日本の食料自給率と他国の農業政策

2010年03月29日 01:05

齊藤豊(大妻女子大学人間関係学部社会学専攻准教授 2010年4月1日就任予定)

日本政府が農業に手厚い保護を行い、食料自給率の向上もその施策の一つとなっているのは事実であるが、はたして、この政策は間違っているのだろうか。この問題を考えるときに日本政府が人口の3%の農業従事者に使っているお金の絶対額、あるいは他の産業従事者との相対的な金額のみを見ていては問題の本質を見誤ってしまう。


アメリカなど日本以外の先進国の農業政策は日本と異なっているのであろうか、という国際比較が重要である。OECD諸国のうち、2003年に農産物の輸入超過となっている国には、日本以外にアイスランド、ノルウェイ、スイス、韓国などがある。これらの国の農業保護率と農産物輸出入の相関(※1)を見ると農産物輸入が一番多いアイスランドでは、一人当たり輸出超過額が約8万円で、農業保護率は約70%となっている。2位のスイス、3位のノルウェイもほぼ同じ水準である。

日本の一人当たり輸出超過額は4位で、一人当たり輸出超過額が約4万円で、農業保護率は約58%となっている。(5位は韓国で日本より一人当たり輸入額が少ないが農業保護率は日本より高くなっている)農産物輸出国では、アメリカ、カナダ、ハンガリー等が農業保護率約18-28%で、オーストラリア、ニュージーランドが同約3-5%となっている。

これらの国際比較をみると食糧輸入国としての日本の農業保護率は決して高くなく、妥当だということができる。一国における農業保護は、国際比較だけで決められるものではなく、産業従事者の平均賃金や政治的な意図があり、それらの検討も必要である。また、米を神格化といえるほど重要視しているという農政の偏りもあるとは思う。しかし、これらの各項目を検討しても、日本の農業保護政策の大半は間違っていないといえるのではないか、と筆者は考える。よって、政策の偏りの修正などは必要だが、食料自給率の向上施策も是である。

※1:http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/0308.htmlを2010/3/28に参照

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