原英史氏と高橋洋一氏による「役所の方」発言の訂正・謝罪は評価してよい

2019年10月31日 06:00

10月22日に配信されたインターネット動画の文化人放送局「♯213前編 怒れるスリーメン【加藤×髙橋×原英史】」(の10:55以降)において、高橋洋一氏は、虎ノ門ニュースにおける紛らわしい発言について不正確な部分を訂正・補足説明し、迷惑をかけたと思われる官僚諸氏に対して明確に謝罪を表明した。

また、原英史氏は、この訂正と謝罪を高橋氏に促すとともに、自身も連帯して官僚諸氏に対し明確に謝罪を表明した。御二人とも誠に立派な行動であり敬服に値する。これで言論に伴う責任は果たされたのはないか。早期に指摘をした筆者として感謝申し上げる。

不適切部分とその訂正内容

10月14日放送の虎ノ門ニュースにおいて、高橋洋一氏は「私も通告書見ましたよ。(略)役所の方から来たんですよ。」と発言した。この発言を受けて、一部の野党議員が「国会で質問する前日に、官僚が質問内容(通告書)を民間人の高橋氏に見せた」と誤認した。これが「官僚による情報漏洩」と「質問潰し」という虚妄の主張の始まりだった。

訂正部分1:高橋氏が見た「通告書」

高橋氏が見たと発言した「通告書」は、正確には「役所からの書面(または電子情報)」ではなく、「ツイッター上に公開された通告」の情報であった。

訂正部分2:情報の入手経路

「役所の方から」と表現したのは、事実として役人からではなく、実際には「原さん(民間人)を経由して」電話で聞いたことを指し、ぼかした理由は「さすがに原さんの名前を前日に出せないと配慮した」からであり決して誤認させることを意図してではなかったという。

紛らわしい表現は良くなかったが、説明内容には納得できる。

高橋氏の原氏への配慮にまでは思いが至らず、厳しく言いすぎた点は、筆者も反省していることは、お二人にはお伝えしたい。

なお、一連の森裕子質問通告問題は極めて複雑である。その全体像とその中での高橋氏の発言・訂正の意味に関しては、「【まとめ②】森ゆうこ氏「質問通告」問題、2週間の動きを解説」(アゴラ10月29日)で解り易く状況が整理されている。問題の構図全体はこの記事を読めば確認できる。

発言の訂正・謝罪は評価していい

筆者が「放置せず訂正すべき」と指摘したのは、10月21日17:00時点で掲載された記事(「質問通告:高橋洋一氏の余計なセールス話法が事態をカオスにしている」)だったが、翌22日(:動画の画面上で確認)に行われたこの発言の訂正は極めて迅速な対応だ

孔子の教え「過ちを改むるに憚ることのない」ではないが、高橋氏は今回しっかり訂正することで、朝日新聞のような「明確な過ちを改めないで強弁を重ねる」という「過ち」を重ねる愚行を回避できた。

筆者が特に注目したのは、原氏が高橋氏に訂正と官僚へのお詫びを促し、しかも発言者ではないにもかかわらず共に官僚への謝罪を表明したことだ。当該発言に間接的とはいえ関係したことの責任という意味だと理解したが、論戦を進める上で、自分をも厳しく律する公正な姿勢には、心からの称賛と敬意を表したい。

そこに、「誰も見ていなくても(自己に不利な)OBを自己申告するゴルファー」のように紳士的でフェアな精神を見る。一般論だが、論争に於いて劣勢となれば論点をずらし、証拠を捏造し、不利な状況は無視して自己弁護の虚言を重ねる人物とは品格が違う。

事実に基づくと「詰み」だが

純粋に事実に基づいて事態を分析すれば、森裕子議員たちが主張する国会質問通告「漏洩」問題は、これで主張の根拠が完全に消滅した。時刻を改ざんしたトリッキーな資料を用いての論難なども完全に破綻している。ところが現実に与野党で行われている行動を見ると、事実とは違う何かの事情で状況が遷移しているようである。それはなぜか。

その原因は、与野党双方が抱える思惑の存在である。一般国民からは不可視なこれらの思惑と、与野党双方の党利党略が絡み合って、主観が強く混じった「真実」によって政治が動いているからである。正にこれが「政治」ということか。

憲法改正論議はまた阻止されるのか

漏洩問題や大臣発言の揚げ足取りのせいで、またしても本格的な議論の放置が予想される。国民としてもどかしいのは、今この瞬間には何もできず、出来ることと言えば次回の選挙で意思表明するくらいしかないことだ。

憲法改正を阻止するという目的から眺めれば、そもそも改正議論自体を阻止するために、騒動を起こして国会の議論をスタックさせて、時間を空費させるという「護憲派」勢力の戦術は大成功である。具体的な題材は何だってよかったのだ。

もはや国家の意思決定機構の機能不全は明瞭である。

事実に基づく世論を形成しよう

しかし時代は変わった。明治維新では、若い世代が時代の変化に対応し新しい国家を作った。その維新から約80年後の1947年、日本国憲法が施行され日本は生まれ変わった。それからもう70年以上の年月が経過した。インターネットがもたらした情報通信革命の強い影響もあり、国内外の情勢は1947年当時とは激変している。情報通信技術を使いこなす若い世代の政治家もどんどん誕生している。

いまや、進化した情報通信技術を民意の反映にも活用し、法律との整合性をとりつつ国会制度を進化させるべき時期が到来しているのではないか。

マスメディアの世論誘導能力は未だ侮れない力を維持しているが、今ではインターネットメディアに親しむ国民の方が急速に増えており、最早新聞やテレビの力は以前のそれではない。偏った新聞・テレビなどの誘導を拒絶し、国民皆で国会改革を推進する機運を高めて行きたい。

SNSを通じて国民一人一人が情報の発信元にもなり得る時代である。主観的真実よりも客観的事実を大切にして、事実に基づく世論形成を心がけたい。

その観点からも、原英史氏と高橋洋一氏の誠実な発言訂正はお手本にしたい。

田村 和広 算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰
1968年生まれ。1992年東京大学卒。証券会社勤務の後、上場企業広報部長、CFOを経て独立。

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田村 和広
算数数学の個別指導塾「アルファ算数教室」主宰

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