若者が社会主義にひかれるのは理解できます。それはかつて学生運動が盛り上がった原因と同じです。貧しい労働者を見ていると「労働者を搾取している資本家を倒して彼らの金を労働者に分配しろ」という話は感覚的にわかりやすい。それは人々の部族感情に訴えるからです。これに対して社会主義(統制経済)の弊害はわかりにくく、経済学のロジックがわからないと理解できない。70年前に社会主義の不可能性を証明したハイエクは嘲笑され、講演では卵をぶつけられました。
いいかえると、社会主義は一種のモラルハザードなのです。モラルハザードとは「行動のコストを負担しないで自己の利益を追求すること」です。たとえば派遣村に集まった浮浪者に役所が無差別に生活保護を与えることはマスコミに賞賛されるが、そのコストは税金だから広く分散されて見えない。このように個別の(事後的な)利益が見えやすく、全体の不利益が見えにくい構造は公共的意思決定にはありがちです。個別には大きくない無駄づかいが集積すると、経済全体が非効率になり、社会が崩壊してしまうのです。
しかし、このように人々が広く薄く負担するコストは見えにくく、それを改革するインセンティブもない。改革のコストは個人が負担するが、その成果はすべての人に分散するからです。無駄はゆっくり集積し、そこには既得権が発生するので、社会主義という名のモラルハザードが自壊するには、ロシア革命から70年以上の時間が必要でした。イギリスが労働党政権の「大きな政府」路線で衰退し始めてからサッチャー政権で改革に着手するまでには、半世紀以上の時間がかかりました。
日本政府は(自覚しているかどうかは別として)社会主義への道を歩み出しました。政権交代しても、民主党の半分もモラルハザードの見本のような「万年野党」の残党だから、期待はもてません。ロシア革命やイギリスに比べると、日本はまだ長期停滞に入ってから20年足らず。人々の目が覚めるには、まだ時間がかかりそうです。





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今年のメーデー(5月2日)も各地でイベントをやるそうです。
「定額給付金を毎月10万円よこせ!」とプラカードを持ってみんなで怒鳴るのは確かに楽しい。
>無駄はゆっくり集積し、そこには既得権が発生するので、社会主義という名のモラルハザードが自壊するには、70年以上の時間が必要でした。
資本主義にしろ共産主義にしろ、長期的には同じように権力は腐敗しているのでは?