連日マスコミで報道される新型コロナウィルスの新規感染者数。死亡者や重症者数が減っているにもかかわらず、数字の増減に大騒ぎしているのに、何だかモヤモヤした違和感を感じていました。
そんな中、国際医療福祉大学の高橋泰氏の「感染7段階モデル」を、東洋経済オンラインで大崎明子氏が紹介しているのを読み、極めて説得力のある説明だと感じました(図表も同サイトから)。
私を含め、感染症の素人が誤解していることが、わかりやすく解説されています。私なりに、内容を整理してみました。
■ 暴露者とは何か?
新型コロナの全体像を把握するためには、まず「暴露者」という言葉を知る必要があります。暴露とは新型コロナが体内に入ることを指します。公表されているデータから日本人の暴露率を計算すると、30~45%が妥当と高橋氏は推計しています。つまり、既に国民の3割の体内には新型コロナウイルスが入り込んでいるということです。
その3割の人の中から、発症したり、重症になったり、死亡する人が年代別にどのような比率で発生するかを図にしてみると、暴露した30%のうち98%は「暴露したが、感染していない」か「暴露したが、自然免疫で対抗」し、無症状か軽い風邪程度に終わるとしています。
3割の中の98%にとって「コロナは軽い風邪」ということです。
■ 自然免疫と獲得免疫の違いを知る
免疫には自然免疫と獲得免疫があるというのも、理解されにくい点です。
自然免疫とは、例えて言えば体内を常時巡回している警察のような存在で、病原体が体内に入ったことを感知したら排除しようとする仕組みです。ただし、攻撃力はあまり高くないものです。
もう1つの、獲得免疫とは、例えて言えば強力な軍隊のような存在で、病原体を他と区別して見分け、それを記憶する(これが抗体)。同じ病原体が入ってくると高い殺傷能力で殲滅するミサイルのようなものです。
新型コロナウイルスでは、暴露した人の98%が、無症状か風邪の症状で済むので、自然免疫までで対応できてしまうから、抗体が出来にくいということになります。
■ PCR検査の問題
PCR検査で判明した「PCR陽性者判明数」は、正確には「感染者数」でも「発症者数」でもない。なぜなら、PCR検査は、コロナウイルスの遺伝子を探すものなので、体内に入って、自然免疫で対応し、他の人にうつす危険性の無い人まで陽性になってしまう問題があると指摘します。
やみくもにPCR検査をして、その増減に一喜一憂することには、意味が無いということです。
■ 第2波に備えるためには遺伝子解析
これからもし第2波が来た場合、まずやるべきはPCR検査の拡大ではなく、ウイルスの遺伝子解析だと高橋氏は主張しています。従来と同じ型のウイルスなのか、違うものが来たのかを判別することが重要だとしています。
最近も「8割おじさん」こと西浦博北海道大学教授とノーベル賞受賞者の山中教授が対談し「新型コロナウイルス対策をしなければ、今からでも10万人以上の死者が出る可能性がある」と指摘していました。
しかし、高橋氏の「感染7段階モデル」では、新型コロナウイルスが現状の性格を維持する限り、どんなに広がっても10万人中3人以上、つまり全国で3800人以上死ぬことはないとしています。
「98%は軽い風邪」という高橋氏の分析を前提にすれば、新型コロナウイルスへの合理的な対応は、今後の変異のリスクを警戒しながら、リスクの高い高齢者を除き、通常の経済活動に戻すことです。
過剰に危機感を煽り、経済活動を低迷させることによるデメリットを、日本人はもっと認識すべきではないでしょうか。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年7月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。