民主党は「与党」になれるのか - 池田信夫

2009年07月20日 09:00

自民党の自滅で、総選挙では民主党が圧勝する可能性が出てきました。前の総選挙と逆に、民主党が300議席という選挙予測まで出てくるありさまです。しかし有権者は、民主党の政策がすばらしいから支持しているのではありません。自民党があまりにもひどいから、「とにかく一度は政権交代をやらしてみよう」と思っているだけです。

事実、1993年の細川政権のときは、自民党は「ハト派」の河野洋平氏を総裁に選ぶなど、変身を印象づけようとし、予算編成でも課長補佐しか説明に来ないなどの屈辱的な状況に、かなり謙虚になりました。いろんな理由をつけて離党する議員も相次ぎました。たぶん今度も、その程度の効果はあるでしょう。しかしこうした変化は、10ヶ月後に連立与党が崩壊すると消え、自民党は昔の自民党に戻ってしまいました。


今回の民主党は、16年前の連立与党よりはましでしょう。特に旧社民党の勢力が弱まり、派閥抗争がそれほど目立たなくなりました。しかし昨年の参議院選挙で小沢一郎氏の掲げたマニフェストは、自民党以上のバラマキで、本当に与党になったら実現できる政策ではありません。それは民主党が徐々に政策を修正し、支出規模を縮小し始めていることでも明らかです。

私は今年、民主党の勉強会に呼ばれたときにも、この点について「農家に所得補償するなら専業農家に限定すべきだし、教育費を補助するならバウチャーにするなど、市場メカニズムを生かす工夫をすべきだ」と批判しました。これについて政調会の幹部は「おっしゃる意味はわかる。子供手当は一種のバウチャーのつもりだ」と答えました。ところが最近出てきた「高校無償化」などの政策は、昔ながらのバラマキです。

アメリカのブッシュ政権でさえ労働組合の反対で(連邦レベルでは)実施できなかった教育バウチャーを、日教組に依存する民主党が実施できるとは思えない。先日の派遣労働禁止といい、この学費無償化といい、新たに出てくる政策も労組べったりの露骨なバラマキばかり。これでは国会で(16年前のように)強力な野党になった自民党の攻撃を受け、また1年ぐらいで空中分解するのが関の山でしょう。

民主党の(特に旧社民党系の)議員に「小泉・竹中改革の否定」を掲げる人が多いのも気になります。そんな中身のない話が、政策論争のテーマになると本気で思っているのでしょうか。おまけに国民新党などと野合して「郵政国営化」をやろうとしています。本当にそういう方向に動き出したら、党内の改革派が自民党の中川グループなどと連携して政界再編が起こる可能性があります。

いずれにせよ今の民主党は、野党だからなんとか体裁を保っているだけで、与党になったら大連立とか分裂とか新党結成とか90年代のような動きが起こるだろうし、それが望ましい。「アゴラ」の読者には、鳩山代表のスピーチライターもいらっしゃるようですが、いずれにせよ鳩山内閣は長期政権にはならないので、どうせ短く散るなら、筋の通った政策を主張して党内の反対で瓦解する、という形をとってほしいものです。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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