「経済学の展望」--池尾和人

池尾 和人

今年の秋の日本経済学会は、専修大学の生田キャンパスで10月10日(土)と11日(日)に開催されます(プログラムは、これ)。

今年は、日本経済学会の設立75周年にあたるので、「経済学の展望」という特別セッションが11日の午前の部(9:00-11:20)にあります。ミクロ理論の展開を東京大学の神取道宏氏、マクロ理論の展望をプリンストン大学の清滝信宏氏、実証分析の展望を東京大学の市村英彦氏が行うという豪華版です。


このうち神取氏の準備段階の話を東京財団のVCASIセミナーで聞きましたが、ニューロ・エコノミクスがメインストリームに位置づけられ始めたという感じでした。

なお、American Economic Association や American Finance Association の合同大会(ALLIED SOCIAL SCIENCE ASSOCIATIONS)は、来年の1月3-5日にアトランタで開催の予定です(暫定プログラムは、これ)。

先の池田さんとのやり取りから、ちょっと興味があって検索してみたら、
International Business Cycles with Heterogenous Agents
というタイトルのセッション(エコノミック・ソサエティ主催)が、1月4日の朝にあることが分かりました。また、SSRN.COM で、Heterogeneous Agent で検索すると、204本がヒットします。さらに、macro という単語を入れて絞ると、5つにまで減ってしまいますが、その中には、こんなものもありました。因みに Dynamic Scoring の意味は、これを参照のこと。

なお、コメント欄は、誤字脱字があっても直せないので困ります。先の池田さんの記事に対する私のコメントの「周辺にいる者も知られる」は「周辺にいる者にも知られる」で、「世代重複モデルでしか使わない」は「世代重複モデルしか使わない」です。

コメント

  1. 池田信夫 より:

    Acemogluの教科書には、索引にさえ”heterogenous”という言葉はないんですけど、マクロ経済学が日進月歩だとすれば、慶賀の至りです。私も、今年の学会は行ってみます。

    なおコメントを書き間違えた場合は、訂正したコメントを再度、投稿して、私にEメールをいただけば、前のコメントを削除します。必要なら、池尾さんに管理者アカウントを差し上げます。

  2. kazikeo より:

    ちょっと間違っていました。
    heterogenous
    は外来の、という意味で、
    heterogeneous
    が異質的、という意味です。SSRN.COMの検索について記事で書いたことは正しいのですが、1月4日朝のセッションの方は本題とは違う話題のもののようです。
    --池尾

  3. 池田信夫 より:

    あまり他人事みたい言ってもいけないのですが、日本の経済学の現状はひどいですね。ちょうど今日、Mankiw blogで紹介していた世界の経済学者1000人のランキングを見ると、日本人は6人しか入っていません。

    http://ideas.repec.org/top/top.person.anbcites.html

    トップは林文夫さんの211位で、市村英彦さんは685位ですが、この2人以外に、秋の学会で報告する人は1人も入っていない。経済学者の母集団で考えても、理科系に比べても異常に少ない。首相がいまだに「市場原理主義」などという日本は、経済学には向いてないのかも・・・

  4. kazikeo より:

    私なんか、不良債権問題に関わったりして、アカデミックには早くから身を持ち崩していた(BSで住専問題の特番を作るからとかいって、誘いに来る人がいた)ので、坊主懺悔するしかないね。アカデミックに出世をしたかったら、パンフレットなんか書いていたらダメなんだ(スティグリッツやクルーグマンみたいに出世した後で書くのはいい)。

    まあ、RePEc Author Service というのに、そもそも登録していないというのもあるのだろうけれども...
    --池尾