アメリカ大統領選、民主党が不利とみるその理由

2019年11月11日 14:00

アメリカでは食事の席では政治の話をするな、と教えられます。若い頃、何度もアメリカに行きながらなぜ、ダメなのか、ルールとして知っていても理屈が分からなかったのですが、それは日本の政治を基準に考えていたからでしょう。

アメリカのように二大政党が拮抗した関係になるとたとえ友人やビジネス関係者同士が心地よい懇談をしていても政治を通じた主義主張の話になるとあたかも積年の反目となるほど醜いものになり、収拾がつかなくなるというわけです。

その中で保守的な共和党は、united statesを目指しています。つまり州ごとにつながることに価値の重きを置き、One Countryを目指します。一方、民主党は移民国家という背景での出自、格差と主義主張が入り乱れ、結果として個人主義となった人々のボイスを受け入れることに主眼を置きます。これはun-united な国家を財政支援などを通じてwrapする(包み込む)わけで私に言わせればwrapping states であり、違う国家意識になってしまいます。

(エリザベス・ウォーレン Wikipediaから:編集部)

(エリザベス・ウォーレン Wikipediaから:編集部)

エリザベス・ウォーレン女史の主義主張はもともと過激であったのですが、最近その過激さに磨きがかかってきたように感じます。なぜか?それは彼女が民主党候補のトップクラスの支持率を誇る中で自分を際立たせようとするあまり、より刺激的で強烈なボイスを上げることで一部の熱狂的ファンを狂喜乱舞させているからでしょう。ところが彼女はより中道的な支持者がそこからこぼれ落ちてきていることに気がついていないようです。その証拠として一時期落ち込んだバイデン氏の人気が再び上がってきています。

ウォーレン氏が人気のトップに立っていた時、民主党幹部の一部から懸念の声が出ていました。「彼女では勝てない。誰かもっと強力な人を押し出すべきだ」と。そして名が挙がったのがクリントン女史とマイケル・ブルームバーグ氏であります。

元ニューヨーク市長のブルームバーグ氏は出馬しないと今年の春に断言していますし、クリントン氏もトランプ氏との再度の対決に向けた準備は十分ではないと思います。(ただし、直近ではブルームバーグ氏に気持ちの変化があるような報道もあります。)そんなビックネームを持ってこないとこの勝負は勝ち抜けないと冷静な民主党幹部は考えているのです。

日経に「分断のアメリカ」とあります。一部の州で独立運動が展開されているというのです。これは州内でも都市部や農村部など地域により価値観の相違や格差があり、その考え方の相違を州内の住民同士が甘受できないというわけです。概ね、そのような分断社会は民主党基盤の場合が多いのですが、分断が共和党を利することは言うまでもありません。

私が懸念するのはun-united な国家が生まれたとき、不幸になるのは誰なのか、という点であります。この問題はアメリカに限らず、欧米各国で広がります。例えば先日総選挙があったカナダ。勝利したのは中道左派の自由党ですが、州ごとの議席数を見ると中部カナダから西端のBC州までは保守党が圧倒しています。特にアルバータを含むカナダ中部のすべての州では自由党は1議席も取れなかったのです。一方、大都市圏であるオンタリオ州では圧倒的議席数を確保、東部カナダも自由党が抑えたことで選挙には勝利しています。この色具合はカナダが地域的に完全に分断しているといえ、数日前の当地の新聞には「独立運動の機運も」と報じられているのです。ドイツで持ち上がる分断話もそうですが、こんなことが欧米で当たり前のように起きつつあるのです。

ここBC州。来年1月から健康保険料がなくなります。でも医療は無料で受けられます。これはBC州が中道左派政権であり、広く薄く課金するものは撤廃しているからです。例えば有料道路の通行料も政権交代後に直ちに無料になりました。でも求められている新しい橋やインフラは一つもできていません。慢性的渋滞や北米で最も高いガソリン代を払わざるを得ない市民はどちらが得だと考えているのでしょうか?

民主系政党はばら撒き党ともいわれます。なぜ、私の健康保険料、それもたかが月々7000円程度を免除しなくてはいけないのかわからないのです。私には払う能力があります。いや、払うべきです。でも政府はいらないというのです。おかしいでしょう?

民主的概念は美しいのですが、実務に当てはめるとどうもおかしなことがたくさんあります。そしてそれに対して妙にイデオロギー的な抵抗心を見せるのです。保守党はそこまで頑なではありません。私は強面な民主党の仮面がこの1年で剥がされれば剥がされるほど民主党の勝ち目はないとみています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年11月11日の記事より転載させていただきました。

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