レジ袋有料化:小泉環境相の粋がりで消費者は大迷惑、環境改善にも効果なし

2020年07月05日 06:01

レジ袋がついに有料になった。出掛けるときは筆者もリュックや手提げを手にするが、コンビニで買う冷たい飲み物は結露するのでレジ袋の世話になる。しかし、これまでタダだったのが有料となれば、2円や3円でも出したくない。まったく意味のないことを、と腹も立つ。

68design/写真AC

そんな折、4日のAFPがパリ発の「コロナ危機、息を吹き返した使い捨てプラスチック」記事で、コロナ禍で変わる世界の廃プラ事情を報じている。新型コロナのパンデミックで需要が急増するマスク、フェースシールド、手袋、スクリーンなどのプラスチック製品の処理問題だ。

今までも注射筒や輸液バッグやチューブなどの医療用プラスチックは、用途の性格から使い捨てが当たり前で、ディスポ(ディスポーザブル;使い捨て)と呼ばれる。そこへコロナの蔓延で前記の医療用プラ製品の消費が急増、加えて、一般人のマスク需要も天文学的な数字に上る。

1億人の日本人が週に3枚使い捨てると月に12億枚余り、年間150億枚だ。アベノマスクは布製だが、不織布マスクはポリプロピレンやポリエステルなど歴としたプラ製。糸に撚って織れば化学繊維の布地だが、織らずに接着したり機械で絡めたりしてシートにすれば不織布だ。

ウイルス付着の可能性があるマスクは使い捨てるのが道理。記事も

「多くが捨てられ、やがて海にたどり着く」、「香港やパレスチナ自治区ガザなど世界各地の道路や海岸にマスクや手袋が散乱している」

などと書く。この事態に、国際再生資源連盟の幹部ブルネ氏はこう語る。

マスクのリサイクルは容易ではない。当局はマスクを家庭ごみとして焼却するのが一般的な方法だとしているが、我々もそれが最善策だと考えている。

そこでレジ袋。横浜市の「ごみと資源の分け方・出し方」を見ると、レジ袋やラップ類はプラマークのあるプラスチック製容器包装としてある。だが、拙稿「小泉大臣、“レジスト”よりずっと有効な廃プラ対策がありますよに書いたように、この容器包装リサイクル法が実に欠陥の多い悪法なのだ。

stwsnmy015/写真AC

レジ袋に使う原料樹脂(ペレット)は、ほとんどがポリプロピレン(PP)かポリエチレン(PE)だ。ちなみにラップは塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニル(PVC)そしてPE。中でもPVDCが酸素遮断性に優れ、値段も高い(サランラップとクレラップがこれ)。

これらを再生する場合の課題は数々あるが、第一は、樹脂別の見分けが難しいこと。先日も透明シート越しにライターを買った客が、試しに着火してシートを燃やした事件があった。某試験場が樹脂別に燃焼実験をしていたが、燃やして臭いを嗅がないと種類が判らない(素人は嗅いでも判らない)。

専門家でもこうだから、家庭でPPレジ袋とPEレジ袋は分別不能。ラップの困難さは更なり。そこで第二の問題。プラスチックは異種の樹脂が混ざると、割合の少ない方が異物となる。すなわち、溶かしてシートにするとそこら中に穴が開いたり、焼けたブツになったりする。

結局、レジ袋やラップ類は事実上再生が困難なのだ。そこへいくと、PET(ポリエステル)ボトルや発泡スチロール(PS)のトレイや緩衝材は、一見してPETやPSと判るから分別し易く、異なる樹脂が混入しにくい。つまり、再生がし易い。

問題は不織布マスク。この原料樹脂はほとんどPPかPETだが、これも見た目でどちらかは玄人でも判断できない。ましてウイルスの付着が懸念されるから、ブルネ氏のいう通り「家庭ごみとして焼却するのが・・最善策」だ。

とすれば、樹脂別の分別が不能なゆえに再生ができないレジ袋も、「家庭ごみとして焼却するのが・・最善策」ではなかろうか。不織布マスクともども焼却炉で燃やしてしまえ。もし分別するなら、容器包装リサイクル法を改正してセメント工場で処理するならさらに良策だ。

AFPの記事にはプラスチックの年間生産量が約3億5000万トンで、50%がアジア、19%が北米、16%が欧州とある。環境省のサイトには2010年に海洋に流出した廃プラ量が載っている。1位は中国132万~353万t、2位インドネシア48万~129万t、以下20位米国4万~11万t、日本は30位で2万~6万t。

しかも日本の2万~6万tのうち、漁網・ロープ・ブイおよびPETを含むボトル類が重量ベースで7割を占めるのは前記拙稿に書いた。つまり、日本ではレジ袋は海洋にはほとんど流出しない。要は、捨てなければ良いのだ。どこへ行っているかといえば、焼却炉か埋立地に相違なかろう。

環境省も、レジ袋有料化が廃プラ削減に役に立たないことを認めていて、意識改革などと一見もっともらしいが筋の通らないことをいう。意識改革というなら、ペットボトルをやめて瓶や水筒を復活させる方が効果的だし、実効を上げるなら、漁業関係者への指導・取り締まりの強化だろう。

よろず世の中に普及しているものには利便性がある。便利なレジ袋は買ってでも使いたい。アマゾンで見ると100枚で600円前後(@6円、むろん大きさ次第)と結構高い。が、店舗が何十万枚と仕入れるなら何分の一かだろう。樹脂の価格はPPが155円/kg、PEが169円/kgだ(20年4月)。

環境省ツイッターより

買い物の際に買うなら2~3円と安い。が、筆者は意地でもそうはしまい。都度、「レジ袋どうしますか」と聞かれるのも不愉快。小泉進次郎環境大臣は、国際会議でイイカッコしたいのだろうけれど、買い物の度に消費者を不快にするようでは、次の選挙でいくらか票を減らすのではあるまいか。

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