日本人シェフのミシュラン三つ星はどれだけ凄いか

2020年01月30日 11:31

フランス版ミシュランの2020年版が発売になって、パリ第一区のRestaurant Keiが三つ星を獲得した。小林圭シェフは、長野県出身で、両親はいまも下諏訪でお惣菜屋さんを開いているらしい。地方都市のお惣菜屋さんの息子が世界の料理界のトップに駆け上がったというのも楽しいではないか。

レストラン・ケイFacebookより

ちょっとお名前が誰かに似ているのが気に入らないが心からお祝いを言いたい。

どのくらい凄いかと言えば、たとえば、MLBでサイヤング賞を取ったくらいの値打ちはある。ミシュランの三つ星は世界中同じ評価基準とか言ってるが誰もそんなこと思わない。たしかに私が留学していた1980年頃は、フランスの十数軒のほかにはブリュッセルに二軒、ミュンヘンに一軒だけだった。

しかし、商業的理由からイギリスで三つ星が出たり、三つ星に値する料理はイタリア料理では難しいとかいっていたのが乱発するようになり、日本版など大インフレだ。その証拠に、東京の三つ星でフランス人がやっているものが、フランス本国で三つ星に値するとは到底思えないのだ。

東京の三つ星とパリの二つ星とどちらがというような比較対象だと思う。まさにMLBとNLBの差くらいだ。フランス版で三つ星になるためには、誰しもが納得する世界のトップクラスの料理、サービスが必要だ。

しかし、これで思うのは、フランス社会のフェアさだ。あらためて外国人の成功を妬んで、これまで日本人に問うたことのない罪状で逮捕し、しかも、同じ犯罪容疑があっても日本人役員には問わないというカルロス・ゴーン事件のことを振り返り赤面するしかない。

ちなみに、今年はラロシェルの Christopher Coutanceau と、かつての三つ星だっウストー・ド・ボーマニエール(ボーデプロバンス)が新たに三つ星になって、昨年死んだポール・ボキューズが三つ星から二つ星に陥落した。

ラロシェルの店は知らないが、ウストー・ド・ボーマニエールとポール・ボキューズには複数回行っているし、いろんな思い出がある(両方とも最後に行ったのはセミナーの出席のためで、両方ともたまたま小和田恆大使も参加されていた)。

以下は、2019年版の三つ星のリストだ。今年の数字に直すと、パリが7店、地方が21店だ。私が言ったことがある店は、去年も今年も12店。ずいぶん投資したものだと思うが、東京の三つ星よりは倍くらい投資効果はある。

  • 「レストラン・クリストフ・バキエ」(クリストフ・バキエ) 2018年から ル・カステレ ヴァール
  • 「ラムロワーズ」(エリック・プラ) 2007年から シャニー ソーヌ・エ・ロワール
  • 「ル・1947・オー・シュヴァル・ブラン」(ヤニック・アレノ) 2017年から クールシュヴェル サヴォワ
  • 「レ・プレ・ドゥジェニー」(ミシェル・ゲラール) 1977年から ウジェニー・レ・バン ランド
  • 「オーベルジュ・デュ・ヴュー・ピュイ」(ジル・グージョン) 2010年から フォンジュクス オード
  • 「ポール・ボキューズ」 1965年から コロンジェ・オー・モンドール ローヌ
  • 「ル・プティット・ニース」(ジェラール・パセダ) 2008年から マルセイユ
  • 「フロコン・ド・セル」(エマニュエル・ルノ) 2012年から メジェーヴ サヴォワ
  • 「ル・クロ・デ・センス」(ローラン・プティ) 2019年から アヌシー サヴォワ
  • 「ミラズール」(マウロ・コラグレコ) 2019年から マントン コートダジュール
  • 「ルイXV・アラン・デュカス」(アラン・デュカス) 2003年から モンテカルロ モナコ
  • 「ランブロワジー」(ベルナール・パコー) 1988年から パリ4区
  • 「ギィ・サヴォワ」 2002年から パリ6区
  • 「アルページュ」(アラン・パッサール) 1996年から パリ7区
  • 「アラン・デュカス・オテル・プラザ・アテネ」(アラン・デュカス) 2016年から パリ8区
  • 「ル・サンク」(クリスチャン・ル・スケール) 2016年から パリ8区
  • 「エピキュール・ア・ロテル・ブリストル」(エリック・フレション) 2009年から パリ8区
  • 「アレノ・パリ・オー・パヴィヨン・ルドワイヤン」(ヤニック・アレノ) 2015年から パリ8区
  • 「ピエール・ガニェール」 1998年から パリ8区
  • 「ル・プレ・カトラン」(フレデリック・アントン) 2007年から パリ16区
  • 「ラシエット・シャンプノワーズ」(アルノー・ラルマン) 2014年から ティンクエ シャンパーニュ
  • 「トロワグロ」(ミシェル・トロワグロ) 1968年から ロアンヌ ロワール
  • 「レジス・エ・ジャック・マルコン」 2005年から サン・ボネ・ル・フロワ オー・ロワール
  • 「ラ・ブイット」(ルネ&マキシム・メイユール) 2015年から サン・マルタン・ド・ベルヴィル サヴォワ
  • 「ラ・ヴァーグ・ドール」(アルノー・ドンケル) 2013年から サン・トロペ
  • 「ピック」(アンヌ・ソフィー・ピック) 2007年から ヴァランス ドローム
  • 「ジョルジュ・ブラン」 1981年から ヴォナス
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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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