なぜ「高学歴」なのに「低収入」になってしまうのか

博士号を取得した「高学歴」な人たちが、月収10万円といった「低収入」にあえいでいるという記事を読みました。

(写真AC:編集部)

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統計的に見れば、一般的には「高学歴=高収入」という傾向があると思います。例えば、大学卒の方が中卒や高卒の人よりも生涯賃金の平均は高いとなっているはずです。

博士号までの学力がありながら、稼げないのは不思議な気もします。しかし、確かに私の周りにいるいわゆる富裕層の人たちは、必ずしも高学歴ではありません。むしろ有名大学卒や、修士号・博士号を取得したような人たちの方が稀です。

そんな、「高学歴・低収入 低学歴・高収入」というパラドックスが発生するのはなぜでしょうか?

原因1.高学歴なことと、お金が稼げることが一致しないから
当然のことですが、勉強ができれば、仕事もできるとは限りません。学校の勉強は答えのある問題を自分一人で早く正確に解いていく能力が評価されます。しかし、仕事は正解のない問題を周囲の人たちとコミュニケーションしながら解決していく能力が問われます。求められる能力が異なるので、勉強ができても仕事ができるとは限らないのです。

原因2.高学歴な人はレッドオーシャンに入っていくから
有名大学を卒業した人たちは、競って有名企業に就職しようとします。起業する人も増えてきましたが、競争の激しいIT系の起業を目指す人がほとんどです。このような、たくさんの人が争って参入してくるレッドオーシャンな世界で図抜けた成果を出すのは簡単ではありません。

人気のない業種や会社に入る方が、競争のないブルーオーシャンで相対的に評価される可能性が高いのに、プライドがあるのか、思い込みがあるのか高学歴な人はそのような世界に入っていこうとしない傾向があるのです。

原因3.高学歴な人はリスクを取らないから
高学歴な人は、色々なリスクを用心深く考えています。その結果、リスクを取ることに対して過剰に憶病になり、チャンスを逃してしまう可能性が高いのです。公務員になったり、大手企業に就職してしまうと、その傾向がより高まります。新しいチャレンジをしたくても、既得権益を手放すことに抵抗があって、アクションを起こすことができないのです。

勉強ができる「A Student(成績表がAばっかりの人)」ではなく「C Student」でも、経済的に成功できるというのは「敗者復活」の機会がある社会であることを意味します。この傾向は、これから益々強まっていくのではないかと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年11月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。