眠りから覚めた民主主義 - 池田信夫

2009年12月30日 10:16

このコラムも、今日が今年の最後になる。1月に「アゴラ」ベータ版がスタートしてから、ちょうど1年。最初は試行錯誤で始めたのだが、最近は1日1万3~4000人の読者があり、月間100万ページビューに達する。これはオピニオンを発表する媒体としては、数万部しか発行されない「論壇誌」をはるかにしのいでいる。今年アクセスの多かった記事をはてなブックマークのデータでランキングすると、

  1. それでもあなたは生保に入りますか? 11/1

  2. オーストラリアにおける「不都合な真実」の悲惨な結末 5/25
  3. 大学生は勉強しなくていいのか 11/6
  4. 目に余るNTTグループの独占回帰への試み 4/7
  5. 株価が予言する民主党政権の未来 12/3
  6. 日本ITの国際競争力 11/19
  7. 「地域間格差」はもっと拡大すべきだ 9/21
  8. 日本は「変な国」になってゆく 8/7
  9. 日米関係は本当に壊れるかも 12/14
  10. 「ユニクロ悪玉論」の病理 12/10

これまで日本のウェブでは、こうした天下国家を論じる記事は少なかったが、民主党政権になって変わってきたように思う。自民党政権では、政治は政治家と官僚機構と利益団体の利害調整や「政局」の力関係で決まり、国民が政治に何をいっても無駄だというあきらめが強かった。政治を論評するのもマスコミに勤務するサラリーマンで、アゴラに集まっているような専門家が直接コメントする機会は少なかった。

この状況が民主党政権になって変わり、政策で政治が決まる状況が生まれた。影響を与えるメディアも新聞・テレビだけではなく、ネットの影響が大きくなった。アゴラにも、多くの政党関係者がアクセスしている。どの意見が影響を与えるかは、媒体という入れ物ではなく、その記事を書く人の専門知識で決まるようになった。これはかつて韓国でネット上の言論が盧武鉉大統領を生み、アメリカでブログがオバマ大統領を生んだ状況に近い。

しかし記事の多くは、民主党政権に批判的だ。それは民主党が、政治手法においては自民党の利権政治を脱却したものの、政策の内容はあい変わらずの利益分配型だからだ。アゴラを独自コンテンツ部門としてスタートしたBLOGOSでも、日本経済を建て直す長期戦略なしに税金をばらまく民主党の場当たり的な政策への批判が強い。

もちろん一挙にすべてが変わることは望めない。民主党のようなアマチュア的な政策が通用するのは、相手が政策をもたない自民党しかなかったからだ。日本の民主主義は60年以上の眠りから覚めたばかりだから、それが成熟するには専門家が政治家を教育し、古い発想をたたき直す必要がある。来年は、さらに幅広い分野のみなさんの参加を得て、アゴラやBLOGOSがマスコミに対抗できる言論プラットフォームとして機能するように努力したい。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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