「サイバーテロ問題」への回答 ―中川信博

2010年03月17日 15:48

先般私のエントリー「国民目線の政府ではなかったのか」を松本さんのエントリーサイバーテロ問題で取り上げて頂いたので、回答も含め本稿をエントリーしたいと思います。私は安全保障に啓発された一般人であり、情報通信零細企業の学歴皆無の経営者の端くれとして、情報通信にかかわることを国家安全保障的観点から議論したいと常に考えているのであります。

松本さんのエントリーサイバーテロの問題の記事中「日本政府が韓国政府に一言文句をつけて然るべきではないのか」とありますが、コメントにも記入したように私の主張はテロ攻撃を目的としたコミュニティーに多くの登録者が集まっている時点で、攻撃を行った場合はそれを日本政府当局はテロと認識する可能性も否定できない、程度のコメントはすべきではなかったか、そしてテロ攻撃が実際に行われたあとにこのような行為はサイバーテロであり韓国政府に再発の防止を希望するなどといったメッセージは韓国当局に対し必要でなかったかということです。つまりサイバーテロを犯罪であるとのメッセージを発して、このような行為は日本の国内法で対処する可能性もあるということくらいは示唆をすべきではなかったということです。このサイバーテロが単なるネットユーザー同士の問題ではないと考えるからです。


たとえば、アフリカ諸国の鉱山でレアメタルなどを採掘している技術者は、資源利害で政情不安が起こりゲリラ勢力に襲われることもあります。そういう状況に陥った場合に欧米諸国では自国民が一人でもいれば部隊を派遣して救出にいきますが、我国はといえばアフリカなどの場合、その国の元の宗主国にお願いして助けてもらうしかないわけです。アフリカのレアメタルは我国のハイテク産業にとっては死活問題になるばかりか、日本の経済戦略にとって致命傷になりかねないような資源であるにもかかわらずです。この事例も先のサイバーテロも日本国政府の日本国民の安全に対する意識の希薄さが如実に現れた事例ではないかと考えているのです。

―新戦略概念Airsea Battle
昨年米国空海軍は両者の連携を目的とした新軍事戦略概念Airsea Battleを発表している。これはイラン中国を対象とした新しい戦略概念で、前方に展開している空海軍部隊への後方支援体制で特に、中国人民解放軍のサイバー、通信衛星、対空、対艦、対弾道弾能力への警戒とその対策になっている。当然この両国との対峙を考えれば地理的、技術的に最重要なのは我国と我国の自衛隊との連携になることは必然であろう。特にPTEなどのRMAを推進している米軍では通信による後方支援体制はもはや軍事戦略の中心なのである。

―文民統制外の人民解放軍
さらに昨今の人民解放軍高官の言動からその拡大主義は未だとどまることを知らず、中国共産党執行部の統制も行き渡っていないように見受けられる。つまり中国共産党執行部は日本との関係を修復しつつあると見受けられるが、人民解放軍はどうやらそのようには考えていないと思える。つまり米軍の後方支援体制に不可欠な我国の米軍基地と自衛隊、我国の通信インフラに対する攻撃や工作はかなりおわれているとみるべきではないだろうか。

―インテリジェンスの常識
もうすこし論を飛躍させてみると―池波正太郎の小説「鬼平犯科帳」ではないが―、盗賊は狙った商家に必ず手引き者をもぐりこませてお宝の位置を特定して、決行日には内側からを手引きをさせる。同じように戦争を始めるときにも当然相手国へスパイを派遣して内情を調べると同時に戦闘が始まれば手引きをする。鉄人宰相ビスマルクと大モルトケはドイツ統一のため戦争を始めるが、その諜報部門を一手に仕切ったのがシュティーパーであった。その統一戦争の仕上げである普仏戦争ではシュティーパーは事前に3万5千人のエージェントをフランスで活動させていた。

―米中の相克
中国政府の統治ドグマと米国民主党政府の価値観は相容れない。そのシンボルがグーグル問題だと思う。さらに米国軍はイラン軍とそのイランに武器供与をしている中国人民解放軍を想定した戦略に大きくシフトした。しかし中国人民解放軍はリアルな軍事能力では到底米軍に及ばない。そこで米軍の極東戦略の要である韓国、日本、台湾の旧日本(DPRKも含む)地域への非軍事の戦闘行動(MOOTW)を強化していると考えられる。

―思想戦と法規戦
諜報活動をするうえで大変なのが、相手国のカウンターインテリジェンスからその活動を隠匿することだ。言語容姿は何とかなってもその文化や習俗などまでも身に着けるに至るまでは大変である。その活動を有利に運ぶために行われるのが思想戦で、相手国に自国の文化や習俗を取り入れさせてエージェントの活動を隠匿する。また占領後の統治政策をスムーズにする効果もある。そしてそれらの延長線上に法規戦がある。相手国に自国の活動を隠匿または擁護するような法律をつくらせて侵略の手引きをさせる。

―民団と人民解放軍
移民1000万人政策、人権擁護法、外国人地方参政権法、選択的夫婦別姓法、女系容認の皇室典範の改正などを私は法規戦と考えている。特に外国人地方参政権法では、韓国の日本人への参政権付与を日本の民団は韓国政府に強くもとめた。参政権付与の相互主義を論拠としてすすめるためだと説明されたという報告がある。韓国側では対象は在日の韓国朝鮮人だけだと認識していたらしく、法案がすべての永住外国人でその中に中国人60万人が含まれると説明したら、中国人に選挙権を付与するなんて狂気の沙汰だと中国と近い旧ウリ党(現民主党)幹部がいったという。ではなぜ民団は韓国政府には在日の韓国朝鮮人と説明して、日本国内では60万人にも上る中国人を含む永住外国人のためだと詭弁を使うのだろうか。民団と中国人民解放軍の対日工作との関係があるのではという疑念が浮かぶのである。

―人民解放軍の関与
今回のサイバーテロリストによる2チャンネルへのサイバーテロをおこなったのは韓国国内の有志だけだったとは考えにくい。当然日本国内の組織的同調者もいると考えられる。人民解放軍の関与を肯定する情報も、また否定する情報もないが、民団の関与が非常に濃厚ではないかと考えられる以上、日本国内では友好関係にある日本の中国人社会、そして人民解放軍の何らかの関与があったと考えるのが自然ではないだろうか。

―本当に民間なのか
私はこの問題が単なる民間の問題ではないという認識に立っている。テロ攻撃が米軍にとって地政学的に重要な日本と日本の通信インフラ、社会の反応、そして我国政府のそれらへの対応を観察、情報収集することではなかったかということである。きっかけは民間でも、それを利用したと考えるのが妥当ではないだろうか―松本さんもこの辺を示唆されてると思うが―。人民解放軍は今回の演習で予想通りの成果をあげたと考えるべきである。日本当局がテロをテロと認識し犯罪であるというメッセージ発すれば、韓国サイバーテロリストだけではなく、その先の人民解放軍に向けた警告と同時に、我国国民へはたとえ、2チャンネルの言論に問題はあるにせよ、国民の言論と知価財産は擁護するという強いメッセージになったのではないかと思うからである。

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