緊急経済対策に遠隔教育に関する措置が盛り込まれました。

2020年04月10日 11:30

昨日4月7日に取りまとめられた緊急経済対策は、事業規模108兆円、財政支出40兆円という過去最大の経済対策となりました。この短期間にして政府は不眠不休でよくまとめたと考えます。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

さらにぼくが評価するのは、子ども・学生諸君が一斉に休校、在宅学習を余儀なくされる中、これまで遅々として進まず後進国に甘んじていた日本の教育情報化の水準を一気に引き上げるべく、財政措置だけでなく規制緩和を含む措置を決定したことです。

経済対策には遠隔教育について下記の5項目が盛り込まれました。
・ICT環境の早急な整備:PC1人1台の前倒し整備
・遠隔授業における要件の見直し:同時双方向要件の撤廃
・遠隔授業における単位取得数の制限緩和:大学上限60単位の見直し
・オンラインカリキュラムの整備:NHK番組の利用
・オンラインでの学びに対する著作権要件の整理:許諾不要・補償金化

「超教育協会」はじめぼくらグループが政府に対し長年にわたり求めてきたこと、3月下旬にも「全ての授業をオンラインで -オンライン教育推進ステイトメント-」を発出しお願いしたことにほぼ満額回答をいただいたと認識しています。
文科省・経産省はじめ関係者に感謝と敬意を表します。

PC1人1台はぼくらは8年前から主張してきました。OECD最低水準という不名誉を脱するため、努力が積み重ねられてきました。この2年でデジタル教科書が制度化され、プログラミングの必修化も決定、昨年には超党派の議連による「学校教育情報化推進法」が議員立法で成立し、環境が整ってきました。

昨年末の補正予算で1人1台に向けた措置がなされ、数年をかけて行き渡る展望を得ました。そして今回の経済対策で、一気に前倒しとなります。半年前から見れば夢のような出来事です。できれば、コロナ前に間に合わせてあげたかったけれども。

夢見ついでに振り返れば、1人1台+デジタル教科書の旗を振り始めたころ、研究者や学界重鎮から時期尚早という反論・バッシングを受けました。早期に措置していたら今回のような現場の混乱はなかった。当時、反対していた人たちは責任を取り、この機に全員退場すべきと考えます。

単位取得数の制限緩和はひとまず実施されそうです。開学したばかりのiUものっけから全て遠隔授業。上限60単位は自分ごととしても撤廃を願っていました。
今回の臨時措置となるのか、恒久化するのか、まだ見通しがききません。教育のデジタル1stを実現するため恒久化を求めていきます。

オンライン教育の著作権問題は、文化審議会の審議を経て、許諾不要・補償金化する改正法が成立したものの、施行されていなかったものです。超教育協会でもワーキングを設け、関係者の調整に努めてきました。ひとまず運用が始まります。結局は権利者に対する補償金をどう手当するかという経済問題であり、これも来年度以降の措置を落とし込む必要があります。引き続き取り組みます。

超危機バネが働いた結果とはいえ、日本の土台をなす教育環境を一変させる対策を高く評価します。
この措置を実装する学校・自治体も大変な努力を要しますが、この変化、ICT対応は臨時一時のものではなく、恒久的・不可逆的な転換であることを認識しなければなりません。

コロナのレガシーが教育の未来となることを願います。

「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策~国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ~」から抜粋

〇遠隔教育について実施すべき事項

新型コロナウイルスの感染拡大により、休業が長期化し教育課程の実施に支障が生じる事態に備え、特例的な措置として、以下のような柔軟な運用も含め、家庭での学習支援等による児童生徒等の教育機会確保のための施策を講ずる。

(1)ICT環境の早急な整備
小中学校の児童生徒1人に1台のPC等端末を整備する補正予算の執行に当たっては、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、登校できない児童生徒が自宅等において端末を利用してオンラインでの授業が受けられるよう、具体的な整備の方法・手順について、文部科学省を中心に関係省庁で協議し、可能な限り早期に端末が手元に届き通信環境も含め利用できるようにする。その際、自宅にアクセス可能なPC、タブレット等があるかなどを考慮して、必要な者に対して優先的に行き渡るよう配慮する必要がある。

(2)遠隔授業における要件の見直し
現在、遠隔授業は「合同授業型」「教師支援型」「教科・科目充実型」の3つに分類されているが、いずれも受信側に教師がいることが必須要件である。児童生徒が自宅からICTで行う学びについては、受け手側に教師が不在となるが、この場合であっても正式な授業に参加しているものとして認められるようにする。
また、上記遠隔授業においては、「同時双方向」であることが必須要件とされている。児童生徒が時間や場所の制限を受けずに学び続けられる環境を整えるため、授業の内容に応じ「同時双方向」以外のオンライン上の教育コンテンツを使用した場合についても正式な授業に参加しているものとして認められるようにする。

(3)遠隔授業における単位取得数の制限緩和
高校の場合は、「高等学校が、対面により行う授業と同等の教育効果を有すると認めるとき」に遠隔授業が可能とされているが、その単位数には上限(36 単位)が設定されている。大学も同様に、単位数が124 単位中60単位までとの制限がある。これらの遠隔授業における単位取得数の算定について、柔軟な対応を行うようにする。

(4)オンラインカリキュラムの整備
オンライン上の教育コンテンツは(NHKやYouTube、各種教育機関等のホームページ等において)拡充しつつあり、文部科学省もホームページ等で紹介している(※)。児童生徒や学生が自宅等で学習を進められるように、オンラインカリキュラムの充実を図る。
(※)臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイト(子供の学び応援サイト)
https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/index_00001.htm

(5)オンラインでの学びに対する著作権要件の整理
デジタルの資料配布を原則許諾不要・補償金とする著作権法の一部を改正する法律は公布日(平成30 年5月25 日)から3年以内に施行されるとなっているところ、これを即時に施行するとともに、令和3年度からの本格実施に向けて補償金負担の軽減のための必要な支援について検討する。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2020年4月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。

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