ドローンの方が人より安全か?中野サンプラザの建物診断で実証実験!

3月17日、中野サンプラザを対象にドローンを活用した建物診断の実証実験を行いました。私は本実験において企画・調整をさせていただきました。ありがたいことに、この模様はNHKでも取り扱っていただきました。

ドローンで高層ビルの外壁を点検 全国初の実験 東京 中野区(NHKニュース)

背景

中野サンプラザでの実証実験の前哨戦として、昨年11月18日にその隣にある中野区役所で予備実験を行い、その概要はアゴラでも「ドローン、23区内の空を舞う:都市部での建物診断に活路」としてご紹介させていただきました。

都市域においてはドローンを飛ばすことは非常に困難であり、航空法によりドローンの飛行は、空港周辺地域、人口密集地区においては航空局や空港事務所の許可が必要です。

しかしその土地・建物の所有者や管理者の許諾が得られれば、飛行することもできます。

とはいえ、人通りが多い都市域では特にドローンの落下は許されるものでなく、飛行許可を得ることは困難であります。

ドローンが落下する原因は強風、電波障害、故障などです。特に携帯電波、Wi-Fi、地デジなど無数の電波が大量に放出され、またビル風が強い都市域においては障害がいつ起こるかわかりません。

ドローンが予想外な場所に落下しないため、図1に示すようにラインを設置し、ドローンが暴走・落下しても必ず離着陸位置に落ちるように設計しました。

図1 実験概要

必ず落下地点が一点に定まることでリスクが著しくゼロに近づきました。

中野区役所での事前実験において、課題を抽出し、満を持して全国的にも知名度が高い中野サンプラザを対象として、実証実験に挑みました。

実験

本実験は、安全のためドローンの行動範囲を狭くすること、建物の診断技術を向上させる目的の2点を鑑み、実証実験「ドローンを活用した(超)高層建物安全点検調査技術の開発」(国立研究開発法人 建築研究所、一般社団法人 日本ツーバイフォー建築協会、西武建設株式会社)を行うものです。

調査実験範囲は中野サンプラザの正面西側部分の1~20階(約90m)です。

写真1 調査実験範囲(俯瞰)

写真2 調査実験範囲(地上)

方法は中野区役所で行った事前実験と同様でライン付ガイドを用いたドローンです。

写真3 上の様子

写真4 下の様子

写真5 ドローン飛行の様子

総括

キーワードは「ドローンの方が人よりも安全」です。

建物診断を実施する際には足場、ゴンドラ、脚立など状況に合わせたものを用意する必要がありますが、いずれも高所作業となるため、危険は伴います。ドローンを使用することにより安全な建物診断技術を確立するための第一歩となる実験だったと考えます。

これまでドローンの安全性の低さが障壁となり普及を妨げてきましたが、本実験により点検調査への活用が実証されることを期待します。

謝辞 本実証実験にご尽力いただいた株式会社中野サンプラザ、中野区に対し、ここにプロジェクトを代表してに謝意を表します。