89式小銃を延命して、20式小銃の調達を減らしてはどうか?

防衛省、陸幕は89式小銃の後継である20式小銃をこれまた89式同様に30年もかけて調達する予定です。64式小銃と異なって弾薬や弾倉は共用できますが、訓練や兵站が30年も二重になります。他国では更新にかける期間は概ね7~8年のようです。

陸自が発表した新小銃「HOWA 5.56」(Wikipedia:編集部)

であれば20式の調達を大幅に減らして、89式と共存させてはいかがでしょうか。陸自の戦闘職種は4万人もおりません。車輌要員や後方などの職種では小銃を撃つ機会も対してないでしょう。撃つのは年に50発程度の検定ぐらいです。

例えば20式小銃は戦闘職種など向けに5万丁に抑える。豊和工業の生産力は89式をみれば、年に1万丁程度はあるようです。であれば来年以降5年で調達が終わります。7万丁でも7年で終わります。

戦闘職種以外は89式を改良して使用すればいい。どうせ年に50発程度しか撃たないわけですから、寿命も多く残っている個体が多いでしょう。

89式小銃(陸自サイトより:編集部)

例えば、銃床を20式の伸縮式のものを改良してつける。こうすれば防弾チョッキ付けても使いやすくなります。あとはレールマウントを装備し、セレクターを改良する。3店バースト機能は取る。可能であれば銃身長を短いものに変える。この程度であれば大した費用はかかりません。

それから南アフリカのベクターCR21のように89式をブルパップにコンバージョンする手もあるでしょう。

CR21はガリルをベースにしたR5ライフルのコンポーネントを、ポリマーフレームに組み込んだものです。ぼくはR5もCR21も現地で撃ったことがあります。R5は前方が重たく、ぼくのような文弱では長時間の射撃は辛いのですが、CR21はバランスもよく、大変に楽で命中させること容易でした。またフラッシュハイダーの性能がよく、暗部でも発射炎をかなり抑えてくれました。

ブルパップの方が訓練も容易です。また全長も短くなるので車輌要員や後方の人間には便利です。

例えば、イスラエルのフォーブスなどの銃器のコンパチのフレームやパーツを作っているメーカーにフレームの開発と生産を委託してもいいでしょう。89式のコンポーネントの多くは流用できるので10万円以下で、余裕で調達が可能でしょう。これに光学照準器を付けても良い。

どうせ30年もかけて更新を続けて2つのライフルが共用することを許すならば、はじめから2種類の使用を前提としてもいいでしょう。

この案であれば20式の調達は6~7年前後で終わります。89式の改良はもっと時間がかならないでしょう。
これによって調達費用が大幅に浮くので、その予算を20式用の光学サイト、グレネードランチャー、フラッシュライトなどのコンポーネントの調達費当てることができます。その方が陸自の普通科の戦力を強化できます。

Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。

European Security & Defence に以下の記事を寄稿しました。
Hitachi wins Japanese bulldozer contract

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年5月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。