習近平氏が後押しした逆進の共産国家

2020年06月21日 11:30

東アジアの3つの国、日本、韓国、中国は様々なシーンで比較対象になります。今日はこの比較をした上で習近平国家主席が犯した間違いについて検討してみたいと思います。

(CCTVより:編集部)

(CCTVより:編集部)

日本でバブル崩壊後起きた様々な変化の一つに情報公開があったと思います。そして自由度が増したことがあります。80年代までは爆走機関車「エコノミックアニマル号」的な集団の力をテコに驀進してましたが、それ以降、個人の尊重がなされ、働き方が変わり、人々は自分の時間と行動を楽しむようになりました。思想についてもより自由度を増したというのが私の印象です。

では韓国はどうでしょうか?韓国も80年代から90年代初頭にかけて高い成長率を誇りました。そして97年の通貨危機を経て一段と国際化が進んでいきます。その間、韓国でもまた様々な自由化の波が押し寄せました。87年の民主化宣言を皮切りに93年には金泳三大統領による文民政治が、また、89年にようやく海外旅行の自由化となります。また、2000年代には日本との関係が一時的だったかもしれませんが、良化し、サッカーワールドカップであったり、韓流ブームなども引き起こすなど開かれた国家をアピールしました。

日本はバブル、韓国では97年の通貨危機を経て国際社会の一員としての認識を高めたといってもよいかと思います。では中国。個人的には08年の北京五輪、10年の上海万博の頃が「世界の工場」として確立した経済的地位がピークだったとみています。つまり日本の89年、韓国の97年、そして中国の08-10年です。

特に08-10年の間はリーマンショックをはさみ、中国がその対策として60兆円余りの景気刺激策を出したことでバブルが崩壊し、今日に至るまでその対処に苦しんでいます。日本や韓国と比較すれば、2010年代の中国は五輪や万博を通じて開かれた中国をアピールし、国民に自由度を与え、国際社会に融合した国家運営が本来であればあるべき道筋だったのです。

ところが習近平国家主席はそうではなく、共産党体制の強化を目指し、対外的には数字を取り繕い、国民には情報を制限し、行動を管理する真逆の国家運営をしてしまったのであります。もしも習近平氏が開かれた中国を標榜し、より民主化を進めていれば世界経済のリーダーシップをとれた可能性はあります。が、イデオロギーにおいてアメリカと敵対してしまったのです。

同じ、アメリカと敵対したソ連はどうだったでしょうか?崩壊です。そしてその後のロシアが世界を牛耳る国家になったでしょうか?今やロシアが世界に誇れるようなものは何一つありません。かつては宇宙開発でアメリカの先を行く先進国家でしたが今では錆びついた施設になり変わっています。それはプーチン氏が自分の地位にしがみついたからです。国家、国民より自己防衛をしたからです。そして習近平氏も同様に共産党と自分の派閥とそして最後、自分の保身を最優先してしまいました。

今になって香港を中国化し、台湾を強烈に敵対化し、共産党体制へのあらゆる発言に容赦ない反論を繰り返すのは一度決めた方針を変えられない悲しい性であるからでしょう。個人的には近代中国において胡耀邦国家主席の運営が2000年代のあるべき開かれた中国の方向性を示していたと思います。

そしてそのボイスが89年6月の天安門事件につながったとすれば若者が支える中国の民主化のチャンスは日本や韓国同様、同じころにあったのであります。

中国が今、向かうところは何処でしょうか?「世界の工場」で手にしたバブルマネーで各国各地で不動産や企業を買いまくり、中国人が札束を手に闊歩していたのは数年前まで。中国にあった外資の工場は東南アジアや西アジアに移転し、アメリカ製のハイテク機器は入りずらくなり、一帯一路政策を維持するバラマキも容易ではなくなってきました。

習近平氏の最大の間違いは共産党を進化させられなかったことにあります。2013年に国家主席になってから世界の変化に対して頑なに、埃をかぶった経典のような共産党の大枠から飛び出すことはありませんでした。2017年の「習近平思想」は「強い中国」を標榜するものですが、これは毛沢東の「新中国」、鄧小平の「豊かな中国」との三部作とも考えられます。ならば強さが示されなければどうなるのか、ある意味、習近平氏の運営能力が近未来の中国の行方を占うともいえるのでしょう。

13億の民の意思を習近平氏を頂点とするごく一部の常務委員会で決定する閉鎖的で不自由な社会は常識的に考えて機能するとは思えないのです。中国人には賢い人も多く、研究者レベルでは突出した能力を持っている人は潜在的に多いのです。その才能を引き出せないのはある意味、世界にとっての損失でもあると私は考えています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年6月21日の記事より転載させていただきました。

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