【独自】都知事選、自民分裂選挙?「第3の男」川松氏が急浮上

2020年05月22日 06:01

川松氏

東京都知事選(6月18日告示、7月5日投票)を巡り、自民党本部が現職の小池百合子氏支援の方針を決めたのに対し、都議会自民党が独自候補擁立を引き続き模索していることが21日、わかった。独自候補の名前として、都議の川松真一朗氏(39、墨田区選出)の名前が浮上している。分裂選挙となれば、平成期以降では1991年、1999年、2016年に続き、4度目となる。

前回の分裂選挙で、遺恨のあった自民都連は春先まで独自候補擁立をめざしていたが、コロナ禍の拡大もあって独自候補擁立を断念。今月18日には、都連所属の下村元文科相が安倍首相に正式に方針を伝え、二階幹事長が「小池さんを応援することに何ら異議はない」と述べるなど、その時点では、一本化で行くとみられていた。

反小池派で根強い川松待望論

小宮あんり氏(ツイッターより)

しかし、都連のなかでも都議会自民党の「反小池派」は戦闘態勢を崩していないようだ。その急先鋒が小宮あんり氏(杉並区選出)。3月下旬には、今年度予算案に関する記者会見で「都知事として小池氏がふさわしいとは思っていない」(時事通信)と公然と述べて波紋が広がるなど、自民都連が表向きは独自候補擁立を断念するなかで、都議や若手の区議市議を中心に「反小池派」の間で、川松氏の待望論が広がっている。

実は川松氏の名前が挙がったのは今回だけではない。川松氏は筆者の取材に否定しているが、年明けに政界関係者に聞いた話では、都連幹部が党本部で二階幹事長と都知事選への対応を談判した際に川松氏の名前を挙げたのだという。

この川松擁立案には二階氏が難色を示したこともあり、都連が独自候補を断念したとみられていたが、ここにきて小宮氏をはじめ、若手中堅都議を中心に川松氏を推す声が表面化してきた。

日刊ゲンダイも21日、堀江貴文氏出馬情報を取り上げた記事の中でも、川松氏の名前に言及。さらにこの日、若手都議の小松大祐氏(世田谷区選出)はツイッターで「都知事選に出るべき!!」との声も多数」と公然とコメントして憶測を呼び始めている。

川松氏は筆者の取材に対し、「出馬を望む声は知っているが、具体的には何もないですよね」とコメント。コロナ禍への対応をはじめ、小池都政の問題点追及に意欲を見せたが、出馬については明言しなかった。

川松氏は1980年、東京・墨田区生まれ。日大卒業後、テレビ朝日アナウンサーとして活躍。2011年に政界転出を目指して同局を退社し、13年都議選で初当選。16年都知事選のあと、アゴラ執筆陣に加わり、築地市場問題などでの小池氏の追及の急先鋒となった。それまでの自民党都議には珍しかったネットでの発信に力を入れたこともあり、知名度が上昇。自民が大敗した17年都議選でも103票差で勝ち残り、当確を知った小池氏の側近が悔しさのあまり、報道陣の前で舌打ちしたほどだった。

奇跡の103票差で再選した都議選(川松氏ブログより)

最近はYouTuberとして活躍。古巣のテレ朝のモーニングショーが、東京都の新型コロナ対策の誤報やコメンテイターの玉川徹氏の発言で波紋を呼んだときにもいち早く問題点を指摘。玉川氏が誤報を認めて謝罪に追い込まれるなど、メディアでの発信力を急速につけており、反小池派の自民都議やネット民の期待を集めているようだ。

次期衆院選もにらんだ東京自民 VS 二階氏の暗闘

政界関係者によると、都議会などの反小池派が収まらない背景にあるのが、二階幹事長との軋轢だ。都連の小池氏への反発をよそに一貫して小池支持の姿勢を崩さないことへのいら立ちが積み重なっていることに加え、IR疑惑で特捜部に逮捕・起訴された秋元司衆議院議員(東京15区)への対応も「火種」になっている。

二階氏(自民党サイト)山崎一輝氏(Facebook)

秋元氏はすでに自民党を離党したが、二階派に所属しており、同派は次期衆院選に向けて秋元氏を支援する構えだ(参照:週刊新潮3月26日号)。しかし、地元・江東区の山崎孝明区長の長男で、都議の山崎一輝氏は、秋元氏離党後の国政進出をにらんでおり、しかも山崎氏は過去にもアゴラで書いたように筋金入りの反小池派という伏線もあって、水面下で火花を散らしている。

自民党都連は伝統的に自治意識が強く、過去には1991年都知事選で、小沢一郎幹事長の党本部が元NHKキャスターの磯村尚徳氏を推したのに対し、鯨岡兵輔氏、粕谷茂氏ら当時の東京選出の国会議員たちが反旗を翻し、現職の鈴木俊一氏を後押しして返り討ちにした。(参照:都知事選連載②都知事選が狂った“元凶”は小沢一郎だ

今回も二階幹事長に対する遺恨があるというだけでなく、都知事選やその後の都政運営、次期衆院選、さらには来夏の都議選も含めた政治日程をにらんだ駆け引きが激しくなりつつある。

小池氏(官邸HP)堀江氏(Wikipedia)

野党側の動きこそ見えていないものの、都知事選の告示まで1か月を切った中で、水面下の動きは活発化の様相だ。前述の堀江氏の出馬情報が世間をさわがせた直後に表面化した「第三の男」川松氏擁立の動き。自民党が分裂選挙となれば、一時は小池圧勝の無風選挙とみられたのが一転、中央政界も巻き込む波乱含みの展開が待ち受けているかもしれない。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長

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