先物と言います。また、国債、株価、金利、為替などの指数や指標などを取引する金融先物もあります。例えば、株価の先物は株価の指数、すなわち数字そのものが先物取引の対象になります。
もともとの考え方としては、大豆にせよ石油にせよ、市場価格が上がったり、下がったりすると、それを取引している会社の経営など、商売に左右されることになるので、上がっても下がっても、将来の買取価格を決めて安定できるようにと考えられて作られてきました。
1年後に決済する約束で、今買った価格よりも1年後が値上がりしていれば安く買うことが出来ますし、もしも1年後に下がっていれば、高く買うことになります。そのように相場が上がったり下がったりするリスクに対応できるので、リスクヘッジになります。
先物取引では、買っていた銘柄を売らなくてはならない期日、あるいは売っていた銘柄を買わなくてはならない期日が決まっていて、その期日までに反対の売買を行わなくてはならないことを反対売買と言います。将来の価格で買うという取引もありますし、売るという取引もあります。売りから始めて、途中で買い戻すという反対売買をして、その差額を決済して商品の受け渡しをしないという取引もあります。むしろ金融商品として発展してきたので、こうした差金決済の方が今では主流です。
先ほど例示したように、具体的な商品ではなく、株価や金利の指数などを大豆などの具体的な商品ではなく、株価や賃金などの指数の先物、いわば将来価格の予想する金融先物商品が今では多くあります。従って、それらが経済動向などの展望にもなり、また実体経済への心理的影響を与えることにもなっています。
ちなみに、今では世界の多くの取引所で様々な先物商品が取引されていますが、世界で最初の先物取引は1700年代の大阪で、米の取引を幕府が認めたのが始まりとも言われています。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年10月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。