敗北を“認めた”琉球新報、お茶を濁す望月衣塑子記者

2019年12月30日 11:31

沖縄タイムスの阿部岳編集委員が、独自入手したJパワーの内部文書に基づき、和泉洋人首相補佐官が同社に米軍ヘリ基地の建設協力を持ちかけていたことを暴露した特ダネは、地元のライバル、琉球新報もおととい(12月28日)の朝刊で追いかけてきた。

高江工事、企業に協力迫る 16年首相補佐官 電源開発に便宜約束か

琉球新報も東京新聞の望月衣塑子記者の記事と同様に、Jパワーの文書を入手し、それに基づき報道している。そして先行した沖縄タイムスのことは言及していない。

ただし、琉球新報は東京新聞と違い、敗北を潔く“認めている”箇所がある。一般読者は気づかないが、新聞記者で仕事をした人であれば一目でわかる業界ワードなので、この際だから一般読者にもご紹介したい。それは記事冒頭の太字の部分だ。

沖縄県東村高江の米軍ヘリパッド建設に関し、和泉洋人首相補佐官が2016年、米政府に成果を示すことを最優先し、電源開発(Jパワー、本社東京)に協力を求め、見返りに便宜を図る約束をしていたことを記すJパワーの内部文書を本紙は27日までに入手した。

「○日までに」は新聞独特の時制表現だ。一般読者からすれば、「文書を27日入手した」とか「文書の中身が27日明らかになった」と、すっぱりと日付を指定してもよいように思うし、事実としてはそうなのだろうが、先行報道の存在を無視したことになってしまう。とはいえ、ライバル社の名前を出すのも気恥ずかしいという記者クラブ文化の感覚がそれを許さない。

そこで「までに」という表現にして、先行報道の存在があった時点から記事に書く日までのタイムラグを敢えて書くことによって、「先行報道の存在は認めていますよ」という業界内の人にだけは裏サインを送っているのだ。

そういう先行報道軽視の問題点はさんざん指摘されているのに、改まる風潮はない。私も記者時代に追いかけ記事を書く際に「○日までに」と書いた際には忸怩たるものがあったが、一軒の家が一紙のみ購読していた昭和の頃と環境が一変し、読者がネットで競合紙の報道を一覧して比較できるようになったのが令和の時代だ。世界的にも、追いかけ記事では先行報道のソースを書くのが主流で、日本の大手メディアもこうした「奇習」を改めるべきとは思うが、今回はそれ以上立ち入らない。

望月氏ツイッターより

では、もう一度、望月記者の記事を確認してみよう。繰り返すが沖縄タイムスの初報は12月24日。東京新聞が彼女の署名記事を載せたのはそこから3日後だ。気になる日付の扱いはどうか(当該箇所は太字)。

沖縄県東村(ひがしそん)高江の米軍ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設を巡り、和泉洋人(いずみひろと)首相補佐官が二〇一六年九月、建設現場の隣接地域に施設を所有する電源開発(Jパワー、本社・東京)の会長を官邸に呼び、建設への協力を求めていたことが明らかになった。本紙が入手したJパワーの内部文書には「海外案件は何でも協力しますから」と記されており、協力の見返りに同社の海外事業への支援を伝えていた。 (望月衣塑子)

日付を入れていない。先行報道を暗に認めているとも解釈できる一方で、琉球新報の追いかけ方と比べると、「までに」というタイムラグを入れていない分、こちらのほうがさらにお茶を濁している。

どちらにせよ、琉球新報も東京新聞も先行報道に言及していない点では同罪だが、敗北の容認度合いという点では、琉球新報が少しマシなようだ。

新田 哲史   アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長
読売新聞記者、PR会社を経て2013年独立。大手から中小企業、政党、政治家の広報PRプロジェクトに参画。2015年秋、アゴラ編集長に就任。著書に『蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?』(ワニブックス)など。Twitter「@TetsuNitta」

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