世界の薬物問題に心を寄せるローマ教皇

2019年11月26日 14:00

現在、ローマ教皇が38年ぶりに来日され、各地で優しいお言葉をかけて下さり嬉しい限りですね。
地元東京ドームでも御ミサがありましたが、会場には人があふれるほどの人気ぶりだったようです。
私も行きたかったなぁ~!

NHKニュースより:編集部

さて、今回のローマ教皇来日にあたって、原爆や震災ということをテーマにお選びになられておられますが、実は、現在のローマ教皇つまり第266代フランシスコ1世ローマ教皇は、世界の薬物問題に非常に関心を寄せ、お心を砕いて下さっている教皇でいらっしゃること御存知でしたか?

私もそんなこと思ってもみなかったのですが、すでにご存じの方もいらっしゃる通り、昨年のちょうど今頃、私、突然バチカンに呼ばれまして、「世界の薬物と依存症問題の国際会議」という会議に招聘されたんです。
もう驚いたのなんのって!
その時のびっくり仰天な顛末はこちらをお読み頂くとして
実はバチカンから招聘されたんです!

この会議、歴代の教皇の中で、初めてフランシスコ教皇が取り組んで下さったことなんです。
御存知の通り、フランシスコ教皇はアルゼンチンのご出身。
決して裕福な特別なご家庭に育った方ではなく、ごく普通の中流家庭のお生まれと伺っております。
アルゼンチンは貧しい家庭も多く、貧しさから麻薬の売買に関わったり、自らも使用し依存症になったりと、薬物問題が蔓延していて、そのことにお心を痛めていたとのこと。

そこで、歴代の教皇で初めて、このような国際会議を立ち上げ薬物問題について世界で話し合える土壌ができたんですね。
この会議は3日間開催され、それこそ欧米からアジア、オセアニア、アフリカ諸国から代表者があつまり、各国の現状と取組みについて発表されました。

この写真は、最後に会議出席者と教皇や枢機卿と記念撮影をしたものですが、この写真でもおわかりになるように、総勢500人もの方々が出席された、大規模な会議となりました。

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ここで私は、薬物以外のトピックとして日本の代表としてギャンブルについて話させて頂いたのですが、私以外には、ゲーム依存、性依存について話された方々がそれぞれお一人ずついらして、あとは、全部薬物問題についてお話しされました。

この会議では、大麻の合法化などもトピックに上がり、喧々諤々の議論もありましたが、枢機卿が合法化うんぬんを話し合う場ではないとおっしゃられ、いかに薬物問題に苦しむ人々を救うか?ということに集中して話し合われました。

ここで驚いたことは、参加国どこも、すでに「刑罰より治療を」という共通認識をお持ちだったことですね。
そして、これまでも度々ローマ教皇が薬物問題に関して発言して下さっていて、「薬物問題を抱える人たちをゴミのように扱ってはならない、同じ神の子として大切に扱わねばならない」というお言葉があったと聞き、これが非常に印象的でした。

また、最終日のまとめとして登壇されたオーストラリア代表の医師は、

「薬物問題は刑法ではなく、メンタルヘルスで解決するべきである。
薬物の所持で罰することはやめなくてはならない。
小さな薬物を持ったことでの逮捕は、犯した罪に対し失うものがあまりに大きすぎる。」

と話され、これが今の日本の現状を射抜くような発言で、心打たれました。
日本は、いまだに精神論が跋扈する、薬物対策の後進国だと痛感しましたね。

昨年の会議の模様はこちらで記事にも致しましたので、是非ご一読下さい。
バチカン、依存症問題解決に本腰(Japan-In-depth)

ローマ教皇の来日にこれだけ熱狂し、各局一斉に取り上げるのですから、どこか一局もしくは一紙くらい、ローマ教皇の薬物問題に対するお考えにも触れて頂きたいと願う次第です。


田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト

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公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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