私が、安倍3選はないな、と思う理由
最新の世論調査でも不支持率が支持率を大幅に上回っているようだから、これから1年の歩みを考えるとこの傾向が逆転することは考え難い。
不支持率が支持率を上回っている状況での選挙はなんとかして回避してもらいたいと思うのが、候補者及びその選挙を支える方々の偽らざる思いだから、安倍総理総裁を党首に戴いたままの態勢で選挙に雪崩れ込もうとする人は少ないはずである。
まあ、誰もいないのならこのまま行かざるを得ない、と腹を括るだろうが、然るべき人がいれば党首の座をその然るべき人に譲ってもらいたいと思うのが人情である。
国会議員はそんなことしか考えないのか、国の安全保障よりも自分たちの身分保障の方を優先するのか、実に情けない人たちだ、などという批判の声が上がるだろうが、選挙を目前にすると欲も得もなく、ただ当面の選挙に勝ち残ることに憂き身をやつすようになるのが大方の国会議員である。
私などはどちらに転んでも自分を取り巻く選挙情勢が好転することはないな、と腹を括っていたから堂々と負ける選挙を戦い抜いたが、普通の人はそこまで腹を括ることは出来ない。
自民党の現職の国会議員はごくごく普通の人たちだから、6回の国政選挙を自ら戦ってきた経験のある私には、彼らがどう動くのか、ある程度想像が付く。
勿論、様々な義理やしがらみがあって動くに動けない人もそれなりにいるだろうが、義理やしがらみが少ない人たちはそれなりに動くはずである。
既に自民党内での安倍一強体制は崩れているので、誰かが動き出すと雪崩を打つように自民党の中が動き出すはずである。引き金を引くのが誰になるのか分からないだけで、引き金を引きそうな人が既に何人もいる、ということを頭の隅に入れておかれることである。
安倍内閣の支持率次第なのだが、現在の趨勢が続く限り支持率はじりじりと下がって行く。
現時点でなお35パーセントの支持がある、などという世論調査があるが、その一方でもう支持率は20パーセント台に下落しているという調査結果もある。
私は、衆議院の解散・総選挙は来年の通常国会が終了する来年の6月か7月頃になるだろうと予測しているが、この選挙で自民党が大勝すれば状況は一変するが、まずそういう甘い考えは捨てておいた方がいい。
自民党は、衆議院の解散総選挙で負けた総裁をそのまま次の総裁・総理に担ぎ出すような柔な政党ではないはずだから、結局衆議院の総選挙で負ければ安倍3選はないということになる。
仮に衆議院の解散総選挙が限りなく任期満了選挙に近い選挙になるとしても、安倍内閣に対する支持率が急激に回復しない限り、安倍総裁の3選はない、ということになる。
今は、安倍総理の3選を前提に皆さん動いているのだろうが、あまりのめり込まない方がよさそうである。来年の今頃は、翌年の参議院選挙のことを念頭に動き出す人も多くなっているだろうから、何が起きるか分からない。
天気晴朗にして波高し、というところだろうか。
まあ、当たるも八卦、当たらぬも八卦の類なので、鵜呑みにはされない方がいいが。
私が、岸田さんに閣外に出ることをお勧めする理由
谷垣さんの復帰がないのだったら、岸田さん以外にいないじゃないか、というのが私の見立てである。
今の石破さんでは自民党の総裁選挙に名乗りを上げることが出来るかどうかさえ分からないのだから、個人的には石破さんに魅力を感じていても、現実に石破さんを担ぎ出すようなことはしない。
世論が石破さんを求めるようになれば別だが、私が見ている限りそういう動きはない。
正論が多いと思うが、正論だけでは自民党の中で勝ち抜くのは難しいから、結局は石破さんは大久保彦左衛門か小言幸兵衛になってしまう。
内心ではそう思っている人が多いはずだが、皆さん、遠慮があって何も言わないだろうから、何の利害関係もない私が言っておく。
まあ、戯言の類だと思って無視されても結構だが、誰も本当のことを言わない時はこういう戯言も何かの参考にはなるはずだ。
安倍さんの3選はないと思っているから、然るべき人にはその時に備えよ、と申し上げている。岸田さんしかいないのだから、岸田さんはそれなりに備えた方がいいですよ、というメッセージである。
そんなことは分かっている、と仰るだろうが、どうもマスコミから伝わってくる印象では岸田さんは優柔不断のように映る。
どこかで決然として立つ、という気合を見せなければならないのに、今回もグズグズと流れに身を任せてしまいそうなところがある。
安倍さんほどの強さを示すことはないのだが、それでも日本の総理を務める人にはそれなりの力を示してもらわなければならない。いよいよですよ、という言葉は、岸田さんのための言葉である。
まあ、分かってる人には分かっていることだろうが、ご本人にはなかなか分かり難いものである。お節介ながら。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年7月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。