世論調査がフェイクニュースと呼ばれる日

産経新聞の入るビルとフジテレビ社屋(Wikipedia)

ビデオリサーチのサイトには視聴率調査に関する説明がある。それによると、関東圏では2700世帯、関西圏では1200世帯の協力を得ているそうだ。統計誤差についても、関東圏で視聴率20%は±1.5%の、関西圏で10%は±1.7%の不確かさがあると明記されている。

それでは、新聞の行う世論調査はどうだろう。朝日新聞が6月に実施した調査では、ランダムに選ばれた電話番号に調査員が電話をかける方式で、固定電話で1999世帯から1035人の、携帯電話では2172件のうち1030人から回答を得たそうだ。

全国合計2065人というのは、ビデオリサーチの関東圏での世帯数よりも小さい。

ビデオリサーチは継続して同一世帯から協力を得る仕組みで、協力世帯を選定する際には単身世帯・子育て世帯・高齢者世帯などの世帯構成や年齢分布について、全世帯の縮図となるように調整している。

一方、朝日新聞の調査は偶然電話に出た人を対象としており、世帯構成や年齢で調整してから数字を発表しているわけでもない。

そもそも、2018年度に固定電話の加入者総数は事業所用も含めて1996万、携帯電話は1億8045万である。それなのに、それぞれ2000ずつ電話して正しい結果が得られるのだろうか。

朝日新聞の世論調査には大きな統計誤差がありそうだが、それに関する情報は発表していない。

朝日新聞も加入する日本世論調査協会が産経新聞・フジテレビの調査不正を批判する声明を出した。

世論調査の品質を損なわないためには調査者の節度が不可欠であり、不適切なデータを世論として示すことは社会全体に誤解を与え、民意を誤った方向に導くことにもつながりかねない、と書かれている。

協会が言っていることはもっとものようだが、説明してきたように朝日新聞の世論調査も不適切である可能性は高い。同じ穴のムジナだ。

わずかなサンプル数での調査を世論として示す今までのやり方を改めない限り、メディアによる世論調査はフェイクニュースと批判されるようになるだろう。