籠池夫妻が長男の説得で野党系と決別宣言の真相

2020年05月03日 11:31

すでにアゴラ編集部が『籠池夫婦「お目覚め」動画:コペルニクス的転回が話題に』という記事を出して、そのなかで私のFacebookでの第一報も引用されているが、あらためて今回の動きまでの背景を解説したい。

ことの発端は、昨日、籠池夫妻が、「令和2年5月1日「コロナウイルスと森友学園問題の類似点」という動画をYouTubeで公開したことである。

さらに夫妻は翌2日にも。『令和2年5月2日「吉田松陰先生在りせば」』という動画をアップしている。

これを受けて、長男の籠池佳茂氏は、「多くの皆様に共有頂ければ幸いです」とFacebookに記事を上げ、また、今朝は保守系団体会長のブログ記事『籠池夫妻が目覚めて事実を暴露 !← 倒閣にならないことはマスコミは取り上げない』を紹介して、「有難い記事だと思います。皆様と共有出来れば幸いです」としている。。

つまり、籠池夫妻が「これまでは安倍政権打倒を見る人たちに利用されていたが、考えればもともと学校を潰したのは彼らであって考え方を間違ってた」と言い出したのだ。まさにコペルニクス的転回である。

もともと籠池夫妻がアンチ安倍陣営への立場で動いたのは菅野完氏のシナリオに乗ったからである。その菅野氏を紹介したのは籠池夫妻の長男である籠池佳茂氏だった。

Amazonページより

佳茂氏は菅野氏以外にも、元NHKで週刊文春の自殺した元大阪国税局赤井さんの未亡人の告白などにも関わっている作家の赤澤竜也氏など反安倍陣営の主要メンバーと行動を共にしてきた経緯がある。

しかし、両親が逮捕され、裁判費用のことで菅野氏が「民団幹部の会社経営者から4000万円を工面する」と言うのを聞いて、「これはもう無理だ」と思って菅野氏から離れたという。

そして、月刊『Hanada』や著書『籠池家を囲むこんな人たち』で、両親を利用した菅野完やマスコミの内情を暴露してきた。しかし、主要メディアは、籠池佳茂氏をほぼ完全に無視してきた。なんと、報道するときも、籠池夫妻の長男とか書いて氏名すら書くのを避け嫌がらせをしてきたのである。

そして、菅野氏の指示で籠池夫妻は、「息子の本は嘘ばかり」といってきた。しかし、今回明らかになったところによると、夫妻は本を読んでなかったとのことである。それどころか、これから読むことにするといっている。そこには、いかなる方法で菅野氏が籠池夫妻を洗脳してきたかという経緯について佳茂氏の観察が詳細に書かれている。

ところが、籠池夫妻は、ひとつには、鍵池夫妻の裁判費用に充てるといって集めた募金を夫妻に渡さない人たちがいるとかいうトラブルもあって不信感を強めたところ、佳茂氏の動画を見て“目覚めた”ようだ。

YouTube「籠池泰典諄子チャンネル」より

ただし籠池夫妻が全面的に転向したわけではない。「安倍首相は今もなおカウンターだ」とも言って中立的に見たいとも付け加えている。

問題の発端を作った木村真・豊中市議会議員については「自分たちが利用された」と批判しているし、森友学園問題でも赤井さんの未亡人に取り入って大活躍の相沢氏に対して厳しい批判をしている。

相沢氏に東京に連れていかれたので、安倍首相サイドからの話を聞くチャンスを逸した、と言うような話もしている。辻元清美氏にも強い批判をしている。

しかし、菅野氏に対しては情報提供をしてくれたことを評価するなど含みを残す表現もしている。

つまり、アンチ安倍サイドのシナリオに乗っかってやってきたら、とんでもないことになってしまったので、リセットしてポジションを作り直したいと言うことだと思われる。

もちろん、交流があって味方してくれると思ったら、そうでもなかった安倍サイドに対して複雑な思いはあるわけだが、これまでの言動は野党陣営や朝日新聞などのマスコミの思惑に踊らされたものであったことを認めたわけだ。報道の前提が崩れたという意味では、改めてコペルニクス転回」と言っても間違いはない。

籠池問題だけではなしに、元NHKの相沢氏は自殺した赤井さんの未亡人に強い影響を及ぼしているわけだが、相沢氏らの言う通りにやっていたら「まずいことになった」と籠池夫妻が言い出したのだから、相沢氏の信頼度も落ちるわけで森友学園問題への影響も甚大だと思われる。

事件の舞台となった「瑞穂の國記念小學院校舎」(事件当時)=Wikipedia

そもそも、籠池問題の出発点は、教育勅語や天皇陛下奉迎、自衛隊式典などを含む教育をしていた塚本幼稚園の延長で瑞穂の小学院を計画して、そのために、籠池氏らは運動して安倍昭恵夫人にも取り入ったのである。

というのは、大阪府では私立学校の設立が公立学校でのすべての子供の就学を推進したい府教組の反対で非常に難しかった歴史的な事情があるからである(私のこどものころも大阪府に住む知人から私立中学受験などしようとすると小学校側から執拗に翻意するように説得があり必要な書類を用意してもらうのも容易でないと聞かされていた。府教組側には彼らの理想に基づく主張はあるのだが、大阪府におけるやり方は行き過ぎだという声があった)。

前述の木村豊中市議らは、最初は「教育勅語」を持ち出して小学校建設反対を訴えていたが、それが難しいとなると、小学校の建つ国有地で役所から取り寄せた黒塗り書類を取り上げて「国有地の怪しい取引」と訴えたら朝日新聞、NHKなどが取り上げた(余談だが、私が非常に強いアンチ教育勅語復活論であることもアゴラで度々書いてきたとおりなので念を押しておく)。

そして、籠池佳茂氏によれば、嘘か誠か分かりようがない、昭恵夫人が100万円を渡したという密室でのやりとりにかかわる話を、でっち上げたというのである。

籠池夫妻のやってきたことをどう評価するかについて私はここで議論するつもりもない。安倍昭恵夫人の行動もケネディ大使との交流など大貢献することもあるものの、本人の意識とは関係ないところで悪用されがちなのは確かなので肯定するつもりもない。

私は、事件の当初から言っているように、森友学園問題は軽率さは否定できないプチスキャンダル、加計学園問題は教育改革に反対する抵抗勢力のでっち上げという立場だ。それはいまも変わらない。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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